十七話
投稿ミスに今日気付きました。楽しみにされていた方本当にごめんなさい。
軽い眠りが解け、少しばかりとれた疲れと戻ってきた気力。何をしようかと悩んだところ、直ぐにゲームという気にも成れず、そこで気分転換も兼て少し外に出る事を決めた。
まぁ小説か何かではないのだ、特に何かあったと言う訳ではないが、ビル街でまともな日も浴びれないが中々開放感にあふれている物だ。あれは一種のトラウマかもしれない。
ビル街を走るのも味気もない。今ではメジャーでちょっとしたレジャー施設がそこら中に存在するので体を動かす事で諸々を解消しようと考えてそこを訪れ、汗を流したぐらいがトピック、変わった事だろうか。
体を動かし終え、帰宅をした。そこで適当な昼、夕飯を注文しておきご飯の用意だけしておく。
後顧の憂いではないが、気になる事もやり残しもないと言う訳だからゲームを再開しますか。
ベットに体を落ち着かせVR装置のセッティングをする。
「思考領域に保留していたデータを展開、認識を100%インフレワールドに。タイマーをおよそ昼に設定。動作確認、ダイブイン」
~loading~
「…来たか。所謂クイックセーブはこんな形のロードになる。設定から一応ホームに行くか選択できる。嫌そうな顔だな、はっ。取り敢えず次の状況の説明をしようか…」
突然現れた猫に嫌な顔をしていたようだ。そんな猫の示した次の場面は、やはり期間があまり離れていないがあの気絶した日からおよそ二日。願い叶って無事万葉の弟子と成れた様だ。一方で、どこかの鼠男は他にも何人か人員を用意したようではあるが、その中で三人程度を万葉は弟子に取ったようだ。
思う所が無いと言う訳ではないが、追及を逃れるために使った方便だ。文句を言える立場にはない上、こういうシチュエーションに憧れていた事もある。このまま師弟関係に突入する事も悪くないと思えた。
また期間があまり開いていない事もあり、詳しい場面の解説は省かれた。だからというべきか、いつも通りというべきか猫はさっさと去っていき、前回と同様にこの不思議な夢空間からの自動移動はなかった。
確認する事も特にない、簡単におさらいをした後直ぐに移動を選択する。
明転する。
「フム、ぼーっとしてどうした、アレク…」
移動したばかりで一瞬状況がつかめなかった。その為に固まったのを不審に思われたようだ。
「いえ、思い出した物がありまして、少し考え込んでしまいました」
それ自体は大した意味を持っていなかったのだろう、特に追及する事もなく話題はすぐ次に移行する。或いは気にしないようになっているのかもしれない。
それは兎も角である。万葉の元に来たという格好なのだろう。周りに自分以外の門弟を見つけられなかったことを考えれば個人的な要素が強いのだろうという事だけは予測できた。
「何の用事でしょうか」
「お前の今後、と言えるだろう」
その言葉は意外でもあり、納得のいくものでもある。しかしどうにも腑に落ちない物である。今後という言い方はどうにも場違いに思えるのだ。単純に剣術、稽古色々あると思うが本来別な言い方が普通は選択されるのではないか、そう思うのだ。
これは今後何を自分が何の習得を目指せばいいのかだとか、そういう指針を与えられる程度だと考えたのだがどうにもそうではないのではないかと思えた。
「どういうことですか」
「…私が教える事は剣術だ。そこで、だ。剣術とは何だと思う?」
万葉のその質問は何を言っているのかすぐに思いつかなかった。
「スキルという事ですか、それとも剣を扱う術という事ですか」
ある意味簡単すぎるが故に答えに窮し、思いつく限りを口に出すのであった。
「そうか、確かにそう言う物だ。だが聞きたい事は違うからな…質問を変えよう。剣術を習うとは何を身に着けるという事だ」
その質問は先程よりは判り易く、一方でやはり何とも掴み辛い質問である。
「剣を扱う術を身に着ける事で戦えるようになる?いやこれじゃあ答えになっていないか…殺す技術を身に着ける事か?」
万葉は幾度か頷くと、それも答えの一つだと呟く。
「正解、という物は術や道には明確にはない。しいて言うなら悟るというのが正解なのだろう。その中で答えというのもおかしいが私が思うに剣術という物は、あるいは他の武術もそうだが、別に学んでいるのは殺すすべではないと考えている。別に剣で人を生かすとかそういう話ではない。剣術とは剣を学ぶことで如何に怪我をしないかを学ぶ術だと考えている」
この後に続いた万葉の言葉を纏めるのであれば、どの様な武器であれ人が持てば大抵他の者を害せる。そんな中、勝ち続ける為に必要な事は何か。それは広義の守りであり、逃げの精神であると。この逃げの精神の発揮はひどく難しい。よってそれを体系立て、疑似的に逃げという物を正しく発揮する。或いは機械的に正しいを選択する事ができるようにすることが剣術等武術であると。
「…私の語りではわかりづらい事も多かろう。理解するべきは、弱さを知り、常に己の器を量るという事。そして攻めるばかりではどのような達人であっても挽回が出来ない状態が訪れてしまう。そうならない、その様にしない立ち回りこそ肝要という事だ。私が言うのもなんだが、一つの事を極めきる事は難しい、関連した技術をそこそこ鍛えた方が総合的に強いという事も数多い。その一つを極めない姿勢が多くの剣術にあるのはそういう事だろう」
そこで万葉は神妙そうに溜息をつく。
「だが得てして常軌を逸した達人は、立ち会えないという理由から、或いはそれ以外にも理由があるのかもしれないが、守りを捨てる事になる。単純、守りを貫く矛を大抵持っているからだ。達人というだけあって攻撃も早い。つまりどうなるかと言えば剣術というよりは斬術の様な側面が強い独自の剣術を鍛えていく事となる。それ自体は当たり前に近い事かもしれず、流派としての考え、守破離の様な物と考えられる。…そこで今までさんざん聞いていた事が関わってくるのだが、剣術、いや達人という物をアレクはあきらめた方がよいだろう。言ってしまえば強い才能を感じない。相手を読むセンス、恵まれた体格に、精神。或いは身に備わった気。それらの要素は最低限以上に水準は置いておけば確かに備わっているし、育つ余地は間違いなくある。一方で達人に至るある種の病を抱え込む、そんな質には見えない。達人を目指す事は止めないがより目指したほうがいいと思える道筋がある、聞く気は有るか?」
その万葉の言葉はゲームとしては大変に珍しく同時に、ゲームそのものに対しての反骨精神を盛り立てようとしたが、同時にいつか聞いた言葉を思い出した。
「まず聞くだけなら。…聞かねば何もわかりません」
そう言って聞く姿勢だけを示す。
万葉は頷きと共に語りだす。
「まず、私は剣術の本質は逃げにあると言った。一方達人は切る事を極めると、一見して乖離に矛盾であるが、真理とは得てしてそんなものだ。矛盾の中にいかように答えを見出すか。そこでアレクが見出さなければならない事は一つの事を極める為に、多種多様あらゆるものを極める事とそう考えた。その一つを剣に絞ってもよいし、それ以外でもいい。しかし例に出すなら私は剣一本でやってきた身だ、剣についしてしか語れないが、今この会話さえ剣の修行につながる。私は達人になりきれていないと思っているがそれを恥じる気はない。なにせ対話を楽しむ質だからな…」
~continue~
反省しかないです…。次話は日曜投稿できそうです。最近急に忙しくなってたのは言い訳ですね




