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事の始まり②

 先輩は僕を召喚する為に五年間召喚を続けたって言ったよな。

「ちょっと待って下さい! もし、仮に僕が召喚されないまま、召喚する事を打ち切っていたらどうなってたんですか?」

「んー、そうだな、時間と空間の狭間に閉じ込められて一生出て来れなかったんじゃないかな」

 マジか〜。もう少しで僕は元の世界にも、ここの世界にも、存在しない者になるところだったのか。

「まあ、言ってみりゃ命の恩人だな。俺を敬えよ水波くん」

「そうですよ! 偉大なる我らが主に敬意を払いなさい!」

 えーと。高城先輩とアライアから言われると、そういう気持ちが微塵も無くなるのはどうしてかな〜?

 まあ、国庫のお金を五年間使い続けて、僕が召喚されるのを待っててくれたってのは嬉しいけどね。

「えっと、一応お礼だけは言っておきます。本当にありがとうございました」

「うんうん」

 高城先輩は満面の笑みを浮かべているが、僕の隣の召喚師は憮然とした表情を崩さない。

「せっかく、待ち望んでいた人物がこのようなステータスの者とは……我が王よ。これでよろしかったのですか?」

「それは仕方が無い。主要なステータスは全て俺のところに全振りになってるからな」

 どういう事? 主要なステータス全振りって、高城先輩のところに僕のステータスの美味しい部分が全部行っちゃたって事?

「先輩のステータスって……」

「ああ、運以外は全てMAXだ。俺と水波くんが、ちょっとした手違いで同時に召喚されて、チートのステータスになる筈の部分が二人に分配されたみたいだな」

 えっ、いや、それって何かおかしくない?

 僕のステータスでMAXなのは運だけで、高城先輩のステータスは運以外全てMAXなんだよね。

 圧倒的に不公平だよね。

 召喚に公平も不公平も無いんだけど、せっかく異世界来たんだったら俺TUEEE……したいじゃん。

 それが何で……。

「水波くん。君は自分だけ何でこんなステータスなんだと思っているかもしれない。しかしだ。どれだけ強かろうと運が無ければ勝ち続けることは出来ないのだ。現に俺達は連戦連勝にも関わらず、領土が増えるわけでも、国庫が潤うわけでも無い」

 高城先輩が拳を握りしめ、力説を始めた。

「それは何故か! それは肝心なところで運に見放されたからだ!」

 はあ、運ね〜。

「ドレイン城に攻め入ったときには、城を取ったと同時に大地震がきて城が崩壊し、大穀物地帯であるエーゴ地域を攻めたときには、水不足で穀物が全て枯れ果てた」

 げっ、それはマジで運が無いよな。

「トラン台地に侵攻したときには、俺のお腹が痛くなって敢えなく侵攻を断念した」

 いや〜、それは運とは違うでしょう。

「しかし、これからは水波くんという運MAXの者が仲間になった。俺のステータスと水波くんのステータス。これで全てのステータスがMAXだ。恐れるものは無くなった」

 そんな単純なことで良いのだろうか? 物事を気楽に考える高城先輩らしいっちゃらしいが……。

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