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プロローグ

第三章開幕です。

また少しばかりお付き合頂ければ幸いです。

「あっついなー」


 額から噴き出してくる汗を道着の袖で拭いながら、少年――カイエンは誰に言うでもなく呟いた。

 身長百八十セテルの肉体は拳法を修めていることもあり、道着の上からでも鍛え抜かれていることがうかがえる。

 だが、いかに鍛錬を重ねたとしても暑いものは暑い。蒸した空気と相まって、不快指数もぐんぐんと伸びている。カイエンでなくとも、文句の一つも言いたくなるというものだろう。


 すると、そんなカイエンの独り言に答える声があった。


「もうすぐ南都なのだから、暑く感じて当然よ。特に私達は山越えをしてきたわけだからね。寒暖の差が激しいと、本来の気温よりも大袈裟に感じちゃうものなのよ、人間という生き物は」

「わふ」


 訳知り顔で述べる女性の名はリンカという。

 元々活動的な服装を好む質ではあるが、どこで用意していたのか、ノースリーブで薄手のシャツを身に纏い、見た目からして涼しげな印象を受ける。

 とはいえ、さすがに服装だけでこの気候に適応するのは無理があったのか、ヘアバンドで留めた銀髪は薄っすらと汗を含んでいる。


 そんなリンカの解説に同意の鳴き声を上げたのは、二人の間をトコトコと歩く一匹の毛玉であった。

 全長は三十セテルをやや上回っているだろうか。艶のある漆黒の毛皮に包まれたその姿は、一目見ただけではただの仔犬としか思えないだろうが、その正体は霊獣である雷尾の幼体である。


 毛玉の名前はヘイという。

 以前、とある事件で縁を繋いだカイエンに懐き、それ以来この旅路に同行している。そしてリンカは、そんなヘイをもふって抱き締めて頬擦りするという崇高な使命を胸に秘め、執念深い借金取りの如くヘイに付いて回っているのであった。


「カイエン君だって二、三日もすれば、嫌でも慣れるわよ」

「そっか、慣れるのかー。なら、暫くは我慢するかー」


 相当に不快ではあるものの、逆立ちしても耐えられない程の暑さというわけではない。よくよく考えてみれば、カイエンの住んでいた山でも、夏や冬の始め頃は殊更に厳しく感じたものだが、一晩寝て起きればさほど気にならなくなったものだ。あれと同じようなものだろう。


 自分よりも旅慣れているリンカの言うことなのだから、ひとまず様子を見てみるかと胸中で独りごちたその時である。


「――――――」


 カイエンの足が止まり、眉根が下がる。同時にヘイも、辺りを窺うように素早く首を左右に振り、耳をピンとそばだてた。

 リンカだけは何が起きているのか見当が付かなかったが、それでも二人の様子が変わったことにはさすがに気付く。やや声を潜めると、先程まで暑い暑いと緩んでいたのが嘘のように引き締まった表情を見せるカイエンに、何が起きたのかと尋ねた。


「人の声が聞こえた気がした」


 カイエンはそれだけ答えると、神経を研ぎ澄ませて瞼を閉じ、耳を澄ませる。

 一行が歩いていたのは林の中を抜ける街道だ。自然の奏でる種々雑多な物音や鳴き声が混然一体となって辺りを包み込んでいる。

 そんな中でカイエンが集中すること数秒、唐突に目を見開くと、街道を逸れて木々の間へと飛び込んだ。


「ちょっと、カイエン君!?」

「間違いない、悲鳴だ。こっちから聞こえたぞ」


 それだけ言い残すと旋風のように走り去る。相変わらず思い立ったら即行動……いや、行動してから思い立つ鉄砲玉ぶりだ。

 リンカとしては戻って来るのを大人しく待っているのが一番楽なのだが、迂闊にカイエンを放流してしまうと更に大きな厄介事を持ち帰る危険性もあり、なかなか目が離せない。

 なにより、カイエンの後を追ってヘイまでもが木立の奥に飛び込もうとしているとあっては、大人しく待っていることなど不可能だった。


「あー、もう、私も行くわよ!」


 前を走るヘイの姿を目印に林の中を駆けること暫し、リンカが飛び出したのは一本の道だった。

 先程まで歩いていた街道と比較して、大きさや整備具合にこれといった差は見当たらない。

 この道も南都へ続いている小街道の一つなのだろう。

 そしてリンカの眼前には、ある意味そういった街道での日常風景ともいえる光景が広がっていた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 彼女――ミリアは、己を強くかき抱く相手を抱き返し、唇を噛み締めた。

 この計画は可能な限り極秘裏に素早く進める必要があった。そのため、本来ならば腕利きの護衛を用意したいところだったのだが、護衛の手配にかかる時間とそれによる情報漏洩を危惧し、あえて彼女とお供の者一人だけで迅速に出立したのである。


