06 わたしとニンピューモーさん3
その頃のわたしは……常に頭の中で様々な負の感情をグルグルと循環させていた。
日々、職場で浴びせられる罵詈が、頭にこびりついて離れなかった。
わたしの脳の中は彼女・彼等への憎悪でぐらぐらと煮立っていた。
そんなある日の平日のお昼──わたしは青梅の自宅にいた。
一度、T市にある会社に出勤した後、とんぼ返りで帰宅したのだ。
何故かというと、会社の扉にこんな貼紙が貼られていたから。
“本日12月○日~12月×日まで、社員研修のため営業をお休みさせていただきます。
営業再開は12月△日からとなります。
ご迷惑おかけしますが、何卒ご了承ください”
わたしだけ何も聞かされていなかった。
おそらく全員参加であろう社員研修に、わたしだけ声を掛けられなかった……
呆然とした頭を抱えながら電車に揺られ、なんとか自宅に辿り着いた。
✣
「あれ? 綾音、仕事はどうしたんですか?」
ニンピューモーさんが悪気無く、明るい声色で聞いてくる。
言葉も出せず、泣き崩れたわたしを、彼女は優しく抱き締めた。
その後、彼女が何を言って、どんなことをしたのか、いつもの如く、わたしはあまり覚えていない。