筋トレ大好き第二王女
筋トレは世界を救う。
そう、世界を救うんだ。
「筋トレは世界を救うぞー!!!!!!!」
『おぉ〜!!!!!!!!』
「声が足りなーい!!!!!筋肉足りてないんじゃないのかー!?!!??!!」
『おおおおおおおおー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
叫ぶ私。見るからに脳筋な一部の国民。困惑している大多数(お父様方を含む)
私がこうなったのは3ヶ月前に遡る_______
つまらない執務作業、つまらない会合、つまらないのになにかとつけたがる記念日、イベント………
挙げ句の果てに寝る時以外は一緒の侍女達…………
裕福なのだろう。王族なのだから。
だけど…………自由じゃない………
友達と遊びに出かけることだってできない!!!
ってか友達いないし!!!!
それが仕方ないとしても許容範囲としても12時間の執務に3時間睡眠ってどうゆうこと!?!?
こんな生活………
「限界だー!!!!!!!!!!」
ガシャンッ
「姫様!!!お気を確かに!!!!まだ5時間も執務時間は残っております!!!」
「あー書類もダメにしてしまって!!!!」
突如押し倒された机。
散らばった大量の書類。
執務を終わらさせようとしかしない侍女。
こんなの…………
「ほら、姫様。王族の勤めを果たさなければ、国民が困惑してしまいます。クーデターなどを起こされてやがて姫様の命が…………」
「そんなこと知らない!!!!!前々から思ってたけどなんで生まれた時から勉強仕事って言われなければいけないの!!!!?この生活から逃れられるないんだったら命なんてくれてやる!!!!!処刑台にだって登ってやる!!!!なんなら自分でギロチンを下げようか!!!!」
「姫さまご冗談を。さ、執務に………」
「そんなに執務が好きだったらお前がやれ!!!!!」
私は侍女達に向かって落ちてた書類を投げつけた。
なんで私の周りは腹黒給料狙いの頭が熟しすぎてもはや皮が真っ黒に変色したバナナしかいないんだ
このところ、前は4時間だった執務が12時間になった。
全て侍女達の仕業だろう。
こんな生活まっぴらごめん!!!
「第二王女が処刑台で自分の首を切れば国際問題になる……!」
こう言う時、王族で良かったとは思う。
でも王族じゃなかったらこんな思考出てこないな。
「あれは………、第二王女のレンカ様!?」
「おいおい、王族が街になんのようだよ!?」
「向かってる先は……処刑台!?!」
よしよし……注目をどんどん集めてってる……
「街の皆様こんにちは!!!!!私!12時間の執務とまとわりついてくる侍女達に精神病んだんで死にます!!!!!!いつもは見ることのできない王族の血を見てってください!」
驚いた表情の大衆。私はギロチンに首をかけようとした。
「何をしているんだ!?!」
…………あ、
兄上だ。
父上も母上もいる。
侍女達………は、いるわけないよね。
私は今までの執務の疲労と睡眠不足で限界だった。
私は目を閉じた。
何かがしょっぱかった気がする。
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あのあと、私はすぐに執務に戻された。侍女達が必死に熱せん妄と説明し勝手に抜け出したと言われた。父上達に「次はない」と言われたもののもちろんそんなの演技。
父上達は優しいから情けをかけてしまったんだろう。
その後ももちろん12時間執務という名の労働、労働、労働。
怒り狂った私は毎日、
侍女達にスパイスを投げ、ガラス窓を破り、
書庫にある「爆薬の作り方」と言うなぜあるかもわからない書物を元に爆弾を作り侍女達の部屋を爆破し、
厨房の氷を廊下に撒き散らし、
槍を手に衛兵全員に「私はふざけている!!!」と言って回ったり………
そんなことやってたら誰だっておかしいと気づく。
普段おしとやかで冷静で優秀で美しい私がこんなことするはずないと周りも思ったのだろう
そして私は医師の診断により、執務による過度なストレス、疲労、睡眠不足により起こった体調不良を理由に別邸で1ヶ月休養することとなった。
もちろん、周りの侍女達は1人の王族を死に追いやろうとしたことで処刑された。
父上達は謝罪をしてきた。
良い気はしなかったしなんでたとも思ったけど二回目はない、と水に流した。
私も家族の慈悲深い血を受け継いでしまっているのだろう。すぐに許してしまった。
別邸での世話をしてくれる新しい侍女は1人だけ。父上が一番信頼できると言う人だ。
「お嬢様、今日は少し散歩をしましょうか」
