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連絡先交換

「私たち、そう言えば連絡先交換してなかったね!」

「ああ、そういえばそうだな」


 次の日の学校。昼休みに、俺たちは食堂に行って食事を摂っていた。

 小鳥遊はカレーを頬張りながら、いそいそとスマホを取り出す。


 というか、昼からカレーだなんてガッツリ行くな。

 彼女が昼休みになると消えるのは知っていたが、まさか食堂でガッツリカレーを食べていたなんてな。


「ほら、俺の連絡先」

「ありがとー! うふふ、初めてお父さん以外の男の人の連絡先ゲットした……!」

「お前どんだけ神聖視されてんだよ……」


 まあ、彼女が神聖視されているのは昨日から痛いほど知った。

 今日ももちろん、周囲の視線が痛い。


「……あれ、たまたま席が近くにいるだけだよな。まさか童貞陰キャの夏樹と小鳥遊様が仲良くするわけがない」

「きっとそうだね。連絡先交換とか言ってたけど、きっと何か学校行事のあれだよ。それでも羨ましいのには変わりないけど……」


 男子生徒が恨めしそうにこちらを見てきている。

 いや、どちらかと言えば現実逃避をしているような感じだ。


 お互いの肩を叩きあい、慰めあっているようだ。

 というか、俺が童貞なのは前提なんですね。


 ぼうっと眺めていると、スマホが震える。


 ちらりと一瞥してみると、小鳥遊からメッセージが届いていた。

 ……なぜウサギとライオンが追いかけっこをしているスタンプを送ってきているんだ。


 センスが恐ろしいぞ。


「初トークー♪」

「なら俺も送ってやるよ」


 俺も仕返しと言ってはなんだが、悪ノリで買った棒人間がベッドを上り下りするスタンプを送った。


「なんだか除霊できそうなスタンプだね」

「お前そのネタ知ってるのかよ」


 まさか学校の天使様がそんなスラングを知っているだなんて思いもしなかった。

 でも、携帯小説を読んでいるらしいしネットに触れていてもおかしくはない。


 だが、ユートピアを知っているのはどうかと思うぞ。

 本当にびっくりだよ。


「……これで、いつでも電話したりトークしたりできるね」

「ああ……そうだな」


 天使様の連絡先をゲットしてしまった俺。

 多分、というか彼女の発言からして俺が学校で――世界で初めて天使様の連絡先を持ってしまったのだろう。


 そう考えると、少し恥ずかしいな。


「あ、私先生に頼まれていることがあったんだった! ごめん、先教室に戻ってるね!」

「分かった。それじゃあな」


 カレーを大急ぎで完食した小鳥遊は、慌てた様子で食堂を去っていく。

 俺は一人、うどんを啜りながらスマホを眺めていた。


 ◆


 俺も俺で食べ終わったので、のんびり教室の戻ることにする。

 食堂は学校の外にあって、体育館の前を通ることになる。


 もちろん、別にそれは俺にとって当たり前のことだ。

 だが、ふと聞き覚えのある声が聞こえてきた。


 体育館の入り口の横、細い通路からだ。

 俺が知っている人なんて、数少ない。


 気になって覗き込んで見ると、


「椎名……それに小峠か?」


 先日、俺のことを振った椎名とある意味有名人の小峠大輔。

 どうしてこの二人が一緒にいるんだ?


 聞き耳を立てるのは悪いことだと分かってはいるのだが、気になってしまい物陰に隠れて耳をすませる。


「オレと付き合いたいのか? へへ、いいぜ。オレもちょうど誰かと付き合いたかったんだ」

「ほ、ほんと!? ありがとう!!」


 おいおいおいおい。

 嘘だろ。椎名が好きな人って小峠のことだったのか!?


 小峠はある意味有名人と言ったが、理由としては彼女をコロコロと変えヤッては捨ててを繰り返す最低な野郎だからだ。

 顔はいいのだが、性格は正直最悪。悪評は学校の生徒間でも有名だった。


 ど、どうして椎名は小峠を選んだんだ……?


「……いや、もう俺には関係ないんだ。……戻ろう」


 このままだと、彼女の破滅エンドは避けられないだろう。

 だが、椎名は俺のことが嫌いで、気持ち悪いと思っていて。


 そっちの方がいいなら、俺はもうどうでもいい。

 復讐したいなんて考えたが、もうする必要はないかもしれないな。


 それに、この光景を見ていたら馬鹿らしく思えてきた。


 教室の方へ歩いていると、スマホが震えた。


『うぇーい! 私たちの教室の窓を見てみてー!』


 なんだなんだと校舎を見上げてみると、そこには窓から身を乗り出して手を振っている小鳥遊の姿があった。

 とりあえず俺は、


『危ないからやめろ』


 と連絡して手を振り返した。

 少なくとも、俺は椎名より幸せになっていると思う。


追加シーン二話目です!!楽しんでいただけたら幸いです!!



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