服選び
遊園地に行くとなると、どのような服装がいいのだろうか。
考えたが、何も出てこない。
そこで俺は数少ない友人であり、現在で唯一の女友達に頼ることにした。
メッセージで、
『女の子と遊園地に行くことになったから、服選びに付き合ってくれ』
と連絡すると速攻返信が返ってきた。
『もっしかして小鳥遊さんとやな!? うち絶対二人は付き合ってると思ってたんや! ええでええで!』
というわけで、放課後。
俺は関西弁キャラの鳳渚と買い物に行くことにした。
「がははは! うち、おたくに彼女ができたって知った時はびっくりしたんやで? それも学校の天使様と来た! 実はやりてだったんやなー?」
ちなみにこの子は関西出身じゃない。
あくまでも関西弁キャラである。
しかし服装で頼れる友人は彼女くらいしかいないので、頼むことにした。
「で、予算はなんぼくらいあるんや?」
「うーん。三千円ってところかな」
三千円。そう言うと、彼女は思い切りツッコミを入れてきた。
「なんでやねん! お前、デート用に着ていく服の予算ちゃうぞ!!」
ちなみに駅前である。
彼女のツッコミの声も大きかったので、通行人が訝しげにこちらを覗いてきた。
しかしそこは関西弁キャラ。
どこまで言っても関西魂は持っているようで、周囲なんて気にしていない様子だった。
「お前のあだ名決まったわ。服屋の名前から取ってしまうま男子やな」
「なんだよそれ。不名誉すぎるわ」
「お前の予算がそうさせちょるんやろがい!」
しかし、本当に三千円くらいしかおろしてきていないので、しまうま男子と言われても仕方がない。
というか、間違いなくこの持ち金だとしまうましか行けないだろう。
反省しないとな。
「まあ、しまうまでも多少はいい感じにはできる。うちにまかせんしゃい!」
「それはありがたい。頼んだぞ、関西弁!」
「おう! って関西弁言うな!」
どうやら関西弁なのを指摘されるのは嫌ならしい。
……一体全体、鳳はどういう心境で関西弁キャラをやっているんだ?
ともあれ、俺たちは服屋であるしまうまに移動し、鳳に言われるがまま服を揃えていく。
「パンツは……これでええな」
「それパンツじゃないだろ。鳳、それはな、ズボンって言うんだ」
「お前……どんだけファッションに興味ないんや……。まあええ、言われるがままうちが選ぶ服を着ろ!」
どうやら俺は恥を晒してしまったらしい。
……うわ、本当だ。今調べてみたらズボンのことパンツって呼んだりするんだ。
早めに知識を付けておいてよかった。
もし小鳥遊の前でそんなこと口走っていたら、彼女にも恥をかかせてしまう。
鳳がすごい速度で服を吟味し、俺に試着させてを繰り返す。
「ええ感じやん! これで行け!」
最終的に、白を基調としたさわやか系なファッションになった。
これが三千円以内のファッションか……。
「お前、本当に服を選ぶ才能はあるな」
「えっへん。まあ、うちの母親が服屋で働いてるからやな! それも高級店や!」
「ははぁ……センスってすげー」
でもこの様子だと、デートに行っても問題はないような服装になった。
よし。これで自信を持って遊園地に行ける。
「鳳、悪いな。お礼として余ったお金で飲み物でも奢るわ」
「おっ! ええやん! コーヒーがちょうど飲みたいところヤッたねん!」
駅前と言うこともあり、近場に喫茶店があったのでそこでコーヒーを奢った。
ただ、放課後の忙しい時間に付き合ってもらったのでこれだけだと少ないかな? と思っていたのだが。
「お前、なんだか幸せそうでうちも嬉しいわ。お礼なんてそれだけで十分やでー」
と言ってくれたので甘えることにした。
彼女には本当に感謝しないといけないな。
……日曜日か。
明々後日の今この時間帯に、小鳥遊と遊園地に居ると考えたら少しだけ不思議な気分になる。
「なんや、うちのことぼーっと見て。早速浮気か? やん」
「違うわ」
新キャラ登場です!関西弁キャラの女の子ですね!次話で今日の更新はラストです!
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