私は、夏樹幸人くんのことが大好きです!
「夏樹! これほんまかいな!?」
学校に到着するや否や、俺は紙を大量に抱えた鳳に絡まれる。
なにやらかなり混乱しているような感じで、あたふたとしていた。
「どうしたどうした」
「鳳さん落ち着いて」
俺と小鳥遊は、どーどーと鳳を落ち着かせる。
だがまあ、彼女の焦り具合は止まらない。
「これ見てみい!」
何枚も重なっている紙を一枚抜き取って、目の前に突き出してきた。
……な、なんだこれ?
紙には、大きなフォントでこんなことが書かれていた。
『小鳥遊梨里は夏樹幸人に脅されている。学校の天使様を我々で救おう』
なんだこの事実無根な内容は。
鳳が持っている紙を拝借し、全てに目を通す。
「なぁ、この紙。どこで拾ったんだ?」
「学校の掲示板や廊下。いろんなところに貼られてたんや! こんなのありえないと思って慌てて回収してきたんやけど、学校の一部ではちょっとした騒動になってるで!?」
「嘘だろ……?」
思わず呆然としてしまう。
事実無根な内容ではあるが、陰キャで根暗な俺と小鳥遊の信用度は遥かに違う。
それに小鳥遊には数多くのファンもいるため、このような内容の物がばら撒かれていたと考えると、一部の層が俺に対して行動を起こそうとしていてもおかしくはない。
「こんなの酷いよ! ねぇ、これ誰がばら撒いたか分からないの?」
「分からん……夏樹に対して嫉妬しているやつはぎょうさんおるからな……。その誰かやと思うけど……」
鳳の言っている通りだ。
自分で言うのもなんだが、俺に対して恨みを抱いている人は少なくともいると思う。
「と、とにかくや。夏樹は慎重に行動しいや……! 刺されてもおかしいないで。んで、小鳥遊さんは誤解を解いてやってほしい。多分、小鳥遊さんにしかできないことや」
「分かった……」
「任せて。私が誤解を解く」
そうして、俺たちは自分たちのクラスに向かうことになる。
鳳とはクラスが違うので途中で別れることになった。
移動中もそうなのだが、俺に対する視線がすごい。
殺意が籠もっているというか、いつ何をされてもおかしくない状況だってのは簡単に分かる。
教室の扉を開くと、女子が小鳥遊の腕を掴んで俺から引き離し、俺は男子生徒に腕を掴まれた。
「おい、夏樹。お前、最低だな」
「少しは祝福してやってたんだけどね。これはさすがに見過ごせないよ」
「ち、違う……! 俺は断じてそんなことはしていない!」
だが、いくら弁解しようたって男子生徒の威圧は止まらない。
なんなら酷くなっているほどだ。
拳を握りしめ、今にも殴りかかってきそうな状態になっている。
や、やばい。普通にやばい。
このまま俺の高校生活は詰むのか? まだ高校一年だぞ。せっかく入学できたってのに、これが原因で不登校コースとか勘弁してほしい。
「ちょ、小鳥遊さん!? そっちは危ないって!」
小鳥遊が女子生徒を振り払い、こちらに走ってきた。
そして、
「やめて」
言って、男子生徒の腕を握る。
「暴力なんて最低だよ。それに、あんなデマを簡単に信じて夏樹くんを迫害しようとするなんてことも最低」
小鳥遊は男子生徒にすごい剣幕で迫る。
さすがに男子生徒はそこまでされたら何もできないのか、俺から一歩下がった。
「夏樹くん、大丈夫?」
「ああ……また助けてもらっちゃったな。すまない……」
「いいんだよ。それよりも、誤解を解かないとね。大丈夫、少し私が恥ずかしい思いをするけど、任せて」
「え、どうするつもりなんだ?」
俺の返答を無視して、小鳥遊は教壇に上がる。
すっと息を吸い込み、教室を見渡した。
小鳥遊が真剣な表情で教壇に立っているので、誰もが彼女に注目している。
そして、小鳥遊はこう言い放った。
「私は、夏樹幸人くんのことが大好きです! 誰よりも、誰よりも愛しています! だからみんな、こんなデマに騙されないで!!」
顔を真っ赤に染めて、教室中。
いや、この階全体に響き渡るような声で高らかに宣言した。
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