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【コミカライズ連載中】幼馴染みで悪魔な騎士は、私のことが大嫌い  作者: 編乃肌
番外編

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ウォルのちゃぷちゃぷ日記

『◯月△日 天気・はれ


 スーが使わないからって、ニッキチョウっていうのをくれた!

 これに毎日、起きたことを書いていくんだって。


 最近、ボクはたまーにだけど、フェイのところに遊びにいって、人間の文字を習っているんだ。

 フェイはすごいよ。口にペンをくわえて、スラスラと絵も文字も書ける!

 ミラが「本気を出せば、フェイは画家になれます」って言ってたけど、本当かな? でもフェイがすごいのは本当!

 ボクは前足をつかってぐりぐり書いているの。はやくフェイみたいに、じょうずに書けるようになりたいな。


 だから、今日からニッキを書くよ!

 サボったりしないよ! たぶん!

 今日はスーの作ったシチューが焦げていて、ちょっとまずかった。おしまい!』




『◯月★日 天気・はれからあめ


 今日はスーのお家に、リンスが「ジョシカイ」っていうのをしに来ていた。

 リンスにはボクが見えないけど、スーが霊力を渡したら見えるから、スーがお茶を淹れている間とかは、ボクはリンスとお喋りしていたの。


 リンスは黒頭がスーをいじめてないか、ボクに確認してくるよ。

 「レイスさんがスーを泣かすようなことがあったら、すぐに私に報告してね、ウォルくん」だって。そんなことがあったら、ボクが黒頭に攻撃するからダイジョウブだよ!


 リンスが帰る前に、クッキーをくれたけど、美味しかった。

 明日はリョウシュサマに木苺のパイを食べさせてもらうよ。明日もたのしみ!』




『◯月※日 天気・くもり


 リョウシュサマからパイをもらったよー。

 食べ過ぎてお腹がふくれちゃった。

 でも、リョウシュサマに会うと撫でまわされて、毛がぐちゃぐちゃになるんだよね……。「撫でちゃダメ」って拒否したいけど、したらリョウシュサマがヘコむから、そこは大人になってあげてって、スーに言われた。


 むしろ「ボク、リョウシュサマに撫でられるの大好きだよ」って言っておけって。

 「シャコウジレイ」ってやつだね! 知っているよ!


 夜にスーのお家に帰ってきたら、机の上に、「食べて良い」って書いたメモと一緒に、リンゴのタルトケーキがおいてあった。

 スーの作ったやつかな?

 ちょっとお腹いっぱいだったけど、とってもとっても美味しかったよ!

 ありがとう、スー!』




『◯月♪日 天気・はれ


 た、たいへん! たいへん!

 間違って、ロアから来た手紙に紅茶をこぼしちゃった! 机の上でころころ転がって遊んでいたら、ぶつかっちゃったの……。

 まだスーは読んでないよ! 滲んで読めない! どうしよう!


 あんまり遠くを移動しすぎると疲れるから、いっぱいは行けないんだけど……困ったときはフェイ!

 それかジョオウサマ!

 フェイのところに手紙を咥えていったら、ちょうど聖鐘の森に行っているって。


 結局ジョオウサマに濡れた手紙を見せたら、「これを書いた者に、もう一度書き直してもらえばよかろう」とクスクス笑われちゃった。

 ジョオウサマは相変わらずキレイでやさしい。

 その手があったね!

 

 あと、スーがボク用に作ってくれた、水色の雫模様のリュックを開けて、無理やり詰め込んできたこのニッキチョウも見せたよ!

 フェイもジョオウサマも、ちゃんと書けているって褒めてくれた。やったね!


 今日はもう眠かったから、聖鐘の森で寝ることにしたよ。木葉のベッドですやすや。

 スーには「ジッカに帰ります。さがさないでください」って書置きをしたからダイジョウブ。家を出るときはこう書けって、フェイが教えてくれたからね。


 明日はすぐにロアのところにお邪魔しよっ』




『◯月※日 天気・くもり


 教会に顔を出して「ロアいますかー?」っていろんな人間に聞いたら、走ってきたロアは「スーリア様の……!? どうなさったのですか、水の精霊様!?」って驚いてたよ。

 手紙のこと、ごめんって謝って伝えたら、すぐに書き直したのを用意してくれた。忙しそうなのに、本当にごめんね。


「今度所用でアルルヴェール領の近くへと向かうので、もしお会い出来たらという簡単な内容の手紙です。すぐにいくらでも書けますから、お気になさらず。ああ、それとこれもどうか、お二人に一緒にお届けください」

 

 そう笑って、ロアは手紙とキャンディーの瓶をくれたよ。瓶は僕が持っていきやすいように、リュックに入れてくれた。

 なんかロア、ちょっとたくましくなった? 前は女の子みたいだったけど、今は男の子みたい!

