Z星
ワタル、ジュンペイ、ネコの乗った宇宙船は地球を出発した。
本来の目的は、各大陸から3種づつ捕獲してくるはずだったが、ヒトは思いのほか思考力があると判断され、急遽目的を変更し、帰還することになったのである。
「Z星に到着するのは10年先とか?」宇宙は広いという漠然とした知識しかないワタルは聞いた。
「いやいや、2日で到着する」ミラーが答える。
「たった2日!随分近いんだね」ワタルは驚く。
「あんたたちの惑星の技術なら200年はかかるけどな」トレーがさらりと付け加え、さらに
「そのイヌとネコはオスか?」と続けた。
「イヌはメスで、ネコも・・確かメスだったような。」ネコはワタルたちに自然にくっついてきた猫の為、オスかメスかはっきりとは知らなかった。
「そうか。メスか。」トレーは少し下を向いてつぶやいた。
しかしこの宇宙船はちっとも揺れない。乗り心地が良いと言えば良いのだが、やることもないのだ。窓の外観てドキドキしたのは最初だけ。すぐに飽きた。しかし、やけに腹だけは減る。ワタルの食生活は1日3食だ。たまに2食の時もある。ジュンペイとネコは1日2食だ。しかしまだ出発して間もないのにもう10食目だ。食料は豊富にあった。なんせ2大陸捕獲者分の食料が食べられるのと、食性調査のために様々な食べ物が積まれていたからだ。
ワタルは何気なく腕時計を見た。「んっ?」日にちが3日進んでる。
ワタルは聞いた。「もう3日間飛んでるけど、2日で到着するんじゃないの?」
「は?まだ1日もたってねーよ。しかし哺乳類ってのはやけに食うよな」ミラーも不思議そうだ。
そんな会話を聞きながら、トレーはギン先生の言葉を思い出していた。「ポロンの調査によると、ヒトの寿命は約8年、イヌは2年、ネコも2年ということだ」
もしかして、「おい、ヒトの寿命はどれくらいなんだ?」トレーは聞いた。
急に寿命の話されてワタルは面食らったが、「地域によって違うけど、我々の住む日本って国はだいたい80歳くらいだな」
トレーは「なるほどな、そういう事か」と言ってにやりとした。
そして続けた「Z星の1日は、あんたらの惑星では10日に匹敵するわけだ」「つまり今現在帰還しているが、我々にとっては2日でも、あんたにとっては20日ってわけだ」
腹が減る原因は分かった。3日間経過しているのだから10食分は普通の事だ。
地球時間で20日後と分かると急に脱力感が襲ってきた。別に騙されたわけでもなく、半ば強引だったが、結局、最後は自分で行くと決めたわけなのだが・・とはいうものの引き返すことも出来ない。何を考えたって乗ってるしかないのである。「僕は社会の迎合を避けて生きてきた、かといって無頼で堂々と生きてきたわけでもない。辛いことはすぐにあきらめてしまう単なるアマちゃんだ。でも今回は引き返せない。この先起きることも全て受け止めていかなくてはならない」
梓ワタル 40歳 オス。生まれて初めて覚悟を決める。
ようやく、Z星に到着した。
3種の登場はZ人を驚愕させ熱狂させ、異様なブームとなった。哺乳類研究会なる団体も一気に増えた。
一方ワタルから見たZ星はまぁ空想の世界に出てくるような風景で、CG駆使した映画の世界そのものだった。「なんだここは、こんな文明世界が現実に存在したのか!彼らが攻めてきたら地球なんてひとたまりもないな。」ハリウッド映画などで、宇宙人が攻めてくる映画はたくさんあるが、決まって人類が勝つエンディングだ。でも現実は違う。こんなことも理解した。
明日は何度も話には聞いた、ギン先生とやらに会う日だ。いよいよ彼らの目的が明かされる。