 今、その決断が完全な裏目に出ていた。

 にたにたと笑いながらにじり寄って来るのは、全身全霊をもって野盗でございと主張しているような四人組だ。

 ぼさぼさの蓬髪に獣皮のシャツ、手にはいずれも大振りな山刀を携えている。その用途が殺傷にあることは、こびりついて固まった赤黒い血痕を見るまでもないだろう。


「そんなに怯えることはねえじゃねえか。折角あんた達みたいな美人とお近づきになれたってのに、悲鳴だけじゃあ寂しすぎるってもんだ。もうちょっとお喋りを楽しもうぜ」

「黙れ下郎が! 貴様らと話すような事など何一つとして無いわ!」


 精一杯の虚勢を張って怒鳴ると、野盗達は一瞬きょとんとした後、たまらずといった様子で吹き出した。


「ぶはははっ、威勢のいいお嬢ちゃんじゃねえか。育ちが良いと活きも良いって噂は本当だったんだな」

「おいおい、まさかそんなガキンチョが気に入ったのか? おまえ、そっちの趣味だったのかよ」

「そんなわけあるか。あんなチンチクリン、あと五年経ってから出直して来いってもんだぜ」


 好き勝手な事をほざき散らす野盗達の言葉に激高しかけるが、ここで冷静さを欠けば文字通りの命取りとなる。

 信仰を捧げた偉大な存在の御名を口の中で唱え、頭に上りかけた血を必死で押し止めると、ミリアは小さく息を吸いこんで声を発した。


「そなた達の目的は何じゃ?」


 冷静さを保ったままのその声音に、野盗達も常の獲物とは違う何かを感じ取ったのか、ミリアを見やる視線に一滴の冷たい気配が混入する。


「けっ、ガキが一端の交渉人気取りかよ。聞くまでもないだろ。金と酒と女、俺達の目的がそれ以外にあるかってんだ」

「……分かった、金ならば渡そう。それで良いのじゃろう」

「おいおい、話を聞いてたのかよ。金だけじゃ足りねえぜ」

「……っく」


 ミリア達が酒を持っていない事など一目見れば分かる。

 金でもない、酒でもない。となれば残る要求は一つしかない。


「ガキンチョには興味は無いが、そっちの姉ちゃんは美味そうじゃねえか」

「なあなあ姉ちゃん。ちょびっとでいいからこいつの相手をしてやれよ。そうすりゃ、丸く収まるぜ」

「下衆が……!」


 憤るもこの状況を覆す手段は今のミリアには無い。

 無力感に押し流されそうになったその時、救いの福音は唐突に訪れた。


「とりゃっ」

「ろべしっ!?」


 若干気の抜ける掛け声と共に、街道脇の木立の中から人影が躍り出たかと思うと、一番端にいた野盗の側頭部に鮮やかな跳び蹴りを見舞ったのである。

 蹴り飛ばされた野盗は大道芸の演目かと思う程に呆気なく宙を舞い、地面に盛大に接吻した後にガクリと脱力した。


 ミリアと野盗達の間に奇妙な沈黙が落ちる。一体何が起きたのか、脳の処理が一瞬追いつかなかったのだ。

 一方、跳び蹴りをかました人物はゆっくりと立ち上がると、ゆっくりとその場にいる者達を見比べ、どこか自信なさげに問い掛けた。


「あー、俺、もしかして間違えちゃったか?」


 何を!?


 いきなり現れ、跳び蹴りまでかましておいての自信なさげな物言いに、一同の声無きツッコミが唱和する。

 が、それが言葉になるよりも早く、新たな登場人物が林の中から姿を現した。


「大丈夫よカイエン君。悲鳴が聞こえた時は、数の多い方か武器を持っている方を攻撃しておけば概ね間違いないわ。教えてあげた事をよく憶えていたわね」

「へへっ、これで俺もジョソウジジイってやつに一歩近づいたんだな」

「それを言うなら常識人、でしょ。それにこれくらいで調子に乗っていたら駄目よ。常識人への道は一日にして成らず。常に謙虚な心構えを忘れず、上を目指して一歩一歩着実にね」

