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三話

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「精神や、身体への影響もなさそうで安心したよ。あと、一応君が長々とTRPGの説明を受けていたこともね。だけどまあ許してあげて。これが君の選択の結果であるし、君にとっても有益な説明ではあったはずだし。後、ある意味一番慣れる方法でもあるしね」


そう猫は言いつつ、その顔を撫でる。それでは満足できなかったのか、数度手をなめつつ繰り返す。その様子を見つつ、少年は動揺を隠せなかった。流石にここ十数分で驚く事に慣れつつあり、特段の行動を起こすわけではないが、顔をしかめる。

そこでようやく猫は満足したのか、顔を撫でるのをやめる。


「うん。驚いているようだね。まあ、顔をしかめるのはどうかと思うけど。…」


猫が自慢げに、少年が驚いた理由は簡単である。現在の、特にVRの分野において体格を変えるといった行為は、とても難しいとされる事だからである。理由は定かではないが、一般の認識は特に体の自己認識は強力だから。要するにしっかりと覚えている分、特に敏感という話である。

そういった意味から、現在彼が自然と活動していた体が、汎用モデルといわれる彼様に調整されていないモデルにも拘らず、極自然かつ言われるまで気が付かない程馴染んでいた。それは驚きによって鈍くなっていた、だけでなく言われた後、少年が体を見、その真っ黒の素体を認識した後でさえ精神的な物を除けば、違和感がない。

まさしく超技術であり、同世代のVRゲームにさえ無い長所であった。


「というわけで、君が説明を受けていた。そうだね、『妖精』かな。お、あってたかぁ。じゃあ、その妖精関連で一つ。自由度については、老若男女を問わずキャラを作りプレイでき、中身さえ伴えばどんな者にも成れてしまうというのがこのゲーム。妖精の言っていたことを体験するには、説明を欠いていたゲームモードへの説明が必要だけどね、ノーマルを別世界で三つ行うと良いよ。と、いうわけでキャラクリの前にどんな感じか体験してもらおうかね。特別汎用モデルが良いものだったというわけでない事を知っておかないと、自由を一つ失ってしまうからね」


そこで猫はハタと気付いた様に、


「う~ん。会話を楽しむのもいいけど、妖精も併せて話が脱線しすぎてるね。先に予定について言っておこうか。今は、ゲームモードを説明する段階。時間の都合で、キャラクリの説明と一緒に行ってる。それで、キャラクリで基本的な動作の説明が終わったらゲームシステム、世界について、後は一応質問タイム。それでチュートリアル、説明は終わりかな。いい?」


少年も長い事には気が付いていたので、簡単に返事をしておく。


猫は満足したように顔を撫で、


「まずは走ろうか」


ゲームとは思えない、例えるなら医療用VRであったり、何らかのシミュレーターの様に、繰り返し、或いは意味のあるとは思えない動作をさせられる。一方、走るという単純作業は、特にVRをゲームに限らず日常的に行う者の中では様々な身体操作系の物においてもっとも基礎にして、操作する体について最も知る動作として知られている。

現実(リアル)において、体力作りの為にランニングを行う者など多い事もあり、そういった身体操作について慣れている者も多い為、チュートリアルに走る動作を設定されているVRも多い。その為、慣れっこといえば慣れっこだが、やはり飽きると言えば飽きる。とはいえ同時に少年はある種の感動も覚えていた。走るだけである程度以上の身体操作の癖等を把握できるのだが、その癖が感じ取れないのだ。とにかく素直に動く体は、よくよく確認した所、明らかに現実の体型と違うにも拘らず、一切の違和感を感じさせない。さらに、走る以外の動作についてもさせられたが、そのどれにもやはり違和感を感じない。

少年にとって一番驚いた事は、彼が別のゲームでかなり気に入らなかった部分であるが、しゃがみ動作であったり、所謂めり込み、テクスチャの荒ぶりなどが確認でき無い事であった。

しゃがみ動作に関しては、他の動作と同じ様にモーションなどの情報を集めていても、接触範囲が広い為か衣装が荒ぶり易かったり、接触判定のせいか違和感が凄い物が多い。特に彼のお気に入りだったゲーム、『knight rounds』は傅く為にしゃがむ事が多かったが、その為拘っていたが違和感がやはり残っていた。妙なところで超技術という物をよくよく感じ、苦笑するよりほかになかった。

それだけで終われば、悪意のあるつまらないチュートリアルといえたが、なぜここまで綿密に確認をさせたか。単純に少年が細かい性格という事は所々に表れていたが、それだけでなく、汎用モデルの一を最初は使っていたようだが、そこから二、三と幾つかのモデルを体験した。大男、但しドワーフの様な寸胴、筋肉質をそのまま大きくしたかのような姿。一は男の姿を象った物であったが、女の姿を元にしたものが三のモデルであった。

奇妙な事に、関節の動く範囲や、手の届く範囲がバラバラなはずなのに、動作の違和感、制度はほとんど差がなく。その差も、厳密には違うかもしれないが、動作の自由度の差が原因と思え、どの姿を象っても自由に動けた。


「ふふ、いい表情だね。そう、まだ入り口とはいえ判るかい?この凄さが。我らが標榜する自由の一端。したければすればいい。その為の制限は、今君が体験したように、種族、歳、性別、諸々を含めないってね。そこで少し話は変わるけど、ゲームモードのクリエイトという物が存在するんだよ。要するにこれが何をするモードかといえば、キャラになりきるRPではなく、キャラを作るゲーム。見た目だけでなくその中身まで作るのがキャラクリエイトというならば、このモードはキャラクリエイトを完成させる事を目的にプレイするのさ」


その猫の発言は何故か、万感の思いがこもっていた。

少年はその言葉に返す言葉が出てはこなかった。


「ふふ、察しがいいのはけど、顔色伺ってちゃゲームできないぜベイベーなんてね。だけど、質問もないみたいだし、補足と一緒に次に行こうか。君には基本的に両腕に胴、腰に頭、両脚だとか、五体があれば基本的に問題なく動かせるけど、しっぽ程度ならともかく、キメラみたいのはさすがに慣れが必要だよ。一応今のところは、テスターの八割がたが一週間程度で操作に慣れて、その内五割は十全に動かせてた。ま、だから勇気というか、やろうという気さえあれば挑戦してね。で、ここからはちょっと、モードについて。プレイ難易度については、ノーマル、クリエイト、アンリミテッドの順に上がっていき、同時に最終的な強さでも、同様だよ。さて、そんな中でどの様にプレイをしていくかというわけだけど、簡単に言うとプレイヤーは旅人となって、贈り物と共に世界に到着する。そこで、贈り物の選択を行い、世界に従って強くなる。簡単でしょ?まあ、あくまでもノーマルでの話だけどね。慣れる為のモードっていう側面もあるから仕方ないね。だから、ノーマルを進めるのさ」


猫はそう言い、その顔で器用な事にウインクをする。


「少しいいか。なんで、難易度と最終的な強さが同じ様な関係になるんだ」


猫は頷きつつ。


「案外鈍いね、まあ簡単だよ。アンリミテッドは名前通り、限界がないからね。あと、ノーマルはインフレを体験できるけど、限界を突破はさせないからね。そこの所の納得は、やってみればわかる、といいたいな」


それじゃあ、と含みを持たせ猫は怪しげに目を輝かせる。


「それじゃあ、次の体験をしてみようか。…」


~continue~


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