彼女の名はリン。お父様が信用するだけあって仕事はできるし、何より優しくしてくれる。
“姫様”ではなく“お嬢様”とここで言うのも彼女なりの配慮だろう。
今まで自由に行けなかった外に彼女は頻繁に連れてってくれる。
ここは田舎で静かだし、あの大量の執務に追われることもない。
いい暮らしだ。
「リン。私、王国に帰るのが少し怖い。また執務に追われるんじゃないかって」
「その心配はございません。王国に戻っても私が専属としてお嬢様に就きますから。
……しかし、そうですね……お嬢様の体調不良の原因の一つはストレス…執務は対処に困る仕事もありますからね…ストレスをこまめに吐き出すタイプではないでしょうし……発散法は必要かもしれませんね」
リンは真剣に考えてくれる。どれほどくだらない質問をしても真剣に考えてくれる。
前の侍女達のように鼻で笑ったりしない。
例えば、
「リン、バナナが真っ黒になった時、上手いようにバナナが勝手に動き出して、捨てれずにいたらあなたはどうする?」
「そうですね……違うバナナと包丁をを突き出して「ぐちゃぐちゃにするぞ」とでも言いますかね……」
と言うような。
なかなかに面白いことを言ってくれたので少し笑ってしまった。
「あ!!」
思い出に浸っているとリンが急に大声を出した。
「どうしたの?忘れてたことでもあった?」
「いえ、私も一時期体を壊した時期がありまして。その療養中によく体を動かしてました」
「運動………?」
「そうですね。体を動かすことで肉体的に疲れ、脳がスッキリするんですよ!!」
「そうね…………確かにいいかも」
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そんなこんなで1ヶ月の休養は終わり、城に戻ってきた。
前までの3時間執務に戻り、前までなかった10分休憩も設けられた。
本来は10分休憩を取らなければならないらしい。
その間、私は重石を持って執務室でジャンプしている。
衛兵達のトレーニングルームの重石を持ち出し、いつも運動できるように肌身離さず持っていた。
寝る前と起きた後も絶対重石と一緒にジャンプしている。
どんどん運動の仕方は増えていき、
重石に布を被せ引き摺る、
重石でお手玉みたいに遊ぶ、
重石と水をバケツに入れて腕をまっすぐにして持つ
など、体を動かした。
部屋を警備してくれる衛兵にそれを話したら「それは筋トレですね」と言われた。
運動というジャンルにある筋トレ。
とてつもなく素晴らしい。
こんなに夢と希望を持ったのは何年ぶりだろうか。
筋トレは素晴らしい。睡眠の質を良くし、ストレス発散、さらには食欲増幅などという素晴らしいことが盛りだくさんだ。
私はこれに、“幸せと希望の特盛パック”と名付けた。我ながら良い名だ。
そして“療養中の第二王女復活”という元気な姿を国民に見せる時のスピーチで筋トレの良さを語りたいと思う。
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「国民諸君。今日はよくぞ、我が娘、レンカの元気な姿を見にきてくれた。今日は姿を見せると共に、一言言ってもらおうと思う」
歓声が上がる。
姫が現れたことで歓声はより一層大きくなる
「皆さん!!!!父上も言ってましたが、今日ここにきてくれたことを嬉しく思い、同時に感謝で胸が熱くなります!!」
「そんな皆さんに、お礼も兼ねて伝えたいことがある!それは…………」
みんなが期待した眼差しで私を見てくれている」
「筋トレの素晴らしさについてだ!!!!!!!」
『え????』
「うおーーーー!!!!!!!!」
困惑する一般市民、叫ぶ脳筋市民。
「筋トレは多くの人を魅了する可能性があると信じている!!!!!日々の労働で心が疲れている!!!!睡眠の質が良くない!!!!なぜだか気分が沈む時がある!!!」
「そんな人におすすめしたい!!!!心が疲れているなら体を同じくらい疲れさせれば思考は体の方に向く!!!!睡眠の質は体の疲れと比例すると言っても過言ではない!!実際私はそうだった!!!!そして気分が沈んだ瞬間に筋トレ!!!そうすれば目の前の筋トレにしか考えがいかなくなる可能性が高い!!!!!」
「だからみんな!!!!!!!!!筋トレをぜひ試してくれ!!!!」
『おーーーー!!!!!!!!!』
私のスピーチは成功した。
だってこんなにも歓声が聞こえるんだから。
城のみんなの視線は気になるけど、筋トレが素晴らしいという事実は変わらない。
マイナスな思考や悩みには筋トレ、運動が一番なのだ。
読んでくれてありがとうございました。
筋トレは世界を救う。
案外間違ってないかも??




