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プロローグ

本日、4連投を試みます。


タイトルはお察しの通りです。

 ロザン皇国は東都イタミから、徒歩二日といったところにある街道沿いの村。

 町というにはいささか規模に欠け、辺境の寒村というほどには寂れてもいない。そんな村の入り口で、旅人らしき人影が村の中の様子を窺っていた。


 埃で汚れて襤褸切れと見分けがつかなくなっている外套を羽織り、革で随所を補強した布製の肩掛け袋を提げている。その人物が外套のフードを引っ張り降ろすと、下から出てきたのは精悍な顔付きをした少年だった。

 年の頃は十七、八といったところか。身長は180セテル半ばで、外套の上からでもその全身が鍛え抜かれた鋼のように引き締まっていることが見て取れる。


 少年は村の入り口に掲げられた村名の高札を眺め、懐から取り出した紙切れに目を通した後、再び高札を見てから首をかしげた。


「あれ、ここじゃないのか? どこかで道を間違えたかな? なあなあ、そこのおっちゃん、ちょっと道を聞いていいかい」

「うお!?」


 どうやら目的地と違っていたらしく、物陰からこちらを窺っていたおっさんに、道案内を頼むべく声をかけてみる。

 怪しい余所者を見張っていたおっさんは、まさか自分が気付かれていたとは思っていなかったようで、少年に唐突に呼びかけられると奇声をあげて転がり出てきた。


 一方の少年は、おっさんの醜態などどこ吹く風とばかりに、手に持っていた紙切れをヒラヒラと揺らしながら朗らかに問い掛けた。


「なあなあ、おっちゃん、ここってイタミじゃないよね?」

「イ、イタミ? それは東都イタミのことか?」

「そう、それ」

「兄ちゃん、その目ん玉は節穴か? この村がイタミなわけねえだろうが」


 地元民にもはっきりと否定され、少年は困ったように頬を掻く。


「だよね。地図の通りに来たつもりなんだけど、ここまでに見た村と大して変わらないから、道を間違えたのかなあ、と」

「……しょうがねえ兄ちゃんだな、ちょっと地図を見せてみな」


 手招きするおっさんに持っていた紙切れを渡すと、おっさんはさらりと目を通しただけで、盛大な溜息を吐いてみせた。


「おい兄ちゃん。こいつは地図なんて大層なもんじゃない。こういうのはな、子供の落書きってんだ」


 突き返された地図に描かれていたのは、三歳児が丸と線を組み合わせて空想のお友達を書き殴りましたと言われても納得できる代物であった。これを見てここまで来たというのならば、この少年はよほど方向感覚が優れているか、あるいは天性の迷子の素質を持っているかのどちらかだろう。マイナスにマイナスを掛けるとプラスになる時もあるのである。


「イタミに行くなら、この道を少し戻った所にある二股の分岐で西に行きゃ――」

「よーう、誰とお喋りしているのかと思えば、ここら辺りじゃ見ない顔じゃねえか」


 おっさんが正しい道順をレクチャーしようとしたその時、第三の声が割って入る。

 野卑な響きを含んだその声を聞いた瞬間、おっさんの背筋が一瞬だけ震えたが、すぐに振り返ると愛想笑いを作ってみせた。


「こ、これはアイアンさんじゃあねえですか。こんな所までどうして……」

「見回りだよ、見回り。お仕事ってやつだ。そんなことより、そいつは誰だ?」


 粗野な笑みを浮かべて誰何してきたのは、筋骨隆々とした手足を惜しげもなくさらした巨漢であった。少年よりも頭一つ大きいガタイを毛皮でできた衣服で覆い、人間の子供程の大きさはあろうかというゴツイ斧を、片手で軽々と持ち歩いている。

