五番艦 「補佐官」
<前回のあらすじ>
碧は軍事の最高幹部達の話を聞き、この国の海軍の壊滅的状況を聞く。エルネア王国の再度侵攻まで猶予は1年程度。それまでに海軍を立て直し、国を守らなければならない。そんな無茶ぶりにも等しい頼みを碧は「船が造れるなら」と喜んで引き受けると、さっそくその準備を始めるのだった。
「あぁ~よく寝た」
碧は体を起こし、まだ眠気が残っている体をぐーんと伸ばした。
ふと何かを思い出すと、頭を左右に動かして周りを見渡す。
「…夢じゃなかったか」
謎の安堵感を覚えながらベッドから足を出して地面に立つ。
「とりあえず顔洗うか…」
昨日初めて見て驚いたがこの部屋にはかなり現代に近いお風呂がある。この国は習慣だけはかなり現代日本に近いように感じる。トイレも清潔に完備されていて洗面台もあった。この部屋だけが特別という可能性もあるが中世文明でこの様な習慣を持つ国はなかなか無い。
「そういえばこのランプも不思議だよなぁ。これも魔道具なのか?」
「コンコンコン」
部屋中の不思議な物に手当たり次第触っていると、扉をノックする音が聞こえた。
「アオイ様、お迎えに上がりました」
扉の外から落ち着いた明るい声が耳に伝わる。
(そういえば昨日補佐官が迎えに来るって言ってたな)
「分かった。今開けるよ」
碧は机の上にある紙をポケットに入れ、扉の方向へ駆け寄る。
取っ手を握り扉を開けると、直立不動の姿勢で立っていた女の子がいた。恍惚な顔で俺を見つめている。
水色に近い白色の長い髪とルビーの様に赤い目の可愛らしい顔が紺色の軍服でより際立って見える。
「初めまして!海軍本部の命により補佐官に任命されました、エノアと申します。階級は中佐です。これからよろしくお願いします!」
元気いっぱいな声が耳に響くと同時に心がドキッとする感覚に襲われた。
「知ってるかもしれないけど俺は碧。こちらこそよろしくな」
碧が自己紹介するとエノアはぼーっとした顔でしばらく碧を見つめる。
「ん?…おーい大丈夫?」
「はっ!だっ大丈夫です!すみません!」
碧の呼びかけにエノアは動揺しながらも我に帰る。
「えっと…それじゃアオイ様、行きましょうか。」
「そうだな。最初の予定は確か兵器開発の指南だっけ?」
「あれ、ご存じでしたか」
「まぁ、昨日、宰相殿が言っていたからな」
「なるほど。そうですね、今日は海軍兵器開発局の視察と指南、それと海軍と軍艦の視察の予定です。そのために今から『ストルハーヴァン軍港』に向かいます。細かい説明は歩きながら話しますね」
そう言うと2人は城の廊下を歩き始めた
「そういえばストルハーヴァン?ってどこにあるんだ?」
「あぁ、えっとですね、ちょっと待っててください」
エノアは腰につけてある小さなバッグから紙を一枚取り出して広げて見せた。
「ここの黄色の丸で囲まれてる場所が今私達が居る都市、『皇都 アマテリア』ですね。そしてこの海沿いの白点が軍港、その中の一つの赤い丸で囲まれてる白点が『ストルハーヴァン軍港』です」
エノアは歩きながら器用に説明する。
「なので今から馬車に乗って行く感じですね。」
「分かった。何から何まですまないな」
碧はエノアの方を向き、申し訳なさそうに言う
「えっいえいえそんな!補佐官としてこれが仕事なので!」
エノアはびっくりした顔をして慌てて言った。
碧は足を止め、優しい声で言う。
「そうか、ありがとう。改めてこれからよろしくな、エノア補佐官」
「はい!補佐官として誠心誠意全力でサポートしていきます!。それと名前を呼ぶときはエノアで良いですよ。アオイ様」
その声はとても嬉しそうだった。
誤字脱字、ここの文少し変、ここはこうした方が良いなどと思ったら是非コメントをお願いします。




