05 わたしとニンピューモーさん2
その魔導師さんは物凄く申し訳なさそうな顔をしながら、こんなことを言ってきた。
「突然なんですが……アタシ、宇宙人なんです……それで…………実は、UFOが壊れてしまいまして……甚だ不躾なお願いで恐縮なんですが……しばらくの間、お世話になりたく…………」
わたしはそれを聞いて、ボンヤリした頭で“あぁ、そうなんだ。大変だねぇ”などと、普通に受け入れたような気がする。
そして、ほんと何を考えていたのだろう、当時のわたしは身元の怪しい自称・宇宙人を家に上げたのだ。
多分わたしは自暴自棄になっていたんだと思う……もう、どうにでもなれ。彼女が強盗でも殺人者でも狂人でもなんでもいい。好きにしてくれ。今日で死ねるならそれはそれでラッキーだ──そんな風に思っていたんだろう……
だが、結果として彼女を家に上げたことは正解だった。
彼女は本当に宇宙人だったのだから。それも飛び切り親切な。
◇ ◇ ◇
「……いきなり……お世話になる身で大変失礼なんですけど……貴女、すごく病んでますね……大丈夫ですか?」
「サァ……自分でもよく分かりません……」
「アタシが言うことじゃないないことは重々承知ですけど、今夜は栄養のあるものを食べて、あったかいお風呂につかって、ぐっすり眠った方がいいですよ……?」
その日、彼女はわたしの家の冷蔵庫を漁り、夕ご飯を作ってくれて、お風呂を炊き、布団を敷いて、わたしを寝かしつけてくれた。
何年ぶりだろう? というくらい、この日は夜中に一度も起きることなく熟睡できた。
そんな感じでわたしと宇宙人との共同生活が始まった。