鳳と喫茶店にて
「ミルクコーヒーお願いします」
「あれ、関西弁は?」
「うっさい黙らんか!」
喫茶店へと出向いた俺たちは、のんびり放課後の時間を楽しんでいた。
といっても、生徒会長の件もあるので内心は少し焦っているのだけれど。
まあ、だからこそ喫茶店で落ち着くのも悪くはないと思う。
ちなみに鳳はちゃんと、俺の正面に座っている。
鳳も隣に座ってきたら、そろそろ自分の常識を疑うところだった。
テーブル席ではお互い向かい合って座るのではなく、必ず隣同士に座るのが常識なのだと無言で考えることになるのは避けれたらしい。
「で、夏樹は椎名とはどうなったんや」
「……それか。やっぱり気になるよな」
いつかは聞かれると思っていたので、丁寧に説明することにした。
すると、鳳は腹を抱えながら笑った。
「ど、童貞だからって振られた上に……話しかけるなって……! こりゃ傑作やわ!」
「やめてくれ、頼むから大声で童貞だなんて叫ばないでくれ」
彼女はひとしきり笑った後、ぜぇぜぇと言いながら自分を落ち着かせていた。
そんなに面白いのかよ……。
「で、幼馴染は小峠と付き合ってるわけか。確かに小峠は顔だけはいいからな。それに童貞じゃないのは間違いないし、椎名なら選びそうやわ」
適当に駄弁っている間に、注文した品が運ばれてくる。
鳳は美味しそうにミルクコーヒーを啜りながら、考える素振りをする。
「そういや、女子の間で話題になってるで。椎名、あいつだいぶメンタルキテるって」
「やっぱりそうか……。実は俺、最初こそ復讐しようだなんて考えていたんだけど、今は馬鹿らしくなっててさ。……あんなのでも幼馴染だから、困っているなら助けてあげたい気もする」
そう言うと、鳳は呆れたような表情を浮かべる。
「ええやろ別に助けんでも。お前、さんざんなこと言われたんやろ?」
「言われた。……俺、お人好しすぎるのかな?」
「お人好しすぎるわ。ただ、お前がしたいなら止めはしないで。でもそうやな、せめて向こうから「助けて」って言われた時にでもいいやろ。椎名はそれだけのことを言ってるんや」
「……そうだな。そうする」
「それよりも、ほら。はよ飲まんと冷めてまうで?」
「ああ。ありがとう」
俺は、少し冷めてしまったコーヒーを啜る。
うん。やっぱりここのコーヒーは美味しい。
冷めてしまってもこれなんだから、ここのオーナーの手腕は確かなものなのだろう。
「考えすぎはよくないで? 小鳥遊にでもいいし、難しかったらうちに相談しいや」
「ありがとう。色々とすまない」
「ええんやで。これでも中学からの仲なんや。これくらい、いくらでもしてやるわ」
彼女は笑いながら、ミルクコーヒーを美味しそうに飲んだ。
「あ、デザートも頼んでいい?」
「……五〇〇円以内な」
「太っ腹やなぁ! すみませーん、チョコケーキ一つ!!」
今日の更新ラストです!今日はほんと一気に更新しましたね、疲れました!!
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