03 わたしと発達障害2
重要なことと、そうでないことの違いが、いつまで経っても分からなかった。
こんな事、大したことじゃないだろう、そう思って黙っていると、あとで大騒ぎになった。
逆に、これは重要な感じがする! そう思って上司に話すと、「そんなこと、どうでもいいだろ!」と激怒された……
カチャ
「ただいま戻りましたっ」
「おかえりー」
だが、一番の困りごとは異常に多いウッカリミス──“忘れてた!”という失敗だった。
人から何かを頼まれても、すぐにそれを忘れてしまうのだ。
もう少し具体的に言うと、上司から“○○の書類取って来て”と言われて書架へ向かい、その途中、机に起きっぱなしにしたスマホのことが気になったとする……。
わたしがスホマを取りに事務室に戻ると……最初の指示──“○○の書類、取ってきて”──が頭から消えて、なくなっているのだ。
そして、何か他の作業をやり始めて……あとになって上司から、「朝、頼んだ○○の書類はどこ?」と聞かれて初めてそのことを思い出す……。
「すみません。今日の具は、鶏の胸肉とモヤシだけです。他の野菜は高かったので……」
「あ、うん。それで大丈夫。ありがとう」
その他には、異常な件数の失くし物をしていた。
モノを何処かに置いて……その後、何かを始めると、モノを置きっぱなしにしていることを忘れてしまうのだ……
「じゃあ、台所でカレーを作っていますから、綾音は瞑想でもして待っていて下さい」
「ありがとう。いつも、ごめんね」
──半年後。
会社の人たちは、綺麗に二つに分かれていた。
わたしを災厄を司る邪神の如く扱い──遠ざかり、関り合いにならないようにする人。
わたしを蛇蝎のごとく嫌い──組織から追い出そうと、攻撃的になる人。
やがて、抑鬱状態になったわたしは精神科に通院し──発達障害だと告げられた。
その頃だ。
ニンピューモーさんと、出会ったのは。