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椎名の悪巧み(椎名視点)

「……くそ」


 椎名は一時間目、古典の授業を受けるために席に座って待機していた。

 ホームルームも終わり、あとは担当の教師がやってくるのを待つのみ。


 だが、ふと目をやると夏樹たちが楽しげに教室を抜け出す姿が見えた。

 どこへ行っているのかは分からない。


 だが、椎名にとってはそれが妬ましくて仕方がなかった。

 どうして自分は幸せになれないの? あたしはなにか間違った考え方をしていたの?


『童貞だからって馬鹿にするあなたの方が可哀想だと思うんだけど。私間違ったこと言ってるかしら?』


 先程言われた、小鳥遊の言葉が妙にちらつく。

 違う。童貞はみんな気持ちが悪くて変な妄想に耽っているんだ。


 ……でも、夏樹は違うような気がしてしまうのはなぜなのだろう。

 真実を知ってしまったからだろうか? 憧れていた小峠があんなのだったからだろうか?


 もう、何も分からないでいた。


 しばらくすると、担当の教師が入ってきた。

 そして、クラスを見渡したあと、


「おや、小鳥遊さんと夏樹さんは欠席ですか?」


 不思議そうに教師が言うと、一人の生徒が答える。


「二人でどこかに行ってましたよ? サボりじゃないですかね。なんだか最近付き合い始めたようですし」

「そうですか。いいですね、青春らしくて。しかしサボりはだめだね。まったく最近の若い子は」


 ぶつぶつ言いながら、教師はチョークを握った。

 ただ、事実を淡々と述べた生徒のせいで周囲の男子諸君はもがき苦しんでいた。


「やばい。俺、授業に集中できないかもしれない」

「大丈夫僕もだよ。もう頭痛いし胃も痛いし、というか全神経が痛い気がする」

「重症じゃねえかよ」


 椎名は、その光景を眺めながら自分の拳をギュッと握りしめた。

 どうして二人の方が幸せそうなんだ。


 やっぱり納得がいかない。

 どうにか……どうにかあいつらを貶めてやりたい。


 だが、問題は小鳥遊だ。

 小鳥遊はクラス、いや学校中から愛されている。


 対して椎名の信用度は対して高くない。

 自分でもそれは自覚しているし、なにより気にしていなかった。


 ただ普通の女子生徒という立場だったから、気にする必要がなかったのだ。

 だから、ただの女子生徒が天使様と呼ばれている人物に抗おうとするなんて無理な可能性が高い。


 なら、夏樹の悪評をバラまくか。

 それなら『天使様が可哀想』という流れに持っていけて、尚且『夏樹は天使様をたぶらかした野郎』という認識にすることができるかもしれない。


 我ながらいい考えだ。

 なら、どうやってその悪評をバラまくか。


 自分から言っても意味がないだろう。

 小峠を使うにしても、代償が大きい。


 ……学校内の掲示板になにか貼り付けるか。


「これなら大丈夫かも……」


 椎名は悪い笑みを浮かべて、ペンを握った。 


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