誰も人体錬成の話してないからね
「あ、そう言えば小鳥遊とはどういう経緯で付き合い始めたんや?」
「一週間ごとに夏樹くんの童貞を卒業させてあげるって言ったら付き合ってくれたの」
水曜日。週の真ん中で月曜日の次に憂鬱な日。
昼休みの屋上で集まった俺は、鳳に思い切り軽蔑の目を向けられていた。
「お前……小鳥遊さんにそれ言わすレベルまで追い詰めたんか? やっぱりあの張り紙は本当だったんじゃ……!」
「違うから! 断じて違うから! 嘘はよくないよ小鳥遊さん、そういうの本当によくない」
どうして真っ昼間からこんな話をしなければならないのだ。
というか俺は違う。断じて違うからな。
確かに童貞を卒業させてあげるからって付き合い始めたけど、正直その存在を忘れていたし。
いや……過去を振り返ってみれば間違ってはいない……。
駄目だ。いくら弁解しようにも俺が悪い感じになっちゃうじゃん!
「嘘……? 水35L、炭素20kg、アンモニア4L――」
「違うね。誰も人体錬成の話してないからね」
てか、どうして『嘘』ってワードだけでそれが出てくるんだよ。
俺もアニメは見るが、その単語だけじゃ人体錬成なんて出てこねえぞ。
というか覚えてるのすげえな。
「お前ら……まだ高校生やのに早いで! 人体錬成って……ほんまやめてや! 考えるだけでうち、恥ずかしくなってきたわ!」
「鳳も違うからね。そういう意味じゃないからね、ひーひーふーの方じゃないからね!」
確かに童貞の話から人体錬成って単語が続くと、知らない人なら連想してしまうかもだけども。
断じて違うから。本当に違うから。
「まあ……ええわ。んで、小鳥遊は本当に夏樹のことが好きなんか? ちょっと今の話聞いて改めて不安になってきたで」
「大好きだよ。もう教室で叫ぶくらいには大好き」
「ああ……聞こえてきたわ。突然聞こえてきたから何事かと思ったで」
やっぱり鳳の教室にまで聞こえていたのか。
まあ、そりゃそうか。あんな大声で叫んだら聞こえないわけがない。
「まあ、陰キャでクソ真面目で。尚且ちょっと性格の悪い夏樹にいい彼女ができて、なんやかんやでうちは嬉しいんやけどな」
「鳳、お前本人目の前にいるからな。ちょっとは自粛しろよ」
「うん。陰キャで変なところでクソ真面目で。尚且微妙な性格をしてる夏樹くんのことが好きなんだー」
「ねぇ。もしかして見えてない? 俺いるよー、ここいるよー」
というか、小鳥遊さん更に俺の心エグリに来てない?
殺意めちゃくちゃ高いんだけど。かなり鋭利な刃物向けられている感覚なんだけど。
「あ、せや。小鳥遊さんや、今日ちょっと夏樹借りてええか? ちょっと二人だけで話したいことがあるんや」
「うーん? 別にいいけど。もしかして夏樹くんのこと横取りしようとしてる?」
「んなわけあるかい。人の男に手ー出すほど困ってないわ。それに夏樹を選ぶくらいなら、もっとええ男探すわ」
「うん。やっぱり見えてないよね。そろそろきついよ」
ともあれ、なにか重要そうな話しなのは間違いないだろう。
鳳の方から俺を呼び出すことなんて滅多にない。
……いや、あるわ。普通にだる絡みされてるわ。
「まあ、俺はいいけど。小鳥遊は構わないか?」
「いいよー。鳳さんのことは信用してるし、もし横取りなんてしたら学校から追放する。あ……駄目だ、追放なんかしたら後からチートスキルなんかを授かってざまぁされちゃう……」
「ん? ちょっと俺が知らないネタが出てきたぞ。それも小説のジャンルなのか?」
「知らないの? 時代遅れだねー。それじゃあ今日の宿題は追放ざまあを覚えること。その後は婚約破棄を履修しようね」
「……まあ、一応調べてみるわ」
「お二人さんや、イチャイチャするのはいいけど置いてけぼりは寂しいわ。ともあれ、それじゃあ放課後校門前によろしゅうなぁ」
今日も元気に投稿していくぞー!!頑張ります!!
今日の昼はもしかしたら一位落ちしちゃうかもしれませんが、どうにか頑張ります!落ちたとしても、目指せ奪還!
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