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二話

文章力のなさを感じますね。特に中盤きついかもです。申し訳ない

~ loading ~


「このゲームには三つのゲームモードがあるの」


インフレワールドオンラインでは、オンラインを主軸にしているゲームとしては今日日珍しいゲームモードの選択があった。三つのモードはそれぞれ、ノーマル、クラフト、アンリミテッドである。


「そもそもこのゲームの主題は、主に二点、追加で三点くらいかしらね。大筋の二点。一つ目はインフレ、つまり敵味方を問わず、端的に言って派手さを楽しむ事。二つ目はその自由度。インフレとは言ったけど、それが起きる要因とも言っていい。ともすればゲームシステムが崩壊しかねない危うさを秘めた奔放といっていい自由さとそれに応じる世界。と言ってもこれじゃダイレクトマーケティングで信じられないわよね。というわけで、追加の三点は簡単、圧倒的アクション、クラフト要素、それらを纏めて成長要素のある自由形TRPGなんて告知するとまで開発陣は言っているわね。ま、やってみればわかるけど」


「自由形TRPG?」


はっとしたような表情で妖精は、


「あ~、ごめんね。つい、愛称の様な未定義の言葉。身内の話を持ってきちゃったわね」


「あ、ああ。いや気にしないけど。…そもそもTRPGって?」


妖精は思案気に地面に平行に輪を描いて飛び、螺旋の描き上昇し、思考が纏まったのか突然宙の一点で止まる。


「それじゃあ、簡単に説明してもいいけど、長い説明は好き?」


いたずらっ気を多分に含む表情で妖精は少年に問いかける。


「まどろっこしいのは嫌いなんだけど、あ~、折角だしお願いするよ」


少年は妖精の表情を見つつ、唯の話で終わらないと読んだ少年は打算を交えつつ尋ねる。


妖精は頷きつつ、今までとは明確にその気配を変えていく。


「この世界、インフレワールドオンラインは、クロニクルに引き続き限界がない、だとか無限の自由度だとか、とにかくできる範囲にこだわってるの。理由はあるにはある。自由度が大きいと言っても、例えば剣術で料理ができる?刃物の扱いには長けてそうなキャラが食材の一個も切れないとか、高いジャンプができるのになぜか移動速度がやたら遅いとか。それは、現代VRゲームの中、特に没入型と呼ばれる、キャラになりきれるはずの空間でもそうだわ。でも、うちの開発陣にはレトロゲーム好きな人が居てね、特にTRPGというのが好きだったの。テーブルトークアールピージーの略称ね。これは判りやすく言えば、コンピューターが介入しない電子ゲームという事。ここまでいい?」


少年は饒舌になった妖精にたじろぎつつ、


「ああ、つまりゲーム特有の、判定に縛られるというやつだよな。それで引き合いにその…TRPG?なら何か違うんだろ」


「ええ、そう。TRPGは基本的に話し合いとダイスによってストーリーが進行していくの。所謂ゲームでは、ストーリーが分岐していく場合、選択肢が提示されるわよね。そのうちの一つ或いは複数を選んでストーリーのどこかのルートを追体験していくわけ。でもTRPGの場合、この選択肢はもっと自由にできるの。どれほど自由にするか、ゲームエンジンに当たるシステムを何にするか、どうやってプレイするかなんかで変わるけど、例えば探索系の物、名前だけならクトゥルフ神話TRPGなんか有名ね。これを極端なプレイをすると面白い事になるの。何が面白いって、やはり一番はその発想よね。例えば、何らかの事情で家に忍び込まないといけない。その際、単純に家に接近するという選択肢でも、例えば家の周囲に塀があったとして、これをPC(プレイヤーキャラ)に飛び越えさせるという方法もあればその周辺の地形条件、例えば木があれば木登りをさせ、そこから堀の内に飛び込むとかの選択を例えばPCの能力を見て、或いはロールプレイから選択するの。この場合、例に挙げたクトゥルフ神話TRPGであればスキル、どれだけそれに関わる能力があり、その状況でどれだけの結果を得られたのかという形で成否の判定を行うの。ちなみに成否を決定する行為がダイスロール。これは彩にして、物語の根幹的な面もあるけれど、極端な話ダイスの比重を大きくしすぎれば、バランスブレイカーになる。だけどこれが無ければ、すべてが手のひらの上、すべて都合よしでメリハリが無くなってしまうからね。弘法も筆の誤りの様に90%成功するはずの事が失敗するかもしれない。その反面、10%の奇跡をひくかもしれない。それをダイスという簡単に確立を表現できる道具によって、一本道にさせないの。まあ、長々語ったけど要約するとね…」


