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昔の話(小鳥遊視点)

「今日も夏樹くん、素敵だったなぁ」


 学校が終わり、小鳥遊はベッドに寝転がりながら呟いた。

 今日の帰りはコンビニによって、珍しいカップ麺を買った。


 クリーム豚骨味というゲテモノ……。

 食べてみたけど、不味すぎて後半は泣きそうになった。


「私、今幸せだなぁ」


 寝返りをうって、スマホの画面を眺める。

 そこには夏樹のトーク画面が写っていた。


『危ないからやめろ』


 彼の優しさが詰まった一文である。

 ……夏樹は覚えているだろうか。


 いや、あの様子だときっと覚えているわけがない。


「私、そう簡単に誰かと付き合うビッチじゃないんだよね。さすがにそれは分かってるだろうけど」


 小鳥遊は昔、夏樹に助けてもらったことがあった。

 もう何年も前だ。


 小学生の頃。一緒の学校ですらなかった時のこと。

 小鳥遊は、クラスメイトからいじめられていた。


 理由は単純で、クラスの女子代表の子が小鳥遊を気に入らなかったから。

 ただそれだけである。


 当時、小鳥遊は公園に毎日のように呼び出されては水をかけられたり土を投げられたり。

 それはもう悲惨な目にあってきた。


 今日もまたいじめられるのか。

 なんて思いながら、公園に行き。小鳥遊はバケツいっぱいに入った水を浴びせられそうになった時のことだった。


「お前ら、なにやってんだよ!!」


 小鳥遊の目の前に割って入って、自ら水を浴びる少年の姿があった。

 びしょ濡れになった状態でも、自分のことなんて気にせず、


「お前、大丈夫か?」


 小鳥遊の肩を掴んで、まったくの他人なのに心配してくれたのを覚えている。

 自分はなんて答えたらいいのか分からず硬直していると、ばっと振り返って。


「お前ら、いじめなんて最低なやつがすることだぞ! この辺りだと……あそこの小学校だろ。先生に報告してやるからな!」


 その一声で、小鳥遊をいじめてきた人たちは全員が散った。


「あの……ありがとうございます。えっと、名前は……」

「俺? 俺は夏樹幸人。正義のヒーローだ!」


 ニシシと笑う姿は、とても素敵だった。

 今思えば、正義のヒーローだなんて本当に小学生だなって思う。


 それに、今はクラスでも地味な陰キャになってしまってるし。


 でも、彼は私にとってヒーローだ。


「あ、そうだ。せっかく付き合い始めたんだし、明日からお弁当作ってあげようかな」


 びっくりするかな?

 どんな表情を浮かべるんだろう?


 想像するだけで、ドキドキが止まらない。


「明日が楽しみ……!」


 そう言って、小鳥遊は枕に顔を埋めた。


小鳥遊の理由!


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