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五話

また遅くなりました。すいません。

~loading~


何故か遠のく意識。

薄く朧に浮かぶ記憶の影、その中で…。

アレクは縋り付く母とその手を払う息子。その間に割って入る。

“正しいかは関係ない。正しいと思える事をする”


いったいなんだと息子は怒鳴り、母は涙目で此方を向き、首を振る。誰からも歓迎はされない。

その中で騎士もまた声を張る。怒鳴っているとも言えた。されど怒気を感じない。


それは怒りであり、その一方で怒りは撒き散らされた物ではなく、恐れではなく、畏怖或いは“カリスマ”により、母・息子の行動を一時止めた。


騎士は情に厚く、されど理解がない訳ではない。だからこそ、息子を叱るでなく、母を救うでなく、話し合いの場を求めた。


親子とはいえ、最低でも生活環境が違っていたのは見ればわかる。その差異から来た誤解程度でも、できるならば相互理解を求めたのだ。

さりとて親子、立場も見方も第三者とも異なる。だが騎士の度量として、粘り強く互いの意見をすり合わせていく。


息子の苦虫を噛み潰した様な顔。母の何とも言えない表情、そして感謝を確認し、朧に見えた、記憶の残滓の様な不思議な追体験は暗転により終わり、真っ暗な空間に少年は立っていた。


暗く何も見えない筈の空間に、水色の猫が現れる。


「一応お疲れさま、とでも言っておこうか。さて、このストーリーモードでは重要な要素、便宜上選択の時とでも言っておこうか。さて、ストーリーモードの進み方は基本、説明、或いは登場シーンから始まり、後はエンティングまでストーリーと、追想の繰り返しにより、今回ならば、ネタバレという奴に当たが、大体四十ぐらいまで体験してもらう事になる。そしてさっき見たのが追想。ここでは大まかな関係や出来事を見てもらう。所謂ダイジェストだとかだな。起きた出来事は世界ごとのナビゲータ。ここマーキュリーでは私が起きた出来事を説明する。ストーリーは、お前が道を歩いていた、ある種の自由時間の事だ。ここでした出来事で経過、所謂ルートが。追想は結果の確定を行うと思って貰っていい。まあ、どちらも物語に関ってくる以上、大差ないと言えばその通りだが、ストーリーで収拾できなかった要素は追想に持ってくることはできない。そして、同様に結末に向かう準備ができていたとしても、追想で()()ができなければ、その結末は選択されないと思って貰って構わない。この、ストーリー、追想、それぞれに多種の選択が用意され、特に大きな決定を選択の時によって決定する。この選択の時に関しては、特に大きなのは既に何度か体験したと思うが、お前にされた問いかけ、そして返答の事だ。さて、まだスキルの確認等は行えていないが、確認だけなら別で行える。何が言いたいかといえば、ストーリーモードのゲームの進行は一通り体験、或いは説明ができたとみなしたため、このチュートリアルもそこそこ長い。それでスキップする意思があれば行えるという事だが…RPがだいぶお気に召したようだな。では、この物語を続けようか…」


そこで猫は一旦言葉を区切った。


猫が語った、追想におけるストーリーは簡単にまとめると次のような話であった。

最近、煙たい話、戦争であったり、治安の悪化であったり。息子が兵士として働いていると聞いていた婆さんは、家にあった魔導鎧を持ってきていたという事らしい。この魔導鎧は、ゲーム的に言うと、オブジェクトの判定を持つ大型装備という部類で対応したスキルを持たない場合、インベントリに入れられないようだ。その為、しまう事が出来なかった婆さんは息も絶え絶えに持ってきたという事だ。

一方、息子の方は確かに兵であったが門兵や警邏としての仕事が主で、兵としての仕事というより、自警団としての側面が強かった。その為、基本的に支給された装備以外は個人の持ち物は着用厳禁かつ、今の世の中魔導鎧は既に古い産物であり、正規軍でさえ使わない上、維持費は碌な整備も行っていないのは見ればわかり、動くかわからない上に、使えば、使える状態を維持すれば金がかかる。とにかく金食い虫の役立たず。穀潰しと考えられた。

結局の所、おせっかいな母の要らぬ気遣いを、嫌みか何かと思った息子が、或いは思っていなかったとしても、考えがなさすぎると強めの拒絶を出した結果。ある種の修羅場となったようだ。その後の結末は、少年が離れた事もあり判らなかったが、最低でも鎧はほこりをかぶりそうだという事だけは判った。

