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黙視録 第1章  作者: 澄川あや


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第1節

残酷、暴力的な描写があります。

このシリーズはフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。読み物としてお楽しみください。

 幸せな家族だと思っていた。3歳年下の気立ての良い嫁。子どもは元気の良い年子の姉弟。ついこの間、小学生になり子どもの成長するのは早いとしみじみ思った。

 あれから4か月程度しか経っていないというのに。


 ああ、彼女に出会わなければ。

 自分が心の整理をつけれれたら良かったのに。

 そうしたら、きっと仲の良い家族で居られたのに。


 どうして、今は。


 こんなにも邪魔なんだろう。


 男の瞳に殺意が灯る。

 手近にあった3芯のCVケーブルを手に取り玄関を入る。

 公園セットがなく、子どもたちの靴がなかった。


 子どもはいないようだった。


 好都合だ。


 子どもに騒がれると面倒くさいことになる。天は俺に味方している。


 カチャカチャとキッチンから嫁が朝ごはんの片付けをしている音がする。ああ、そういえば昼は暑いから午前中の早い時間に公園に遊びに行っていると聞いた気がする。

「片付けをし終わってから合流するって言ってたか」

 なら、俺もこの女を片付けて迎えに行ってやろう。


 男はいつも通り靴を脱ぎ、リビングに入る。仕事に出、いつも深夜まで帰って来ない夫が急に帰ってきたので、妻は食器を洗い終えてから男のそばへ駆け寄った。


「どうしたの? 今日の仕事は?」

「……忘れ物があって帰ってきたんだ」

「そうなの。お昼ご飯におにぎりでも持っていく? 塩むすびならすぐ作れるから」

 妻がそう背中を向けた瞬間、男は輪にしていたケーブルを妻の首にかけ、絞めた。黒い2本のケーブルを外そうと妻は呻きながらもがくが、男の力が強く、妻は血走った目を見開きその場で力なく崩れ落ちた。

「これで、一番の邪魔がいなくなった」

 震える手に気づかず男は上を向いて笑った。


 ふと視線を感じる。

 強い悲しみの視線だ。


 男は妻の目が自分を責めているように感じた。仕方がないので寝室に行き、タオルケットと夏用の掛け布団を手に取る。

 なんとなく、あの視線を遮るには布団の方が良いような気がした。

 頭から無造作に布団をかけ、男は自宅を出、車に乗り込んだ。

「ガキどもを迎えに行くか」

 男も妻同様の血走った目をしてエンジンをかけ、エアコンの風に当たる。運転席に座ると夏の太陽は強く眩しい。男は助手席に投げていたサングラスを掛ける。サングラスが男の狂気を薄くした。

 お読み下さってありがとうございます。

 家人1と親友に過去1怖いと言われたお話ですが、いかがでしたでしょうか。

 家人1に怖すぎて一気に読めない。この位の短さが丁度良いとのアドバイスに甘え、新シリーズをスタートしてみました。怖いからアップしない方が良いかもという声は耳栓で聞こえませんでした。都合が良いのは澄川の仕様です!

 私も書きながら、これ最後まで一気に書くのは無理かもしれない。というチキンな澄川の判断で短い文量になってしまい、すみません。

 更新を楽しみにお待ち頂けると幸いです。


 出来れば年末に更新したいとは思っていますが、これから先、特別なイベントが5日に1度のペースであり、もしかしたら、こちらが今年最後の更新になるかもしれないので、フライングでご挨拶をさせてください。


 たくさんの作品の中から、出会って下さっただけではなく、お読み下さって、心より感謝申し上げます。来年も頑張って書いていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、またお目にかかれる事を願って。

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