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対話

トレーとミラーがワタルに話しかけたのには意図がある。ギン先生から、もしかしたらヒトは思考する動物かもしれないと言われていた。もしそれが本当なら、いろいろ情報が聞けるかもしれないと考えたからだ。

腹を括ったワタルは「はい、そうですがなにか?」とまるで人間同士の会話のように返答した。

Z星人と地球人、お互いいきなりの遭遇で警戒しているため、刺激しないように言葉を選んだ。

「私たちは、調査のためにこの惑星に来ました。いろいろ教えてもらいたいのだが、よろしいかな?」トレーが尋ねる。

「てか、日本語を話せるんだ。教えるのは構わないが、その前にジュンペイを返せよ!」

「ジュンペイ?もしかしてさっきのイヌのことか?」今度はミラーが尋ねる。

「そうだ、ジュンペイが戻ってきたらあんたらの聞きたいことに答える」そう言うワタルをトレーとミラーはまじまじと見つめ、そしてお互いの顔を見合わせ、確信の合図を送った。

ヒトは思考し、イヌにも名前を付けるどころか、家族のように接している。おそらく周りをチョロチョロしているのはネコだろう。ここは一つあの「ヒト」を利用して一気に任務完了といこうじゃないか。そんな合図だった。

「わかったわかった、イヌは返す。そのかわりここだと目立つからぜひ艦の中に来てくれないか?ゆっくり話そうじゃないか」トレーは言う。

ワタルは言葉に詰まる。括ったはずの腹がだんだん緩くなる。「このままどこかに連れていかれるのでは?なにか体に埋め込まれるのではないか?最悪殺されるのでは?」ワタルは恐怖と不安に襲われた。風が吹き木々がざわめきだす。「艦に入ってしまえば逃げられない。完全にまな板の鯉だ。しかし、しかしだ、今の生活にも特に思い入れもない、私とジュンペイとネコの無事を約束させれば、これもこれで有りか。」そう考えたワタルは、今度こそギュッと腹をくくり直し「OKいくよ」とトレーの誘いを承諾した。

遂に艦の中に入った。おそらく人類で初だろう。ワタルはそんなことを考えながらトレーとミラーの後をついていった。前を歩く宇宙人は3本足で実に起用に歩く。多様性を認めるとはここまで入るのか?

「まぁ座ってくれ」トレーがイスを差し出す。3本足用のイスは幅が広めだ。ワタルが腰かけると、トレーは早速話し始めた。「ちょっと待った!その前にジュンペイを返してもらいたい!そして私たちの安全を約束してくれ」ワタルが話を遮り、言いたいことの全てを伝えた。すると即座にミラーが笑いながら言う。「もう君の隣にいるじゃないか。そして安全も保障する」

ワタルが横を見るとそこには既にジュンペイが座っていた。「いつの間に?!」ジュンペイはしっぽを振って再会を喜んでいる。体に何か埋め込まれなかったか、怖い思いはしなかったか、ワタルの脳裏に即座に不安が襲ってきたが、とりあえず元気そうなので一応安心はした。

ジュンペイが戻り、安全も保障された今、今度はワタルの方に約束を守る順番が回ってきた。

「聞きたいことって?」ワタルが尋ねる。

「君はオスか?」トレーが聞く。

「は?あぁまぁオスだ」こんな聞き方されたのは初めてだ。


「おー!トレーたち早速捕獲したか!イヌ、ネコ、ヒト揃ってる。」ギン先生は叫んだ。艦内の様子は、Z星から見ることが出来るのだ。ポロン、アガル、生物クラブの面々もその様子をジッと見守っている。

一通りの聞きたいこと聞き、かなりの情報を得た。ある程度Z星についての事も話した。これは彼を安心させるためだ。そしてトレーとミラーはいよいよ最後の質問をした。

「我々の惑星に一緒に来ないか?」

この質問の答えはZ星にいる者たちも耳を傾けていた。

**おー!来たかやっぱり、まぁどうせ断っても連れていかれるんだろうし、もう艦の中にいて逃げようがないじゃないか。ここは一つ従順を装い言う事を聞いておこう、その間にこっちも相手を知れるしな。まだ目的も分からんし**そう考えたワタルは「OKいこうじゃないか、なぁジュンペイ!ネコ!」となぜか笑顔で返答した。こんな場面で思うのもなんだが、ワタルはこんな途轍もない経験でこれからの人生変わるかもしれないと興奮していたのだ。



























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