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十話

遅くなりました。すいません。

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思い付きとはいえ簡単な話である。異国の者が寝ていたように、そもそも今は人が活動するような時間でもなく、おまけに異国の人間の信頼のなさの一因は住所不定である。そこで宿の紹介と、そこで待っている様に伝える事である。


「…仕官、意志、有るか?なら、あっち、宿、借りる、待つ、いいな?」


異国の者は目を瞬かせる。


「わかった、宿、待つ。感謝。では」


異国の者は簡素に挨拶をし、頭を下げてから去って行こうとする。


「まて、路銀、貸す」


その言葉と共に、アイテムの所から金を引き出し、適当な金を放る。放り投げた袋は、膨らんで大きく、思った以上に金があったが、全体の十分の一、まあ問題ないだろう。

その袋を受け取り、驚いた顔をし、異国の者は硬直する。


数瞬の逡巡、顔を振り異国の者は、必ず返すと言い、去って行った。


明転

何故か覚えてもいない筈の事を思い出す。その感覚はそうとしか言いようがなかったのである。


あの異国の者、東方から剣士としてあてもなく西方、つまり我が国に来たとの事で、名はマンバタロウ(万葉太郎)というらしい。その長旅で他国の金はあれどこの国で使える貨幣が底をつき、金があれど貧乏という状態になり、万策尽きた末に最近きな臭いうわさがあるという事で仕官を考え、異国の考え方、指南役という物になりたかったそうだ。似た所で食客であろうか。



ゲーム的な視点と、リアル知識を付け加えるなら、まんま異国の者の出身は日本だとか大和とかそういったものであろう。ゲームというよりは昔の西方の考え方、東方の神秘がこの世界観に組み込まれているのかは知らないが、やはりこのタイミングという事は特別な存在ではあるのだろう。



その男と出会って早一か月。夏も火勢を弱め、日々過ごしやすくなっている。


そんなとある日、一報が届き、小隊長として、この砦の責任者。騎士団でいう、大隊長の職務質を訪ねた所で、今につながる。


数秒、突然思い出した記憶を整理しつつ、素直に大隊長を訪ねる事にした。


「『コン×4』アレクです。失礼します」


返事がないが、入るなとも言われなかったので、数秒待ってから入室する。


中には淡々と書類を片づける大男と、ネズミを思わせる顔の貧相な男、何故かにこにこと笑っている単瀬な顔つきで、バランスよく肉のついた体、所謂イケメン。そんな三人が目に入った。

一応開けた扉に二度ほどこぶしを当て、「失礼します」と言っておく。


「ようこそ、僕とは初めて会うね」

そうイケメンが話しかけてくる。


「僕の名前はノルン。階級は秘密。まあ、君よりは上の立場だね」


そう、ウインクと共に話しかけてくる。様になっているのは結構だがうざい。


そこで大男、中二位アーグスタはここでようやく口を開いた。


「お前を読んだのは他でもない。お前が一か月前に取り次いだ、異国の者。確かマンバタロウだったか。マンバの奴の世話を頼む。少しの間ここで剣術指南とやらをするようだ。練兵の一環だな。顔見知りである分気も楽だろう。」


どうやらマンバの奴は仕官がかなったようだ。


「それは判りました。二点お聞きしても」


アーグスタの返事を確認したのち、


「いつから案内をすることになるか。後、ノルン様を踏まえ、なぜここに三人もいらっしゃるのでしょうか」


その中に込められた、名乗りもしていない人間への不信なども気づいたのだろう。


「…そういえば初めて会うのか。こいつが一応中三位騎士のレーヴェだ。名前からは考えられんだろう?お前と会う機会は俺の方があったから知らんかもしれんが、こいつが本来のこの砦の責任者さ」


そう、気心がしれた相手がいるからか、先程より気楽にアーグスタは話し出す。


「そいつの事は気にしなくてもいい。本来ここにいなければならない奴だからな。ノルン様が来たからこそ珍しくここにそいつはいるのさ。さて、案内といったが、そこそこ厚遇を受けている。一小隊長、下一位の貴様より立場は上だ。せいぜい気をつけろ」


そういい、手を振る。去れという事だろう。


そこで、暗転する。


…なんと表現すればよいか判らないが、扉が前にあるような感じがする。これをくぐれば外、くぐらなければ中。異国の者に関る物ということはなんとなく察せられた。


何とはなしに、扉をくぐろうと考えた。出迎えの意か何かだろうか、そんなことを朧に覚え意識だけ扉を潜る。


明転。


およそ一日。それは昼を過ぎた程度の時間。涼しくなったとはいえ、秋もない気候である。昼時は日を目一杯に浴び、さすがに汗をかくというレベルではなく暑くなり始める。

さりとてなん。意固地な性分。そのていどでは門のそばから離れなかった。


…じりじりと体が焼かれている。そんな中、何故か持ち合わせていた水筒の水が切れ砦の中に戻ろうかと思い始めたころ、蹄のめったに聞かない激しい地鳴らし。察するに全力疾走。


何事かと身を固めた瞬間、遠方にやはり馬の姿を捉える。


馬の上に何かを乗せていることはすぐに確認できた。人であろうことはすぐわかった。


何者かと意識を集中する。その中でもどんどんと近づいてくる。その内に明らかになる姿は、ここらでは見ない姿、所謂湯あみ姿に近く、布にしかし得ない衣装。否、見た事がある。

他にその様な姿を見たという噂も聞かない。もう間違いはないと、張った気を解き、背を伸ばし、声を出す用意をする。


「私は砦付きの騎士、アレクと申す者。己、万葉太郎と見たり。全力で馬を掛けさせるとは穏やかではない。何事だ!!」


その声が届いたか、先程まで鬼気迫るという様子が、薄れ、徐々に駆ける速度が遅くなり、その内に早足になる。


「その通り。私の名前は万葉太郎である。特に何かあったわけではない。安心なされよ」


やはりであった。


少し後

…いくつかの挨拶等済ませ、万葉に宿舎の紹介、部屋の案内。砦のルールなどを知らせる。


最後、万葉が用意してほしいと言っていた道場、基練兵場の紹介。


「ここで練兵を行って貰う事になる」


一つの頷き。


「練兵ではなく、『兵法指南』等を行いたかったのだがな。いや、やはりそれも練兵か?」


その呟きを聞きつつ、足りない物はないかと聞く。


特に話と言われてが、物欲しそうな顔。そこでもう一度言い含める。


「いや、素足になれる場所が欲しかったのだ」


リアルからすればなんとなくわかるが、ここは土足文化でもあり、そういう場所はめったにない。


「なぜそんな場所が居る」


それを聞き残念そうに万葉はしつつ、いやないなら構わんとしか言わない。


そうか、と気のない返事をしつつ、世話の一貫として予定を聞く。


「練兵をいつ行う予定だ」


「…明日の昼頃からのつもりだ」


頷きを残し、とりあえず今日は自由にしてくれと言っておく。


「ただまあ、見慣れていない奴ばかりで不便もあるだろう、今日一日はついていく。いいか?」


マンバはああ、と頷く。そこではたと気付いたかのようにそうだと呟く。


「明日の練兵、いや今日でもいいか。見られるか?」


ん?と首を傾げつつ、訓練は今日も行う。もちろん良しと返す。


「ではさっそく見させてもらおうか…」


~continue~



最近忙しくなりましたね。まあ、その前にやる事やっていなかったツケなんですけどね。では、まだ小説は続くので今後もよろしくお願いします

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