僕の仲間? ①
「とりあえずは俺等の仲間に会ってくれ。苦楽を共にした者だ。きっと、水波くんの力にもなってくれると思う」
「分かりました」
「アライア、宜しく頼む」
「はっ!」
アライアは再び深々と頭を下げてから部屋を後にする。
アライアと共に王との謁見の間を出た僕は、再びアライアに付いて歩く。
「今から行く場所は城内の兵士たちのくつろぎの場だ。だからといって、皆がくつろいでいる訳では無く、場合によっては険悪なムードになるやも知れない。ある程度は覚悟していて欲しい」
「分かった」
うわ〜っ、面倒くさそうな予感しかしない。
謁見の間を出て、五十メートル位歩いた左側にその部屋があった。いや、部屋といっても扉がある様な部屋ではなくて、自由に出入りが出来るオープンスペースのルームだ。
中は十数個のテーブルとイスが用意されていて、数十人の兵士たちが飲み食べ、話しをしている。
その中のひとりが僕たちに気づき声を掛けてきた。
「お! アライア殿のお帰りだぞ!」
その声にその場にいた兵士たちが一斉にこちらに注目する。その中の金髪ロングヘアーの僕らの世界では超イケメンと言われる容姿をした兵士が、席を立ってこちらに向かってくる。
「彼が今回召喚された者か?」
「ああ、そうだ」
アライアはぶっきらぼうに答える。
「で、その者の能力はさぞかし素晴らしいものなんだろうな」
「それは…………」
「おいおい、ランスベルト。そんなイヤな言い方をするなよ」
そのイケメンの隣に座っていた身長は2メートルをはるかに超え、横幅も僕の二倍はあるてあろう大男がイケメンを止める。
「ごめんな。君の名前は?」
「水波 俊」
「シュンか。いい名前だな。俺はバーンブッフバルト、バーンと呼んでくれ」
そう言って出された手が、これまた大きくて握手をすると僕の手が握り潰されるのではないかと思う位の手だ。
僕は恐る恐る手を出した。
「よろしくお願いします」
「ああ、よろしくな。何かあったらいつでも俺に言ってくれ。大概の事は相談に乗ってやれるぞ。異世界から来て大変だとは思うが頑張れよ」
イケメンの人は何となく嫌な感じだけど、この人は人懐っこくていい感じだ。イケメンでは無いけど。
あ、別に、イケメンの人に嫌な感じの人が多いって言ってる訳では無いんだからね。
って、ツンデレのセリフを言ってる場合じゃ無かった。