 何よりも目を引くのは、手足から顔の半分に至るまでびっしりと体中に彫りこまれたその紋様である。複雑怪奇な図柄は、さながら蛮族の戦化粧のようですらあった。


 アイアンと呼ばれた巨漢は、己の威圧感に縮こまるおっさんを無視すると、一方でまるで動じた風もなくきょとんとしている少年を睨み付けた。


「そ、その、こいつは、ただの通りすがりで――」

「俺は旅人だ。イタミに行きたいんだけど、道に迷っちゃってさ。おっちゃんが道を教えてくれるところだったんだ」


 どもりながら答えるおっさんの言葉に、被せるようにして少年が付け加える。

 アイアンは嘗め回す様に少年を観察すると、何を思いついたのか、面白そうに口角を引き上げた。


「ほーう。だがイタミに向かうなら、次の村まで丸一日はかかる。今日はここに泊まって、明日の朝にでも旅立った方が良いぞ、小僧」

「あ、そうなのか」

「アイアンさん! それは!?」

「黙ってろ、ぶっ飛ばすぞ」


 何事かを言いかけたおっさんを、恫喝の一声で黙らせるアイアン。瞬間的に殺気が張り詰めるが、巨漢がくるりと背を向けると、その空気は一瞬で霧散した。

 肩越しに少年に呼びかけ、アイアンは村の中に向かって歩き出す。


「小僧、俺が宿まで案内してやる。ついて来な」

「宿って確か、寝床を貸してくれる所だよな。マジ。さんきゅー、助かったよ。顔に似合わず優しいじゃん。あ、おっちゃんもありがとうな」


 物怖じする様子もなく少年はその後に続く。しかし、礼を告げられたおっさんは、何かを必死で抑え込んだような表情のまま、二人が歩み去って行くのを黙って見送っていた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 宿までの道中、きょろきょろと村の様子を見回していた少年は、前を歩く巨漢にふと声をかけた。


「なあ、あんた偉い奴なのか?」


 藪から棒な質問に、アイアンは足を止めぬまま、少しだけ考え込んでから答える。


「俺は……そうだな、ただの狩人だ。だが、どうして俺を偉い人間だなんて思ったんだ?」

「うーん、さっきから村の人達が、こそこそとこっち見てるんだよなぁ。宿があるくらいなら旅人だってそこまで珍しくないだろうから、そうするとあんたを見てるのかなーって」

「なるほど。まあ、俺はこんな風体だからな。どうしても目を引いちまうってわけだ」


 そんなやり取りでお茶を濁すうち、目的の宿に着いたのか、二回り大きい民家といった建物の前で立ち止まる。

 ついて来いというアイアンの仕草に従い、少年は扉をくぐった。


 建物の中には向かって正面に宿の受付があり、白髪の混ざり始めた初老の男性が立っている。

 食事処も併設しているらしく、受付右手の大部屋には机と椅子が並べられ、カウンター席奥の厨房からは、胃袋を刺激する香ばしい匂いが漂ってくる。まだ日は出ている時刻なのだが、五人ばかりの男達が既に一等席に陣取り、音量を抑える気遣いを微塵も感じさせない大声で酒盛りを始めていた。


 アイアンは受付の男の前に立つと、己の背後に立つ少年を指し示し、「客を連れて来てやったぜ」と告げ、口の端を持ち上げて威圧感たっぷりの笑みを浮かべた。


「お、お客様ですか。それはどのような……」

「おいおい、客と言ったら宿泊客に決まってるだろうが。通りすがりの旅人さんだって話だ、折角なんで一晩泊めてやんな」


 胸ぐらを掴むようにして顔を近づけ、言い含める様にアイアンが告げる。受付の男は小さく「ひっ」と声を漏らすと、忙し気に視線を彷徨わせながら少年を見やった。


 数秒そうしていただろうか、男はごくりと唾を飲むと、震える手つきながらも背後の棚から鍵を取り出し、ゆっくりと少年へ差し出した。

 少年が鍵を受け取ると、男は宿の説明をする風に少年の耳元に口を寄せ――


「おっと、部屋には俺が案内しておくぜ。あんたは今晩の宴会の準備をしておけよ」

「!!?」


 突如割り込んで来たアイアンによって、その言葉は言葉になる前に遮られてしまう。

 男が固まっている間に、アイアンは少年を連れ、宿の奥に進んで行く。鍵に記された番号が掲げられた部屋に着くと、乱暴に扉を押し開けて部屋の中へと入った。


「ここが兄ちゃんの部屋だ。ま、今日はゆっくり休むと良いさ」

「色々とありがとな。でも、さっきの人、何か言おうとしてなかったか?」

「ああ、ご利用ありがとうございますって言いたかったんだろ。人見知りだからうまく言えなかっただけだ」

「人見知りってよりは、ビクついてた気がするんだけどなぁ……」


 少年の零す疑問をおざなりに受け流しつつ、アイアンは部屋に備え付けられている水差しから湯呑に水を注ぐと、懐から取り出した小さな丸薬を素早く放り込む。

 湯呑を二、三回ほど揺らし回して丸薬が溶けた事を確認し、アイアンはそれを少年へと手渡した。


「旅をしてきたなら喉が渇いてるだろ。これでも飲んでおきな」

「おおっ、何から何まで世話になるな」

「なに、良いってことよ。あんたは大事なお客さんだからな」


 少年が、何の疑問も抱いた素振りも見せずに、アイアンの渡した水を飲み干す。その様子を片目に見やりながら、アイアンは零れ落ちそうになる嗜虐的な笑みを、必死で抑え込むのだった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 その日の晩、宿の食事処に充満していたのは、一言で表すならば暴虐の気配であった。

 少年が宿に着いた時点で既に酒盛りを始めていた五人に加え、更に五人。計十人の男達が、豪勢な食事を遠慮容赦なく食い散らかし、酒樽から直に酒杯を汲み出しては浴びるように飲み干している。


