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ショートストーリー 微笑んでいないもう一枚のモナリザ

作者: 夢前孝行

モナリザの微笑には二枚あって、世界一般にはモナリザの微笑が名画として知れ渡っている。

しかし、レオナルド・ダビンチは実はもう一枚モナリザを画いていた。

微笑(ほほえ)んでいないモナリザ』だ。

これはナポレオンとルイ十三世、ケネディと歴史上でもごく限られた三、

四人の人しか並べてみたことがないと言われている。

幻の名画『微笑(ほほえ)んでいないモナリザ』こそ、

玄人のコレクターが世界中を駈けずり廻って探しているしろ(、、)物(、)である。

歴史の表舞台に出たこともないので 世界中の人はそんな絵のあることすら知らない。


会社でもそうだ。№2は脚光をあびることは余りない。

会社を支え、陰日向なく全身全霊を会社に捧げ、会社を憂い、将来を思い気が休まる暇がない。


社長がモナリザの微笑なら、№2は微笑(ほほえ)まないもう一枚のモナリザだ。

表舞台で人にもてはやされる事も称賛される事もめったにない。

そんな微笑しないモナリザに自分を重ね合わせて、自分を一人慰めていた時期も私にはあった。

身を粉にして働いてもおいしいところは全部社長に持って行かれて、悔しい思いをしたことがある。

でも、それが密かな喜びとして、自虐的に喜んでいた節もあった。

そして微笑しないモナリザが微笑したら、本物のモナリザより神秘的な微笑に違いない。

そんな日はあるのか? ないのか?

いつも自問自答していた。

だが微笑むことは一度もなかった。

これがNO2の悲哀である。


そして私は三枚目のモナリザを求めて、定年になれば世界中を飛び廻りたいのだ。

それは『怒っているモナリザ』のことだ。

ダビンチは三枚目の怒っているモナリザも画いているに違いない。

もしあなた方が世界のあちこちに旅行に行って、汚い路地裏で少し低めの色の黒い日本人を見つけたら声をかけて欲しい。

「みつかったかい」

と聞いてくれたら最高だね!


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