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第33話 認められた証

 俺の発言により、様々なところから飛んでくるヤジ。俺がバレンであること、それがようやく認知されたからのようだ。


 一部の信者が味方する。『バレン様は我らのものだ』と。『ライレイアを信仰することこそ魔生物信教』だと。


 そこから連鎖するように飛び込んでくる言葉は『教皇の拘束をやめろ』。『信仰すべきものが教皇を拘束することこそ、恥』だと。


 俺の発言は賛否分かれ、会場が大騒ぎになる。途中、どちらが本当の気持ちなのか、全くわからなくなっていた。

 

 今の状況を作ったのは俺だ。全部俺の策略だと思われてもいい。むしろ、そう思っていて欲しい。なのに……。


「蓮。自信もって言ってよかったんだよ。僕はなんでも受け止めるから」


「優人……。俺が敵になってもいいのか? 俺の補助で第一部隊に入って、隼とも出会えて……。なのに裏切った俺を……」


「そうだね……。蓮はそう思っているんだろうけど、僕は全くそう思ってない。むしろ、今度からウニ丼を一緒に……」


「それは……。できない……」


 だんだん優人の顔を見るのが嫌になってきた。こんなにも胸糞悪いのは初めてか久方ぶりか……。


 俺は会場内では、信者が小声でコソコソ話し合っている様子。複数箇所から聞こえてくるので。全体がざわつき始める。


「其の赤目の方が。バレン・アレストロですと?」


「おうよ。ま、当時みたいにはいかないけどな」


「文献には、文献には容姿に関して記述はなかった。本当に本人なのか……。確認を……!」


 教皇が束縛から逃れようと踠き始める。そんなことをしても、俺の拘束から解放されることはないのにも関わらず。


「その必要。いらない。レン。ううん。バレンは本物。彼。記憶。覚えてる。彼の仲間。もういない。隠された生き残り。それがバレン」


「隼……」


「バレン。嘘。ついてる。裏切り。してない。裏切る? 教皇。拘束しない。今。バレン。教皇。拘束中」


「……ッ!?」


「隼さんの言う通りだよ。蓮は……! バレンは僕たちを裏切ったりしてない。裏切ってるのなら、残骸に対する僕の最適化なんてしない!」


 そうだよな……。たしかに。そうだよな。俺は自分が行った矛盾点にようやく気がついた。隼と優人の言う通りだ。


 俺は裏切りとは真逆の行動を取っていた。ここからできること。信仰元を全て俺に変えて、信者が残骸を食べ暴走しないようにする。


 それが、本当に俺がするべきことだと。なんで俺は気が付かなかったんだ。自分の失態に嫌気がさす。


「バレン。僕と隼さんに、次の行動を言って。僕ももう怖がらない。それが、残骸を自分の中に入れ消費することだったとしても」


「バレン。行動。教えて。じぶん。力なる。わからない。命令。くれ。終わったら。マタタビ。残骸。たくさん。くれ」


「本当にコイツらは……。わかったよ。ま、俺がマジで裏切れば、優人はなんもできねぇし。隼もつまんねぇだろうからな!」


「『うん!』」


 そうして俺は指揮を取る姿勢をとった。これが、俺のもう一つの人生になるんだと噛み締めながら。




 ――――――――――――――――




 僕は蓮の。いや、バレンの命令を待っていた。隼の洞察力と観察力のおかげで、バレンの本当の気持ちを理解できた。


 隼はすごい。僕よりも年下なのに、どの能力も一流で、バレンの力を借りてもきっと、追いつくことはできないだろう。


「バレン。僕はどうすればいい?」


「そうだな。この空間を雷魔法で明るくしてくれ」


「雷魔法!? でも僕はバレンみたいに属性変更は……」


「俺ができるって言ったらどうするんだ? 〝やらない〟と〝できない〟は違う。〝やろうとしないからできないんだ〟。俺がやってるところ見ただろ? オマエはコツを掴むのが早い。できないわけがないんだ」