 その男達を視界に収める最奥の位置、上座に当たる席に陣取っているのは、傍らに愛用の得物である大斧を立てかけたアイアンであった。

 左右に女給役の少女を侍らせ、武骨な両手を少女の服の下にまで潜り込ませては無遠慮に撫で回している。少女達は嫌悪の表情こそ浮かべているものの、唇を噛みしめて湧き上がる感情を押し殺し、懸命にお酌をしていた。


 やがて宴もたけなわになった頃、アイアンは男達の一人を呼びつけると、一言二言何事かを命じる。

 命じられた男は下卑た笑みで頷くと、厨房の中に土足で踏み入り、そこに拘束していた人物を引きずってきた。


「お父さんっ!」


 少女の片方が痛切な悲鳴を上げる。娘の悲鳴に反応して顔を上げたのは、この宿の主人である初老の男性であった。

 その顔面は無残に腫れ上がり、仮借ない暴力が振るわれたことを容易く想像させる。


「良い様じゃねえか。俺様を謀ってあのガキを逃がそうとするから、そういう目に遭うんだぜ。大人しく言うことを聞いていりゃ、手心の一つでも加えてやろうと思ってたのによぉ」


 ぺっと唾を吐きかけ、アイアンは男を嘲笑する。縛られながらも光を失わない瞳で男が睨み返すと、気分を害したアイアンは、持っていた杯を男の顔面に向かって投げつけた。

 陶器が砕け、男の額から血が勢いよく流れ落ちる。

 悲鳴を上げる女給の少女を突き飛ばすと、アイアンは男の髪を掴み、力任せに引き起こした。


「おいおい、泣く子も黙る盗賊団『キョウセイ』のアイアン様が、てめえなんぞに酒をくれてやったんだ。お礼の一つも言えないのか? んん?」


 獲物を甚振るアイアンの言葉に、酔った手下達からやんやと喝采が飛ぶ。アイアンは満足げに頬を緩めると、とどめとばかりに腕に彫られた紋様を突き出してみせた。


「そんなに抵抗したいなら好きにしな。だがな、俺様が霊紋持ちだってことを忘れるんじゃねえぞ。霊紋持ちは、一人で百の兵士に匹敵する。そのくらいのことは、てめえだって当然知ってるよなあ」


 無慈悲な宣告に、男の肩から力が抜ける。抵抗する獲物の心を折った感触を堪能すると、アイアンはぶら下げていた男を無造作に放り捨てた。


「はっ、この村の連中は、どいつもこいつも根性無しだぜ。おい、そいつは厨房に戻しとけ」


 指示された部下は「分かりやした」と頷くと、ついでにもう一つ尋ねてくる。


「そういや、お頭。例の小僧はどうするんですかい? 言われた通り、睡眠薬で寝ているところを縛り上げてはありますが」

「金目の物は持ってなさそうなガキだったからな。まあ、他所に俺達のことを漏らされると厄介だ。身包み剥いだら、殺して森の中にでも埋めておきゃいいだろ。見つかる頃には、俺達はとっくにトンズラしてるって寸法よ」