「押忍ッ」


 先程までの緊迫した空気を完膚なきまでに破壊し尽し、後から現れたパンツルックの女性が、飛び蹴りを携えて乱入してきた少年と謎のコントを繰り広げる。

 ちなみに足元では、黒い毛並みの仔犬が欠伸を零していた。


 そんな闖入者達を前に、真っ先に我に返ったのはミリアだった。


「た、助けてくれぬか! こやつらは野盗なのじゃ!」

「あっ、このガキ!」


 野盗は声を荒げるもすでに遅い。

 カイエンと呼ばれた少年の視線が自分達に向けられたのを敏感に感じ取り、野盗達が身を竦める。

 本能的に彼我の実力差を感じ取り、委縮してしまっているのだ。


 助けを請われた少年は、興味深そうにまじまじと野盗達を観察した。

 まじまじ

 マジマジ


「てめえ、何を見てやがる! ガン飛ばしてんじゃねえぞ、オラッ!」

「なあなあ、お前達は悪い奴なのか?」


 精一杯メンチを切る野盗に対し、少年は素朴極まりない質問を投げ掛ける。

 まったく会話が成立しない不気味さに、野盗達は気圧されたように互いの顔を見やり、


「世間一般では、野盗ってのは悪人とされています」


 なぜか敬語で答えてしまっていた。そんな対応からも、野盗達が内心では相当に混乱していることが見て取れる。

 それはともかく、少年は合点がいったと言わんばかりに溌剌とした笑みを見せると、おもむろに腰を落とし、右拳を胸の高さ、左拳を腰に引き付け、格闘の構えを取った。


「悪人だったら遠慮はいらないよな。掛かって来いよ、痛い目を見せてやるぜ」


 一片の気負いもなく宣言する。

 呆気にとられる野盗達だったが、その思考が怒りへ転化されるより早く、ある事実が目に飛び込んできた。


 それは淡い輝きだ。

 構えた少年の四肢に薄っすらと光を放つ紋様が浮かび上がったかと思うと、水面に漂う花びらのように、ゆっくりと、それでいて決して止まることなく形を変えていくではないか。

 陽光の下ではさほど目立たないが、その幻想的な光景はある事実を示していた。


「霊紋……てめえ、霊紋持ちだってのか!?」


 悲鳴にも似た野盗の絶叫。

 霊紋、より正確には精霊紋章。それは森羅万象に宿る精霊をその身に宿した証である。

 淡い輝きを伴う霊紋を刻み込まれた者は、俗に霊紋持ちと呼びあらわされる。


 曰く、鉄の剣すら弾き返す。

 曰く、十人と同時に力比べをしても負けることは無い。

 曰く、百の兵士を敵に回して勝ちを拾える。

 荒唐無稽にさえ聞こえる霊紋持ちに関する噂は、実のところその全てが真実であった。


 荒事の世界に身を置く者にとって、霊紋持ちと敵対するということは、同じ霊紋持ちでもない限りは約束された敗北を意味するといっても過言ではない。


「くそっ、霊紋持ちがいるなんて話は聞いてないぞ!」

「やべえっ、とっととズラかれ!」

「ちくしょうっ、憶えてやがれっ!」


 蜂の巣をつついたように騒ぎ立てながら、野盗達は昏倒している仲間を担ぎ上げると、息の合った動きで駆け去って行く。

 その逃げ足は、いっそ称賛したくなるほど見事なものであった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 野盗達を追い払ったカイエンは、ゆっくりと息を吐き出しながら霊紋を鎮めた。

 全身を巡っていた力が徐々に拡散していく感触に身を委ねながら、残った二人へと目を向ける。


 身じろぎ一つせずカイエンを見つめてくるのは、齢にして十かそこらにしかならないだろう幼女だ。

 深紅と濃緑の二色が織りなす精緻な刺繍が施された珍しいフードをかぶっている。そのフードの下から零れ落ちている豊かな金髪は見た目からして柔らかで、艶を放っては腰まで届きそうな程に伸ばされていた。


 もう一人は蒼白な表情で幼女を抱きしめている女性である。一瞬、幼女の母親かとも考えたが、見たところせいぜい二十歳かそこらであり、母親というよりも年の離れた姉といった方がしっくりくる。

 加えて顔の造作については幼女とまるで共通点がなく、どうやら血縁関係にはなさそうであった。


「で、おまえらは何者だ?」


 ぶっきらぼうに尋ねれば、二人は揃って身を固くする。

 正体不明の霊紋持ちが何の脈絡もなく声を掛けてきたのだから当然の反応ではあるのだが、そんな常識的な理由にカイエンが思い至るわけもなく、己に向けられる警戒の視線に困ったように頬を掻いた。


 ぱこん


 カイエンの後頭部を軽い衝撃が襲う。

 振り返ってみれば、リンカがやれやれとでも言いたげな溜息と共に、カイエンの頭を叩いたところであった。


 後は任せろという目配せに従い、カイエンは一歩身を引く。最近リンカから指導を受けている『目指せ常識人講座 初級』の知識程度では手も足も出ない事態であるため、正直助かったという感想しか浮かばない。


