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堕ちた釣り堀

作者: オザミツ

釣り堀デビュー!しかし‥



記憶して居るので

物心はついてるであろう

3、4歳の頃


初夏くらいの時季


市内郊外の

古くて狭い釣り堀へ

親父に誘われついて行く


練り餌ひと握りと

貸し竿付きで一時間200円

庭石を敷き詰めた敷地に入って

右側に受付がある


その周辺には

金魚や鯉も販売している生け簀

赤や黒錦鯉の姿も見られる


向かって

左側手前に大きめの水槽

その奥右側に小規模の生け簀

左側には少し広めの生け簀


この三種類の釣り堀


水槽にはエアーのブクブクがある

水は至ってきれい

それ以外の生け簀は

水質がバスクリンの様に

緑の藻で覆われて不透明


何が居るかわからない

何が釣れるのかな?と

興味と冒険心を唆られる


奥左の一番広い釣り堀は

鯉釣りなので幼児には無理

中学生と大人が釣りをして居る


藤棚の下

水槽は規模が小さく

間近に見られて

釣りと言うよりすくい釣り

こちらは小さい金魚釣り

こちらも却下する


中間の広さの生け簀で釣る事にした


渡り板の上

腰掛け用に切り株が置いてある


親父の隣で暫く糸を垂れる

棒ウキがチョンチョンと動くが

糸を上げると餌だけ取られてる

ぜんぜん釣れない


腕は幼児

釣れなくて当たり前と

思いながらも釣りたい一心


時間を気にして

親父から離れた場所へ

それでも釣れない


親父の対面に移動した

落ち着きがない奴と言われるも

餌を付け直し糸を垂れる


またチョンチョン‥

チョンチョンチョン


今度は少し違う引き

糸を素早く上げてみる

お、釣れたかな?!


重い手応えだったので

引っ張られながらも逃すまいと

水面をパシャパシャさせながら

親父が手伝い

たもですくって貰い引き上げる


釣れた!


15センチくらいの

大きめの金魚だった


釣り堀デビューの初ヒット!

触るのが怖いけど

自分で針を取らされる

少し暴れるが無事外れた


ブイの浮き付きの網カゴを

急いで店の人に借りに行く


無事カゴに入れ捕獲した

満足に浸る


この頃から既に欲多き人間の

はじまりでもっと沢山釣ろうと

直ぐさま餌を付け糸を垂れる


中腰で居たので

ウキを見ながら切り株に座ろうと

腰を下ろす


と、その瞬間


切り株に尻餅をついた状態になり

前につんのめると


ドボーンッ!

釣り堀へ堕ちてしまった


自分は何が何だかわからない

底には足が届かない

慌てた顔した親父の顔が見える


何を言ったかは覚えて居ないが

親父も釣り堀へ飛び込んで

抱えて貰い助かった


自分も親父もびしょ濡れ

他の客人が

お店の人にタオルを借りる


この時履いて居た

ヒーロー柄の靴

片っ方何処かへいった

片足裸足でパンツ一丁の姿

仁王立ちしながら

濡れた体を拭いてもらう


初の釣り堀デビューは

とんだ災難となった


釣り堀の店主さん

他のお客さん

うちの親父


良い人皆に囲まれて

それだけでも良かったと

幼いながらも嬉しかった


後から

ヒーロー柄の片っ方の靴が

釣り堀の店主から届いた


甘えて育ったわけではないけど、良い大人に囲まれて育ったなと回想する。

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