「いやぁ、そいつはお断りだな」


 唐突に響いた声は、『キョウセイ』の誰のものでもなかった。

 その場にいた盗賊達が、弾かれたように一斉に立ち上がる。彼らの視線の集う先、いつからそこにいたのか、食事処の入り口に旅人の少年が立っていた。

 ボロボロの外套は脱いでおり、道着にも似た動きやすそうな衣服を身に纏っている。その両腕には、左右で色違いの白黒の腕輪がはめられていた。


「てめえ、どうしてここにいる!?」

「あのくらいの薬じゃ昼寝がせいぜいだ。縄だってあんな細くちゃ、簡単に千切れちまうぜ」

「くそっ、てめえら、何をぼさっとしてやがる。とっととそのガキを畳んじまえ!」


 アイアンの号令一下、『キョウセイ』の盗賊達が一斉に少年へ襲い掛かる。

 だがしかし、少年は怯むことなく、逆に盗賊達へと躍りかかった。

 殴りかかって来る一人目は、腕を掴み振り払う。盗賊は軽々宙を舞うと、頭から床に落下して気を失った。

 掴みかかって来る二人目は、両腕の間をするりと抜けて顔面に拳を叩き込む。こめかみを撃ち抜かれた盗賊は、呻き声一つ上げることなく崩れ落ちた。

 左右から挟み込んで来た三人目と四人目は、震脚と共に放った肘打ちと反転させて放った回し蹴りを土手っ腹にくらい、宴会料理の乗った机を巻き込んで失神した。

 瞬く間に四人の仲間が打ち倒され、血の気の引いた顔で立ち止まった五人目は、肩をいからせたアイアンに横っ面を張り飛ばされて床に転がった。


「ガキがぁ! 一端に拳士気取りか! 霊紋持ちに喧嘩を売ったらどうなるか、知らないわけじゃねえだろうな!」


 唾を撒き散らしながらアイアンが怒鳴る。少年は律儀に飛んできた唾をすべて躱すと、困惑の形に眉を歪めた。


「霊紋?」

「おうよ。こいつが目に入らないとは言わせねえぜ!」


 右腕を突き出し、そこに彫られた紋様を見せつけながら、アイアンは得意げに言い放つ。


 霊紋とは、この世の森羅万象に宿る精霊をその身に宿した証である。正式名称は精霊紋章、略して霊紋。

 血の滲むような修練の果てにこの霊紋を宿した者は、十人力とも言われる怪力と、それを振るうに足る頑強な肉体を獲得する。

 たった一人で百の兵士と互するとされる霊紋持ちは、まさしく切り札と呼ぶべき強さを持っているのだ。

 だが、


「それは霊紋じゃなくて、ただの入れ墨だろ?」

「なんだと!?」


 少年は微塵も臆した様子も見せず、むしろ呆れた表情で言ってのける。

 動揺するアイアンに対し、少年は腰を落として半身の体勢に構えると、ゆっくりと拳を握り込みながら告げた。


「霊紋ってのは、こいつのことだぜ」


 どくり、と少年の肉体が脈動する。目には見えない何かが急速に少年の身体に収束し、全身に淡く光る紋様が浮かび上がった。

 その形状は複雑怪奇。一呼吸ごとに緩やかに形を変えるそれと比べれば、アイアンのそれは戯れ絵にしか見えない。


「てめえ、まさか本物の霊紋持ちっ!?」

「どうした、来ないならこっちから行くぞ」


 驚愕のあまり声が裏返るアイアンの眼前に、瞬時に少年が出現する。床を踏む、ただそれだけの動作でもって、常人の知覚速度を振り切ったのだ。


「シッ」


 何の変哲の無い正拳。しかし、反射的にアイアンがかざした斧と接触した瞬間、斧は木っ端微塵に爆砕し、アイアンは宿の壁をぶち抜いて屋外へ叩き出されていた。無様に地に這った両手はぐちゃぐちゃに捻じれ、獰猛だった顔面は白目を剥いて沈黙している。


「さて、まだやる気のある奴は前に出ろ」


 死刑宣告と同義の一言に、残った盗賊達は一瞬の躊躇も無く土下座したのだった。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 霊紋持ちを偽りあちこちの村々で無法を働いていた、アイアン率いる山賊団『キョウセイ』が、たった一人の少年に叩きのめされた翌日の早朝、叩きのめした当の少年の姿は村外れにあった。


「兄ちゃん、あんたにはどれだけお礼を言ったら良いかわからん」


 食料が詰まった袋を差し出しながら、少年と真っ先に出会っていたおっさんが呟いた。

 『キョウセイ』は村人達を暴力で抑えつけ、好き放題に暴れていた。人質を取り、もしも逃げる者がいれば人質を殺すと脅していたのである。


 それでもおっさんや宿の主人は、無関係な旅人を巻き込まぬように逃がそうと試みていたのだが、それを妨害してわざわざ旅人を村に引き込んだアイアンが、逆にその旅人に潰されるなど、皮肉が効いていて何とも小気味良い。


 本当は村を挙げて歓待したいところなのだが、少年が先を急ぐというため、こうしてお礼代わりの食料だけでも渡しに来たのである。


「別に良いって。通りすがりにちょっかい掛けてきた馬鹿に、適当に灸を据えただけだし」


 謙遜なのか、あるいは本当に大したことではないと思っているのか。鷹揚に流す少年の姿に苦笑すると、おっさんは朝靄にけぶる街道を指差した。


「この先の分かれ道で西に向かえば、後はイタミまで一本道だ。時間はかかるかもしれんが、兄ちゃんなら問題なく着けるだろう」


 普通の旅人であれば野生の獣や山賊といった脅威があるが、その程度では霊紋持ちの少年を傷つけることなど到底不可能である。

 それを理解しているのかいないのか、少年は一つ頷くと、あっさり村に背を向け歩き出す。


 その背中に向け、おっさんは思い出したように声を張り上げた。


「兄ちゃん、大事なことを忘れてた。兄ちゃんの名前を教えてくれ。恩人の名前も知らないなんざ、恥ずかしくていけねえや」


 少年は足を止めて振り返ると、おっさんに負けじと大声で名乗り返す。


「カイエン。九鬼顕獄拳のカイエンだ」


 これが、皇国における九鬼顕獄拳カイエンの初めての足跡である。

セテル=cm

単位はちょっとだけ変えています。


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