騎士としての矜持は貫けたが、良い解決を得られなかった事を教訓に、或いはしこりとして残す事になる。


また、この一連の出来事により、本日の入団試験に関しては遅刻が確定した。


「聞き覚えのない単語などは、後で、あ~、最初のナビゲーターに会った場所、ホームにある用語集などで確認しろ。一応チュートリアルという事で、アドバイスだ。今回のケースの場合、選択の時は寄り道をするか否か。今回なら、何をするかの対象だな。他にも、どの様に接するかも一応入る。今回は厳しめの条件を探り当てたようだな。何、恐らく進めればわかる事だろうし、ネタバレばかりではつまらんぞ。あと、碌な返事もできない事からも判る様に、この状態も追体験の様に夢や何かを見ているかのように明確な意識の元何かをしている訳ではないから、できる事はほぼないと思って貰おうか。

さて、チュートリアルの続きだ。まあ、今回は簡単だ。遅刻して、練兵場に到着した。それだけだ。では行ってこい。


明転。場面が切り替わる。


目の前に一人の騎士。その後ろに何人かの従者と思われる人と、文官と思われる人が居る前で直立し、対峙する。

無精ひげのとても厳つい男。鎧を身に着けている為、明確な体格は判らないが、ほぼ間違いなく頑強の一言に尽きる、筋肉お化けであろうことが想像できる男であった。


はっきりと言って、その睨めつける様な表情、多くの人間に囲まれた状態。泣きそうである。

騎士が口を開く。


「アレク、アレク・クォーラー君。なぜ遅刻をしたのか」


その眼光の鋭さに、恐れを隠せないが、答えない事がよりひどい目に会いそうな気がする為に絞り出すように声を出す。


「…人助けをしました。思いの他時間が掛かり、集合時間に遅刻してしまいました」


ふむ、と頷き騎士は次の言葉を出す。


「言い訳は判った。さて、遅刻をして聞けていないであろうから教えてあげよう。わたしは上三位のグラン・リフェインだ。短い付き合いかもしれんがよろしく頼むよ。さて、なぜ遅刻が許されると考えた」


その様な事は考えていなかったと正直に答えれば、騎士としての自覚を問われる。そうすれば。己が騎士なればこそと返していく。問答が少しの間続き、幾らか満足げな表情を浮かべた騎士は、今まで見せた事のない、鬼気迫る、鬼の様な形相でもって質問をしてきた。


「本当に、人助けという奴をして来て良かったと思うか。この様に遅刻をし、いざ騎士となった際に遅刻など許されるはずないのにか?貴様に騎士となる自覚はあるのか!?」


この会話において、初めて騎士グランが怒鳴り声をあげる。


しかし、ここで折れてならない事を、少年は既に騎士アレクは決めていた。

アレクもまた声を張り上げる。


「後悔をする様な事をした覚えはありません!今回は不覚を取りましたが!今後もまた同じ機会があったなら!間に合わせた上!手伝って見せます!騎士である為に、騎士だからこそ!!」


勢いよく言い切る。少しせき込みそうになるほどに。


数秒のにらみ合い。唐突に表情を和らげ、いいだろうと騎士グランは呟く。


許された、そうアレクは思った。


「では、この訓練場を外周20周だ。何、これだけの人数、しっかりと試験を行えば、20週くらいできる。なに、仮に待たされてもかまわんぞ?…さっさと行かんか!!」


最後の怒声に慌てて駆け出す。そんな馬鹿なと思いつつ。


寧ろこここそ、追想だろうと思いつつ、20週を目指し少年は走り出したのであった。


~continue~


------------------------------


`back stage`

本当によろしかったので?


なに構わん。見えなかったか?あの鞘が。


はあ、鞘ですか。いえ、見ておりませんでした。


そうか。あの鞘、剣先に土がついていた。怪我や、疲労の感じ、荒事ではなさそうであったし、遊んでいた、という様子もなさそうだった。剣の扱いはなっていないが、人助けというのも全くの嘘ではなさそうだ。


しかし…。


問題はなかろう、それに許してはいないしな。聞いていただろう?あの罰は堪えるだろうさ。周りへの示しも最低限はつく。問題ない。


よく考えておられるのでしたら。もう何も言えませんな。


あ~、文章を纏める力が~。次から、一気にゲームっぽくなる予定です。ただ、ステータスなどはあんまり作らないつもりなので、期待されていた方はすいません

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