椎名の失敗(椎名視点)
「私は、夏樹幸人くんのことが大好きです! 誰よりも、誰よりも愛しています! だからみんな、こんなデマに騙されないで!!」
椎名は、小鳥遊の発言に動揺していた。
誰にもバレないように、紙をばら撒いてみんなを『夏樹は悪』に持っていったのに、当の本人がそんな発言をするなんて思ってもいなかった。
だって、彼らは付き合いはじめてたった一週間。
それだけの日数で、こんな発言をできるなんて痛いにもほどがある。
だけど、相手は天使様。
学校中の誰もが神聖視をしていて、信用している人物。
そんな人が大胆にもそんな発言をしてしまったら、誰もが信じてしまうに違いない。
「私は、夏樹くんのことが本当に好き! 脅されてなんかいないし、もしそうなら誰かに助けを求めてる!」
くそ。くそくそくそ。
どうして、たった一週間の恋愛でそこまでの発言ができるのよ。
自分なんて、小峠に脅されるような真似をされているのに。
童貞なんて絶対に幸せになんてなれない落ちこぼれだと思っていたのに。
どうして天使様と付き合えて、あたしより幸せそうなのよ。
「……そうなのね。分かった。わたしたち信じるね」
「夏樹、悪かった。俺たち、お前を嫉妬していたのかもしれない。そんな時に、こんな都合のいい情報が流れてきたから、疑いもせずに信じちまった」
みんながこの情報がデマだったと信じてしまっている。
もうどうしようもない。作戦は失敗だ。
夏樹のことだから、あたしのことを疑ったりはしないだろう。
でも……犯人は自分だ。
とにかく今はバレないように自然に振る舞おう。
もし、この情報をばら撒いたのがバレたら、夏樹より下の存在になってしまう。
椎名は机を眺めながら、歯を食いしばった。
その時、スマホが震えた。
椎名は「どうしてこんな時に……」なんて思いながらスマホの画面を覗く。
『今日の放課後、ちょっと遊ぼうぜ』
小峠からだった。
文面を見た瞬間、背中がゾクリとした。
大丈夫。別に何かされるわけではない。
以前、そういうのはもう少し付き合ってからお願いと頼んだ。
そして了承を得たのだ。
だから、今回は普通にちょっと遊ぶだけ。
でも……なんでだろう。
どうして夏樹より自分の方が不幸な気がするのだろう。
童貞じゃなくても、クソ野郎はクソ野郎だと言う事実を知ってしまったからだろうか。
いや……多分違う。
彼らは幸せそうにしている中、自分は幸せになろうとせず。
幸せそうな彼らを貶めようとしているからだ。
この行為自体が不幸そのもので、彼らよりも劣る部分なのだ。
自覚してしまったら、より一層自分のことが恥ずかしくなってくる。
もう……あたしは引き返せないのだろうか。
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