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攻めの反対が受けって解答している時点でもう確定だろ

 帰路。いつもならクレープ屋の前を通って、買うか買わないかを悩む毎日。

 だけれど、今日はいつもとは違う道を使っている。


 理由としては単純で、俺おすすめの喫茶店へ向かうためだ。

 俺たちの家の方角は途中まで同じなため、少し遠回りになってしまう。


「ふふーん! 喫茶店楽しみだなぁ。今日は奢ってもらおっと」


 なんやかんやで彼女は楽しそうにしているので、気にする必要はないのだろう。

 いつもの道を外れ、少し歩くとどこか落ち着いた外装をしている店が見えてくる。


 海外発祥のおしゃれな場所ではなく、普通の田舎ならどこにでもありそうな個人営業の喫茶店だ。

 カランカランと言う軽やかな音とともに入店し、席に座る。


「……どうしてわざわざ隣に来るんだ」


 テーブル席に座ったため、もちろんのこと正面にも座ることができる。

 なのに何故か彼女は俺の隣に座ってきた。


「自分へのご褒美?」

「これがご褒美になるならいいけどさ……ちょっと近すぎない?」

「いいじゃん別にー。嫌?」

「……嫌じゃない」


 嫌ではないが、主婦や老夫婦らしき人たちが微笑ましそうに眺めてきているのが恥ずかしい。

 若いっていいわよねぇ、なんて考えているのだろうか。


 とにもかくにも、このままイチャツイているのもなんなのでメニュー表を取る。


「ここのコーヒーはめっちゃ美味しいんだ。ブラックが特におすすめだが、苦手ならミルクコーヒーでもいいと思うぞ」

「そうだねぇ。君がブラックにするなら、私もブラックにする!」

「ほほぉ。なかなかいいじゃないか。なら語り合おうぜ、ここのコーヒーの良さを」


 そうして、俺は店員さんにオーダーを通してしばらく待つ。

 すると、奥の方からコーヒーのいい香りが漂ってきた。


「いい香りだね。夏樹くんの言っていることは、どうやら本当のようだ」

「嘘なんかつかないよ。ま、楽しみにしてな」


 自分が作るわけでもないのに、何故か鼻を高くする俺。

 こういうのを面倒な客というのだろう。


 ……なんで自傷してんだ俺。


「おまたせしました。ブラックになります」


 俺たちの正面にコーヒーが並べられる。

 おお……やっぱりここのコーヒーは香りから違う。


 調理中もそうだったが、いざ目の前に来るとまさに嗜好品。

 お酒だとかタバコだとか。そういうのには微塵も興味ないし、するつもりもないのだけれど。


 このコーヒーをそれらに置き換えてみたら、癖になってしまうのもよく分かる。


「おお……! すごいね。なんだか本格的!」


 目をキラキラと輝かせながら、小鳥遊はコーヒーに手を伸ばす。


「あちっ」

「そりゃ持ちて部分じゃなくて本体持ったら熱いよ」

「えー、ほら。両手を使って持ち上げるような形で飲んだ方が可愛いかなぁって」

「確かに可愛い……かも。けど火傷したら危ないから普通に飲みましょうね」

「はーい」


 そう言って、彼女は持ちて部分を持ってコーヒーを啜る。


「苦い」


 うべぇっと舌を出して苦笑する。

 俺も思わず笑ってしまった。


「無理はしなくていいのに」

「だってー、君がブラック飲むって言ったからー」

「はいはい。それじゃ砂糖入れましょうねー」


 砂糖が入った入れ物を小鳥遊に手渡す。

 相当苦いのが苦手だったのだろうか。スプーンで思い切り掬って砂糖を投入していた。


「これで飲める」

「砂糖の入れすぎは良くないぞ」

「女の子の体は水分一割、砂糖九割で出来ているので問題ないのです」

「ただの砂糖菓子じゃねえか」

「舐める?」

「舐めない」

「恥ずかしがらなくてもいいんだよー。ほら、私の手舐めてみなよー」

「どういうプレイだよ」


 喫茶店で主婦や老夫婦たちが見守っている中、女子の手のひら舐めるとかできるわけないだろ。

 バカップルにもほどがある。


「女王様と従僕?」

「お前さ……携帯小説でもわりとディープなやつ読んでるだろ」

「私の心は十八歳以上なので、確認ボタンはスルーできるのだ」

「はいアウトー、言質取ったからな。アカウントID教えろ、運営に報告してやる」

「それだけはやめてください。死んじゃいます……」


 R18に飢えている女子高生を見ることになるとは思わなかった。

 というか、普通の女子高生ってこういうのが好きなものなのか?


「攻めの反対は?」

「もちろん受け」

「守りな」


 よーし、付き合って一週間弱。

 彼女がどのようなジャンルの小説を読んでいるのか分かってきたぞ。


 こいつ、腐ってやがる。


「あ、違うよ! もちろん健全というか、少子化に貢献しまくってる小説も大好きだから!」

「おーけー分かった。もういいぞ。これ以上は自分の首を締めるだけだ」

「ちーがーうーかーらー! 私は特殊性癖の持ち主じゃないからー!」

「やーめーろー。ここは喫茶店だぞ。そういうのを大声で言わないの。周りを見てごらん。他のお客様がニヤニヤしていらっしゃいますよ」


「己の性癖を公然の場で暴露する……これはこれでありなのでは……!?」

「なしだから。それよりも自分が学校の天使様って呼ばれてるの忘れてるぞ。思い切り堕天してるからな」

「堕天使ってかっこよくない?」

「小鳥遊……自分がさっきまで言ってた言葉を反芻してみろ」


 この天使様は時々、自分のキャラを見失う。

 というか、これが本来の天使様なのだろう。


色々と盛りだくさんな話が続きます!そして、今日の朝も一位!ありがとうございます!


ですが、昼の集計からは少し怪しくなってきました。そこで、まだ評価をしていない方にお願いです。


少しでも応援したい、更新頑張れーと思ってくださった方は広告下の☆☆☆☆☆を★★★★★に染めていただけると嬉しいです!


本当に励みになります!!


どうかよろしくお願いします!!

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