 そう言ったら、「ぼ、僕はもともと男の子ですよ!」って真っ赤な顔でわたわたしていた。

 なんかいつの間にか集まっていた他の白ローブの人たちが、「がんばってください、ロアさん!」「私たちはロアさんの成長を応援しております!」って拳を握っていた。

 よくわかんないけど、ありがとう、ロア!


 でもまた眠くなっちゃったから、瓶入りのリュックを背負ったまま、ロアのお膝で寝ることにしたよ。ニッキだけはこうやって、ちゃんと書いたし。帰るのは明日でいいや。


 待っていてね、スー』



『◆月★日 天気・はれ


 スーのとこに帰ったら、「あんな書き置きあったら、なにかあって家出したのかと思って心配するでしょ!」って怒られちゃった。ごめんね、スー。

 そんなスーに飴と手紙を渡して、正直にぜんぶ説明したよ。スーは「もう、ウォルってば……」って最後は笑って許してくれた。

 良かった!


 その夜は、いつの間にか机の上にガトーショコラっていうお菓子がおいてあった。これおいしいんだよ! 前みたいに、たぶんスーが作ってくれたんだ。

 一緒に置いてあったメモには、「疲れただろうから食べていい。あまりスーに心配をかけるな」ってあった。

 スーが、スーに心配をかけるなって書いたの……?

 変なの。ま、いっか。ガトーショコラがおいしかったからなんでもいいや!』



『◆月※日 天気・くもりのりあめ


 アランが顔を出して帰っていった。アランは黒頭のお父さんのような人だって、スーが教えてくれた。

 アランは見えていないボクに、「レイスのこと、よろしくな。アイツ、ああ見えて繊細な奴なんだ」とか笑って言い残していったよ。


 ……黒頭のことはスーを取っちゃうから嫌いだけど、スーがボクと黒頭が仲良くした方が喜ぶことくらい、ボクは知っているんだ。二人のジャマを、あんまりしちゃいけないことも。

 嫌いなものは嫌いだけどね!

 仕方ないから、ちょっとボクから『アユミヨリ』をしてあげる。


 お庭でリコラの花をとって、ボクは机に置いておいた。

 ちゃんとメモには、『スーとクロアタマへ』って書いて。文字の練習しといて良かった!


 恥ずかしいから、しばらくボクはリョーシュさまのお家にこもります! スーも黒頭も、二人でのんびり仲良くしてればいいよ! ミズイラズってやつだね! ボク、水だし!』



『◆月♪日 天気・すっごくいい天気!


 ひさしぶりにスーのお家へ帰ってきた!

 ニッキチョウを置いてきたから、こっちもひさびさに書いているよー。あ、これってサボったことになる?


 今日は帰ったら、スーが「お花、ありがとうね」って言って、木苺のパイをくれた!

 やっぱりスーのパイが一番だね!

 お昼と夜、どっちも木苺のパイをくれて、ボクはしあわせだよ。なんか少し味がお昼と夜だと違う気がしたけど……どっちもおいしかったよ! いや、夜の方がちょっとだけおいしいかも?

 お花は、花びんに入れてかざってあった。

 黒頭はスーに霊力をもらったのか、ボクが見えているみたいで、すっごく小さな声で「おかえり」って言われた。


 ……あのときはムシしちゃったから、ここで言っとくね。

 ただいま、スー……と、クロアタマ!』



●●●



「ただいま、ですって。あなたにもよ、レイス」

「……そうか」


 日記を広げたまま、食卓の机で寝ていたウォルの姿を発見した私は、こっそりとノートを覗き込んだ。

 その内容に微笑みながら、私は横のレイスにも教えてあげる。


「しかも、あなたの作ったパイの方が美味しいって。失礼しちゃうわ」


 ここ最近、腕を上げたからね、コイツ。

 

 実はレイスは、少し前から私と一緒にお菓子作りの練習をしている。ウォルにこっそり食べさせてみた、リンゴのタルトケーキ、ガトーショコラ、そして夜に出した木苺のパイは、すべてレイス作なのだ。

 菓子作りをはじめた理由は、ウォルと仲良くなるきっかけが欲しかったそうで。レイスなりにいろいろ考えていたみたい。……まあ、ウォルの方も、考えていたみたいだけど。


 もう少ししたら、あれは全部レイスがウォルのために作ったのだと、ウォルにネタバラシするつもりだ。

 『レイスとウォルの仲良し大作戦』を私が画策するまでもなかったわ。

 

「本当に、あなたは昔から器用よね。料理も掃除も完璧、さらにお菓子作りまで私よりうまいとか、ねえ、舐めているのかしら」

「そうでもない。……性格は不器用だと、団の連中にはからかわれた」

「まあそれはね」

 

  赤の瞳にレイスは不本意そうな色を宿しているが、そのくらいの可愛げは欲しいところよね。

 

 私は転がっていたペンを持って、今日の日記の最期に『おつかれさま、ウォル』と書き込んだ。ウォルは起きる気配はなく、水状の尻尾をゆらゆらさせながらスピスピと爆睡している。

 

 それに私は、ふふっとまた笑みを落とすのだった。

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