表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黙視録 第1章  作者: 澄川あや


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

黙視録 第2章 2節

 お読み下さって、本当にありがとうございます。早く更新すると言いながら遅くなってすみません。

「何でもいい! 隕石でも、恐怖の大王でも、核爆弾でも! 何でもいいから滅ぼしてくれ!」

 彼は布団を被り叫んだ。枯れ果てたと思っていた大粒の涙がボロボロと布団に染み込んでいく。


 みんな死んでしまえ。

 みんな滅んでしまえ。

 死んでしまえ、みんな、みんな! 俺をカタチもなく消し去ってくれ!


 彼の願いも虚しく、世界は何事もなかったかのように朝を迎えた。

 彼はノロノロと起き上がり、テレビをつける。特に大きな事件は起こっていないようだった。


「なんだよ、なんでだよ!」

 みんなで死ねると思ったのに! 俺の罪が赦されると思ったのに! 平穏な日常など望んでいなかったのに!

「死ななくてはいけない」

 俺はタオルを念入りに捻り引っ掛ける場所を探した。カチカチと時計がうるさいことに気がついた。ふと目をやればテレビもつきっぱなしだった。テレビは地元のニュースを報じていた。


『ここがタクシー運転手が刺殺された現場です。規制線が張られていてこれ以上近づけません。犯人は白のTシャツ、黒っぽいズボン、身長は165〜170センチ位の男性ということです。犯人の目的や足取りは依然として不明。県警は広く情報提供を求めております』

「……不明?」

 きつく捻じりロープにしていたタオルが少しゆるんだ。

 目撃者もいたはずだが、顔を見られていない……? だが指紋は凶器の果物ナイフから検出されるはずだ。

「これから先、指紋採取されるようなことがなければ、捕まらない?」

 彼の左手からタオルは放たれ、ついで完全に床に落ちた。



2

 彼は携帯電話を握りしめた。

 希望していた会社から連絡が来なかった。内定には至らなかったということだ。


 勉強をしろ、上を目指せと言われ続けた。

 しっかり勉強して良い大学に入り、一流企業に入れば人生勝ち組だから、今頑張れと言われた。

 中学生の時にバブルが崩壊し、高校時代に企業が新卒採用を抑制し始めたと聞いた。それでも親はいい大学にこだわった。自分も大学へ行ったから簡単に内定が出たのだ。金の卵だとチヤホヤされたと何度も何度も武勇伝を聞かされた。

 高度経済成長で良い会社に就職出来たためか、大学名と成績、英検さえあれば簡単に内定が取れると今でも本気で思っていた。いつまでも内定の取れない出来の悪い息子に対するペナルティなのか、仕送りを半分以下に減額された。親の給料が減ったとはいえ、容赦のない金額だった。家賃と電気水道代と食費の五千円だった。


 何枚も何枚も履歴書を手書きして応募するが、面接にすらたどり着けない。落ちる度にお前は無能だと言われているようで悔しくて泣いた。心はへし折られ、プライドは地に落ちて久しい。世間では就職出来ないのは努力が足りない。就職している人もいるのだから、就職出来ないのは自己責任と嗤われ、政府からは見放された。


 どう努力が足りないのか教えてくれよ。自分でどうにかできる状況じゃないのに高度経済成長やバブル期で応募したら内定をもらえたお前らが偉そうに嗤うな。おまえらも同じ状況で立ってみろよ。


 それでも何度も、最強の新卒カードが使えるうちに履歴書を書き、目から光が消えていった。

 


 優等生だった彼は次第にやさぐれていき、悪い友達も出来た。


 金はある所にはあるらしかった。悪い仲間から援助交際というものを紹介された。需要は女性だけじゃなく男性も少しだけれどあった。まあ、圧倒的に女性の方が需要があったが。

 逆援助交際を始めてから肉が食べれるようになった。肉を食べると力が湧き、もう少し頑張ろうと思えた。


 初夏、ビアガーデンで短期バイトを始めた。

 短期バイトなのに、ものすごい求人数だった。時給がよく、賄いがつくのが魅力的だった。仕事はきつかったが、仲間はワイワイと楽しかった。ようやく自分が大学生なのだと思い出せた。


 もし。

 もし、やり直せるならば。

 この時、悪い仲間と手を切っていたら。


 俺は人を殺さずにいられたかもしれないのに。



 

 暗い話をお読み下さって、本当にありがとうございます。

 グルグルと考え続けてわからなくなっていました。3節の内容に触れてしまうので割愛しますが、書けなくなっていました。

 お待ち下さっていた方には、本当に申し訳ありませんでした。

 本当は最後まで書ききりたかったのですが、最後まで書いてからの更新になると来週再来週になりそうな予感がしたので、短くてすみません。


 澄川はこの彼とほぼ同じ状況だったので、非常に書きやすかったです。援助交際はしてませんが社畜にはなりました。

 なるべく頑張りますので、またお読みくださると嬉しいです。 それでは、またお目にかかれますように!

 ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