「初めまして。私はリンカ、こちらの霊紋持ちはカイエン、そしてこの至上に愛らしい子はヘイ君です」

「は、はあ……」


 足元のヘイを抱き上げ見せびらかすように掲げながら、リンカはそう口火を切った。

 常識人講座の講師に迎えるには若干不適格な挨拶に、相手方からも思わず困惑の声が漏れる。

 そんな反応など気にも留めずに流しながら、リンカは続ける。


「混乱させてしまったのであれば申し訳ありません。私達は南都に向かう途中、悲鳴を聞きつけてこちらに駆けつけました。よろしければ事情を伺っても?」

「……いや、まずは礼を言わねばなるまい。助かったのじゃ」


 真正面からリンカの目を見据え、妙に形式ばった身振りで頭を下げたのは幼女の方だった。

 年齢こそ下だが、主導権は幼女の方にあるらしいと、リンカはひとまず記憶する。


「お嬢様が頭を下げるなど……!」

「カノンや、妾を命の恩人に礼も言えない人間にさせんでくれ」

「――失礼致しました」


 おまけにそれなりに地位も持っているが、それをひけらかさないところをみると、お忍びの旅の途中といったところだろうか。お供らしい女性の対応を見ると、単に幼女の性格という可能性も考えられるが。


「すまぬな、こやつは少々頭が固いところがあってのう。悪気は無いのじゃ、許して欲しい」

「いえいえ、気にしていませんとも。誰にだって秘密の一つや二つはありますから」

「リンカの場合は一つ二つじゃ済まなそうだけどな」

「わう」

「カイエン君は黙ってて。ヘイ君はもっともふらせて」


 余計な口を挟んできた旅の連れをぴしゃりと叱りつけ、リンカは咳払いをして話を戻す。

 その光景が面白かったのか、緊張で凝り固まっていた幼女の頬が緩み、柔らかな笑みを浮かべる。


「そうじゃ、まだ名乗っていなかったのう。妾は……ミリアと呼んで欲しい。こちらはカノンじゃ」

「……お嬢様の命を助けて頂き、ありがとう存じます」


 カノンと紹介された女性が堅苦しく礼を述べると、ミリアは一瞬だけ苦笑を見せるが、すぐに口元を引き締めた。


「申し訳ないが、詳しい身の上を明かすことはできぬ。命の恩人に対して失礼とは承知しておるのじゃが……ともあれ、妾達も南都に向けて旅をしておる途中じゃった。そこでさっきの野党共に遭遇したのじゃよ。あの者共は妾達の路銀が目当てと言っておったわ」

「なるほど……」


 唇に手を当ててリンカは考え込む。身分を明かせないというのが引っ掛かるが、権力者や大富豪の血縁など、色々と面倒な事情が想像できるため不自然という程ではない。

 そんな身分の者が護衛もつけず、伴の女性一人だけを連れて旅をしているというのは非常に気にかかるが、これもまあ、お忍び旅行の真っ只中と考えれば納得できる範疇だ。


 それよりも気にかかるのは、ここで野盗が出たという事実である。

 リンカが地図を読み間違えていなければ、ここから南都までは半日もかかるまい。言わば目と鼻の先だ。

 近年、街道の安全確保に力を入れ始めたロザン皇国において、南都という大都市の近くに野党が出没するなど、俄かには信じがたい。


 無論、流れ者や野盗ビギナーがそういった事情を知らずに仕事を始め、不運にもミリア達が獲物第一号に選ばれた可能性はあるが――


「リンカといったな。少し構わないだろうか」

「ええ、もちろん」


 高速で組み上げていた推論のことなどおくびにも出さず、リンカは笑顔でそう応じた。

 声を上げたミリアは一瞬だけ逡巡する素振りを見せるも、意を決したように切り出す。


「助けてもらった身の上で厚かましい事だとは思うが、南都まで妾達も同行させてもらえぬじゃろうか?」

「――!? いけません、お嬢様。こんな素性の知れぬ者達と!」

「カノンよ、彼等から見れば妾達の方こそ正体不明であり馬の骨じゃ。それに退散したように見えるが、妾達二人きりに戻ればいつまた襲われるとも限らんのじゃぞ」

「それは……確かに仰る通りですが……」


 論理的な反論が浮かばない、あるいは言うのが躊躇われるといった表情でカノンが沈黙する。

 彼女の言い草は礼を失するという叱責に値するものだったが、リンカの興味はむしろ、危険な目に遭った直後に自ら命綱を手放そうとするその言動に向けられた。


「構いませんとも。ここからならば南都まで一日もかからないでしょう。その間くらいであれば、ご一緒させて頂きますよ」

「っ、本当に良いのか?」

「もちろん。カイエン君もヘイ君も構わないでしょ?」


 リンカがおもむろに話を振ると、いつの間にか道端に座り込んでヘイの蚤取りを始めていたカイエンはパチパチと目を瞬かせ、


「おっ、悪い、これっぽっちも聞いてなかった。何の話だっけ?」


 返事の代わりに、リンカは無言で脳天チョップを繰り出した。


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