そういって、妖精は一旦溜を入れる。


「TRPGのストーリーはダイスによる乱数、ストーリー進行者、所謂GMとプレイヤーによる協議によって同じストーリーでも辿る道筋は大なり小なり変化し、その変化によりその物語は彼らだけのものとなる。そこには、あらゆる意味で自由がある。そう思わない?まあ、色々とはしょった部分も多いけど、そこでインフレワールドオンラインというゲームは詰まる所、TRPG風に言うと、あなたたちは常に提案と、ダイスロールを行い乱数により結末が変わる。その提案の幅は、できることすべて。それができるか、或いはどれだけ説得力がありどこまで通用するのかを考えるのがAIひいてはこのゲームそのものというわけ。そうやって、選択と結末を体験していって、一つの物語を形作っていくのOK?」


妖精による統括。その中の思い、それの実現方法思う所はある、だが少年には気になった事がある。ひどく打算的で、同時に純粋な質問。


「ああ、呑み込めてない部分もありそうだが大筋は。だけど、どこが違うかわからない。何せ今のVRMMO全般はかなりの自由度だぞ?」


何を伝えたいのかという少年の質問。結局のところ少年は、何か特別な物が有ると睨んで妖精の話を聞いていたのである、だがこの話にそこまでの価値があったのか、それを確かめずにはいられなかったのである。妖精は答える。


「やっぱり、やってみないと分からない事は多い。だけど、一つ言えることがある。このゲームはゲームそのものが崩壊するほどの自由があり、何より考えた事が忠実に反映される。その達成感と没入感は圧倒的とだけは言えるわ。そして、アドバイスをあげるとしたら、“よく考える事”ね」


殊更に強調された部分を理解する間もなく妖精は言葉を重ねる。楽しそうに妖精は踊る。


「存外に長くなってしまったわね。ごめんね、本当なら他にも語るべきだろうけど、このゲームの方針として“慣れるより慣れろ”なの。だから、さっそく色々体験していきましょうか」


妖精が指を弾く。軽い炸裂音の後に体に流れを感じる。


「さあ、最初の門出。行ってらっしゃい、第一の体験チュートリアルよ」


大いなる流れになまれるように、流されるままどこかへ運ばれていく。それはいつの間にかゆりかごのように感じられ、徐々に徐々に意識を失っていく。

~loading~


「はっ」


そこは浜であった。夜空のなか穏やかに波打ち、満天の星が見える。

その中で少年はここはどこだと辺りを見渡す。そこの様子は先の通りであり、確かな焦りの中、その一方でひどく落ち着いた心地と言う矛盾を胸に抱き、その曖昧な意識を不思議に思う。


「ようこそ、始まりでさえないチュートリアル。いろいろな実体験を行える世界へ。まず体験してもらわないといけない事は、といいたいんだけど今の自分の様子ってわかる?」


落ち着き払った声。その一方で高いかわいらしい声は、不思議な落ち着きを少年に与える。

声の主は猫。それも、デフォルメをされた姿で愛らしさとデフォルメにより毛並みの癖などが単調とでも評せばいいか一種の判り易さを長毛種の猫であった。毛色は青の濃い薄の二色の縞々とひどくファンタジーな姿であった。


それを受け段々と冷静になるが、特段何かがあったとは思えなかった。

その様子を猫は見る。


「ああ、いいよいいよ。気づいてないみたいだし。それじゃあまず第一の体験と行こうか。といっても、ある意味体験そのものは終わってるんだけどね」


その不可思議な猫の言葉に思わず少年は首をかしげる。


「ふふっ。判ってないみたいだね。じゃあヒント。このゲームを始める前にデータの読み込み許可を行った記憶は?あるいは、エディット、特にゲーム設定をいじった記憶は?」


その猫の言葉を聞き、そういえば特にこういったゲームに付き物のとある作業についてをしていない事に気が付いた。


「もしかして、キャラクリか?」


そうだと言わんばかりに猫は頷く。


「君の体、汎用モデルだったんだけど今まで気付かなかったようだね…」

~continue~


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