一転
僕はアライアの言葉を遮るように断わる。
『とりあえず、今から僕はこの城の城主になる宣言をする。当然みんなの反対意見が出るだろうけど、アライアは僕が高城先輩のステータスを継承して、城主に相応しい人物であると事をみんなに説明して欲しいんだ』
『そんなの上手くいくのかな?』
『高城先輩がそうしろって言うんだから、やるしかないだろ』
『まあ、ノボル様が言うのなら……』
へーーーーっ、高城先輩の言うことだと納得するんだ。
何か微妙にしゃくに触るけど、今はこっちの方が先だ。
僕は玉座の前に立って、声を張った。
「私は今、残留思念の残る玉座に触れた時、私の意識は亡くなったノボル様のいる場所へと飛ばされ、ノボル様に会い、話をする事が出来た。そして、ノボル様から、私がこの城の時期城主になり、この城を守る、及び、この国の民を守る事を託された!」
少々芝居がかった物言いになったが、みんなは驚きを持った表情で、僕の言葉を聞いてくれている。
「私が快く承諾すると、ノボル様は自分の持っている全ての能力を私に継承して、これをもって、次期城主として頑張って欲しい。との言葉を残して帰って行かれた」
「よって、私はこの城の次期城主になる事を宣言する! 皆の者、これから、私と共に協力してより良き国を作っていこうではないか!」
よし! 言い切った!!
我ながらなかなかの宣言だったと思…………。
あれ?
何なの? その冷たい眼差しは?
謁見の間にしらけきった寒々とした空気が立ち込めている。
僕はまるで入学式直後のクラスでの自己紹介で、完全にすべった奴みたいになっている。
「えーと、あの〜」
「全員、護衛兵たちを丁重に弔い、家族に出来うる限りの生活の補償を行うように」
ルシール伯は僕の話を無視して、バーンたちに指示を出す。
「はっ! 分かりました!」
バーンたちは即座に行動を開始し、僕とアライアとルシール伯はその場に取り残される。
物凄くいたたまれない雰囲気だ。
「さて、アライアと異世界から来た若者。先程何か血迷った事を言っておったが、どういう事か説明してくれないかな?」
ルシール伯はやんわりとした口調で話してはいるのだが、目から放つ光は全くにこやかでは無い。
「それは、高城先輩が僕にこの城の城主になれと…………」
「そんな夜迷いごと、誰が信じるのだ!」
「でも、僕は確かに先輩に会ってこの城と民の事を頼まれた!」
「それをどう証明する?」
「それは……」
僕はルシール伯に言葉を返すことが出来なかった。なぜなら、高城先輩との事は僕の意識下で起きた出来事で、それを証明するなんて出来るわけがないからだ。
「もう、いい! 二人共下がれ! 今回の発言に関しては、後日、処分を言い渡す」