「バレン……」


 たしかにそうだ。僕はやる前から諦めていた。バレンと僕は似たもの同士だと思ってしまう。しかし、バレンが続けた言葉は思っていたのと違った。


「オマエを見てると懐かしいよ。俺の友もオマエみたいに自信がないヤツだった。〝ロム〟っていう平民なんだがよ……」


「〝ロム〟?」


「おう。アイツはいつの間にか最高神みたいになっちまった。今じゃきっと、この世界の……(ことわり)の一部なんだろうな」


 バレンがそう思い出を語る。〝ロム〟という言葉。どこか自分も懐かしく感じた。だけど、思い出すことができない。


 そもそも、僕とそのロムという人物は別人だ。どこでその名前を知ったのかはわからない。なのに、ものすごくしっくりくるのは……。


「優人! おい! 優人!」


「あ、ごめん。バレン……。つい……」 


「まあいいか……。さっきオマエが考えていたことはわからないけどよ」


 どうやら見逃してくれたらしい。


「レン。優人。拒絶反応。確認。信者。暴走傾向。あり。かなり。残骸。食べてる。身体。持たない。排除? 救済?」


「排除か救済……か……。優人。景斗総司令はオマエの血液に関してなんか言ってたよな?」


「うん。僕の血液には、血液型がないって」


「なるほどな……。ふむ……」


 バレンが高速移動をする。僕の身体の真横を通過した時。そして通過したあと。彼の手には僕のスマホが握られていた。


 突然開く亜空間。それは黄金に輝いていて、景斗総司令の亜空間であることがわかる。そこから出てきたのは、注射器だった。


「オマエの身体には俺の一部がある。だから、最適化も早く済んだ。つまりは、オマエの一部を全信者に与えれば、彼らも最適化できるかもしれない」


「ぼ、僕の一部!?」


 僕は意味を悟ったものの、実行するかはかなり悩んだ。僕自身、注射器を使うことが怖いからだ。


 だけど、どんどん増えていく注射器に怖気付くわけにはいかない。僕は、バレン同様覚悟を決めることにした。


「隼さん! 注射器の管理と提供をお願いします!」


「優人。わかった。任せて。じぶん。頑張る。あとでマタタビ。くれ」


「あとでね。バレン! バレンの命令通り、僕は雷魔法を使うから、それと同時に行動開始して! 僕、頑張ってみる!」


「おう! 信者救済ミッションスタートだ! って、優人オマエが指揮とるなよ」


 とりあえず、無視しておこう。僕は過去にバレンが言ったように、『タイプチェンジエレキ』と詠唱する。


 全身に流れる電流。それは初めて使った時と同じ感覚。だけど、唯一違うのは脳内に浮かぶ文字列が全く読めないことだった。


 どれがどの効果を発生させる魔法なのかわからない。僕にはその文字列を噛み砕くができない。


 本当に僕は底辺だ。僕になんて、魔力水と球体を作る魔法だけで十分だ。だけど、今ここは明かりがない。光がない。


 僕が……、僕が頑張らないと……! その時、僕の身体に電流ではなく水流が流れた。水属性の魔法だ。


 そうか。難しく考えなくていいんだ。


「ウォータースノーボール! エレキボール! 同時展開!」


「『優人!?』」


 僕が作ったのは、水の球体をスノーボールに見立て、エレキボールを複数浮かべるという、ものすごく地味な魔法の組み合わせ。


 それでもこれが正解だったのか、空間がパッと明るくなった。これで安全に行動できる。


「隼! 僕の血液提供をお願い! バレンは!」


「暴走しかけてる信者の押さえ込みだろ? 俺が指揮するってんだから、番とるなよ!」


「それはごめん。でもスピード第一。急いで終わらせよう!」


「おう!」「じぶん。頑張る」


 僕は、チクリと刺さる針と失っていく血液に耐えながら、自分の任務を全うしようと心に決めた。


 暴走をしかけてる信者を優先して、救済という治療を施していく。現状に気が付いた信者が一人こう言った。


『自分は今まで何をしてきたんだ』と。これが洗脳が解けたという証なのだろう。救われていく人を見るごとに、安堵のため息をつく。


 教皇の処罰はバレンがしてくれた。そして、信者にはバレンを改めて信じるよう訴えた。


 しかし、会場は賛成派と反対派に分かれる。その時、反対派の代表としてきた女性。それは、永井の母親。永井ミサトだった。

本日もあと1話!!!!!!


次回更新は20時です。今のうちに第1話からおさらいしよう!!!!

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― 新着の感想 ―
バレンの正体が明かされてからが熱かったです…! 優人と隼の信頼と行動が光っていて、特に優人の魔法への挑戦は本当に手に汗握りました…。 そしてずっと気になっていた存在…、永井彩音。 永井の母・ミサト…
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