十一話
また遅くなりました。一応、今も十二時投稿目指してます。すいません。
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一瞬の記憶のとんだ感じ。意識に空白が滑り込んだような…。
その時には既に練兵所についていた。
惚けていた事を隠す様に、隣にいた万葉にここが練兵所だと告げる。
そこは最低限平らにならされた土のグラウンドと気の柵により構成され、二十から三十の人間がおり、砦のほとんどの人間が訓練に参加していた。
「ここ練兵所か。立派な物だな」
「この程度普通ではないか」
軽く万葉は首を振る。
「良くも悪くも、東方の戦う人間は、選りすぐられた者だけだからな。人数もいない。少しの訳ありで、屋内である事も多い。この様な野外練兵所はよくて四組ほどしか組めないが、ここならば十組どころか、二十組も行けるのではないか?」
その言葉を受け、土地だけは有るしなと答えておく。
土地の維持も大変だろうと、そう言いつつそこでようやく本腰を入れて万葉は練兵を見始める。
練兵といっても、場所は広いがおおよそ訓練参加者の半分で訓練を行っているようだ。
それは、所謂基礎訓練。ランニングなどを行う班と、模擬戦形式による実践による稽古である。
まあ、普通といえば普通である。
されど、その様子に不満を覚えたのか、万葉は少し顔をしかめる。その後に彼は私に声をかけてくる。
少し立ち合いを見せて欲しいと。
それはある種の分岐点か。そんなことをプレイヤー視点で考えながら、騎士アレクとしてみれば特に断る理由もない。
柵の外から内に入る。さりとてなん。ただ練兵所に入っただけでは敷地が広すぎその存在が知れる事さえない。
「失礼する!途中参加で申し訳ないが、お客人の要望でな。私も長い待機でストレスが溜まっている。誰か相手はおらんか!!」
その言葉は、確りと練兵所にいた者どもに届いたようで、ちょうど組み合っている集団に近付く間に三人程度の人間が前に出る。
「お前たちでいいのか!」
「ああ、小隊長様の相手をさせて頂けるとは光栄だ!」
まあ、小さい事だが、あまり好まれてはいないようだ。
取り敢えず、三人の姿を確認する。比較的細身、とはいえ一般人と比較すれば圧倒的に体に力が満ちていることが判る。もう一人は小柄ではあるが一方で物語(他ゲームの)で聞くようなドワーフの様な寸胴の体で、まさしく詰まって居る体であった。三人目は上背も、体格も優れ、一見すると只の荒くれ者や力自慢であるが、記憶を思い出す感じ、先程よりも違和感なく技も持った騎士であると再認識する。
この三人に関して言えば、一対一であればうまくやれば勝てる範疇であることを認識する。一戦すればよいとは思う、が要らぬ挑戦心が無駄な口を開かせる。
「そうか三人か。私は腕に自信が無くてな、残念ながら三人同時に相手をすることは叶わないが、時間を貰えるならば、三人連続で相手をしてもらえるかな。」
明らかな挑発にも一見すればにこやかに、まず間違いなく内心穏やかでない状態で返答を言い放つ。
「おお、そうですか。時間ならばありますので、ぜひ付き合いましょう。ですが、体の方は保証しかねますよ?何せ|本<<・>>|気<<・>>の訓練ですからね」
その後は言葉もいらない、そんな感じだ。
此方の返事を受け、まずドワーフが適当な開けた場所に出る。対面する様におおよそ三メートルの間を取り構える。
「よろしく頼むぞ」
「ええ、こちらこそ」
存外に高い声に驚きつつ、ドワーフの様な姿の騎士、名前も思い出せない彼の構えを見る。
何とも言えない感覚。ゲームによって戦闘方法も、スキル等の発動方法も違う。大分類としてアクティブスキルの発動方法は、モーション、声などあるが、訓練でも感じた様にどちらかといえば恐らくモーションだと思っていた。しかし、一方でパッシブなどは何時の間にか効果を発動している設定等が多い。だが、ここまで感じていたように、全面的にスキル等の動作が違うように感じる。否、普通スキルを得たからと言え、例えば剣術スキルを得たからと言え剣の達人になる事はありえない。だが、特に対面してから感じるこの感じ。ステータスと同じ、或いはVRというよりかは、今も存在する携帯ゲーム等、所謂2Dゲームの特にウォーシミュレーションゲームの中にある戦闘時の命中率、ダメージ、回避率、回避率等の予想が見える物と同等、或いは同様のある種の核心を相手を見、己の状態を感じる事により得るのである。そして、感じる事と同時に体が動く感じがある。その感覚はモーションアシストの類と思うと同時に、一切の気持ち悪さが無い。この素体と同じ様に決して強要される感じが無い事が原因であろうか。
手を握り、相手の構えの弱みを見る。単純に体が硬い。両手の握り、カバーできない隙を見る。さりとて、迎撃を受けない攻めが無い。よって、待ちを選択する。
元より待つ気という物が無かったのだろう、裂迫の気合と共に、ドワーフが切りかかってくる。やはり、振りやすい方向、逆袈裟から切りかかってくる。
正眼の構え。最適の迎撃、左脇腹への攻撃を最適とし、形は異なるが、相手の胴を払う。
右の回り込みと合わせ、剣を脇に構えるかのように左に振る。そして十分な振る距離を確保しドワーフの左脇に切りかかる。うめき声。しかれど、見た目どうり丈夫、その一発では効き目が薄い。
だが、ドワーフの方も応じ手があまり無い様だった。結局は先程の繰り返しの様に、こちらが一発でも食らえば気絶するような威力の攻撃を、安全を取りつつ避け、明確な隙を突き攻撃を重ねる。
まあ、集中力が続く限り当たる事もない。一方、ドワーフの方はうめき声をあげた様に確実に攻撃が通っていた。詰まる所、繰り返しの末、立ち上がれなくなる。
見栄えもくそもないが、できる事もない。不満を覚えつつ、倒れたドワーフを訓練を見ていた兵が引きずるのを見つつ、次の相手を見る。
盛り上がりもくそもない練兵所の中、二人目が来る。細身の男、どうも付き合いが濃い、所謂友人の隊の優秀な隊員の様だ。
「ハッシュだったか」
「はい、今回はよろしくお願いします」
「こちらこそな」
刺々しさはないが、決して良好ともいえない雰囲気。
自然と警戒をしていた事はそうだが、先程のドワーフと違う、明確な形を感じる。殺意ではない。敵意でもない。闘気とも呼べるそれは、ドワーフと比較し漫然とした戦いでなく、明確な勝ちを想像している事を感じた。
両者とも正眼の構え。応手に優れた構、それを相対する二者が取るという事は、読み合が深い方が勝つであろう。
感覚的に、恐らく相手と自分の身体的な側面は伯仲、或いは柔らかさは相手の方が上であろう。この構えでは、攻めより守りが強い。さりとて動きのなさは、先程の作業と化した訓練で削られた集中力分自身が不利である。
…唐突になる事を意識し、どうにか最も隙が多そうなタイミングを見計らう。人は地べたに居続ける事は出来ない。そこで狙うは、浮いたタイミング。
呼吸程度なら読み取れる。そこで、跳ねる、吸い込み、吐き出しの切り替えを見極める。
相手に見られている事も意識し外すタイミングを作る。その呼気の外れるタイミングと、相手が跳ねるタイミングを合わせる。
一瞬にも満たない隙は保険にしかならない、分り易い隙を生み出す大上段に一瞬に構え直し、その隙を突き相手の攻めが来る。大上段をわずかに袈裟に傾ける。その事によりわずかに、自身の左に攻撃がし易い状態に。奇しくも先程のドワーフの時と同じような状態。違いは此方が攻めという事だが。
判っていた事、応じての用意もある、なればこそ…
ぎりぎりの見極め…
~continue~
そろそろ、書き直しの準備始めます。まだ具体的に修正の方向を決めていないので、投稿頻度は、用事が無ければ変化しません。ただ、用事があり、一二週間不安定になるかもしれません。




