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初戦闘

視界が明るくなり僕の目に最初に飛び込んきたのは噴水のある広場にあふれる多くの人々だ。辺りをみまわすと中世のヨーロッパを彷彿とさせる外観の街並がひろがっている。

あれがエルフか。あっちはドワーフかな?

周りの人々を観察する。

アイテムショップや冒険者ギルドは人が多くてとても入れそうにないな。


ふむ、初期装備は刀か。

腰にさした武器をみる。

とりあえず街の外に出て戦闘してみるか。不死鳥のステータスは特殊すぎてよくわからないしね。今後の方針を決めるにも一回戦闘を経験してみないと。


街の門を出ると左手に荒野、右手に森が広がっていた。

どっちにいこうか……。

森かな。


多くのプレーヤーが荒野を目指す中、森のほうに足を進めた。


森の入口付近に来ると初めての敵が現れた。


《Lv.3フォレストウルフ》


敵の頭上に表示された情報をよむ。

Lv.3か。やはり本来最初に行くべきは荒野だったらしいな。

フォレストウルフは体長2mほどの白銀の狼だ。

こちらの姿を確認した途端ものすごい勢いで突進してきた。

ムム、はやい!


「ぐっぼぼぼおおおっ!」


僕は真正面から体当たりされ後方に大きく吹き飛んだ。


「い、痛ぇな。やるじゃねえか……犬ッころ。」


僕の口が何か言っているがとりあえず痛い。

とてつもない痛みに顔をしかめる。

なんせ僕は紙装甲だからね。ダメージがほぼそのまま入る。

急いで環境設定画面を開くと痛覚の値を0にした。少しは痛覚を残しておかないと毒などに気付けないらしいが、僕には関係ないだろう。

改めて敵のほうをみるとHPバーがわずかに削れていた。

【吸収】の効果か。まず試すのはこのスキルの効果だな。


その後一時間ほどフォレストウルフの周りをにげまわっていると、ついにフォレストウルフのHPが尽きたらしくアイテムを残して消えてしまった。


長い……。


武器をつかってないとはいえ、さすがに時間がかかりすぎるな。僕はこのゲームの攻略を最前線で行うことが目標だ。あまり時間がかかりすぎると周りに置いて行かれるな。何か対策を立てねば。とりあえずレベルが上がったみたいだしステータスでも見てみるか。


-----------------------------------------------

Lv.2 振り分けPt 4


HP : -

MP : 0《固定》(+172)

ATK:1《固定》

DEF:1《固定》

AGI :51

DEX:51


【吸収】【不死の炎】【再臨】

-----------------------------------------------


とりあえず当面ポイントの振り分けは必要ないだろう。戦い方も決まってないしね。

フェンリルウルフは魔法を一切使ってこなかったが魔力をかなり吸収しているな。魔法が使えないからといって魔力がないとは限らないってことか。


その後僕は森の中を走り回り、多くのモンスターを引き連れて森の最奥部にたどり着く。

そこには黒い木の怪物がいた。太い幹に顔があり、かなり多くの根をはっている。


《Lv.10 フォレストキング》


明らかに格が違う。僕の後ろにいる森の精、《ピクシー》や木の怪物、《トレント》などの多くのモンスターは精々Lv.5といったところだ。


「まあ、俺様にとってはどちらも大差ないがな。

くひひ、さて戦闘を始めるか。」

何を言っているんだ僕の口。


刀を抜き放ち体のまえにかまえる。


「ふっ」


僕は息を吐くと同時に姿がかすむほどの速さでフォレストキングのもとに迫りその太い幹に切りつけた。確かにダメージが入ったらしく、フォレストキングのHPバーが目に見えて減る。

フォレストキングが金切り声をあげ、地中に埋まっていた根がものすごい勢いで僕に向かって飛び出してくる。

一本目の攻撃はなんとか刀でうけたものの体勢を崩したところを二本目の攻撃に撃ち抜かれ、後方に吹き飛ばされる。


「ぐぼおおおおおおおおお」


背中から地面に叩きつけられる。

くっ、連続攻撃をしようとしてもすぐ根ではじきとばされてしまう。やはり一撃で決めるしかないか。


僕が思案にふけっていると突然後ろから衝撃が来た。


「ぐ、雑魚のくせに生意気な。」

先にこいつらを倒すべきか。

僕は自分が引き連れてきた20体あまりのモンスターたちのほうに向きなおると同時に先頭にいるトレントとの距離を一瞬でゼロにし、勢いをのせた一太刀で切り捨てる。さらに返す刃で左斜め上を飛行していたピクシーに切りつけた。


ぐぎゃああああ!

ピクシーが悲鳴をあげて消滅した。


「うひゃひゃひゃ。断末魔の悲鳴が耳に心地いいぜ。」

僕は今【再臨】の効果で全ステータスがかなり上昇している。この二時間、森のモンスターたちの敵意を一瞬も途切れさせず浴びていたのだ。


つまり、今の僕にとって森のモンスターなど敵ではない!


すべてのモンスターを一刀のもとに葬り去っていく。30秒もかからずその場にいたモンスターたちは全滅した。


あとは、フォレストキングだけだ。

振り返るとやつは先ほどの位置から一歩も動いていなかった。まあ、動けるかどうかは甚だ疑問だが……。


倒し方は既に考えてある。

刀を鞘に納めると。フォレストキングに向かって全速力で走り出した。

道を阻もうとするいくつもの根の間をかいくぐりながら、一気に敵の眼前に迫る。


終わりだ! 【不死の炎】


体の正面に突き出した両の手から視界を埋め尽くすほどの大火力で七色の炎が放たれる。炎はフォレストキングを一瞬で焼き尽くし、わずかな余波と残像を残して消え去った。

「ごみ掃除完了だぜ。」

案外あっけなかったな。


チリン。

《森のフィールドボスの初討伐者となりました。フィールドボスの初討伐者が出たことは全プレーヤーに通知されます。討伐者として名前を公開しますか?》


「非公開だ。」

即答する。

なんだ、僕の口もよくわかってるじゃないか。


《かしこまりました。それでは非公開での通知となります。》


ふむ。今回の戦闘では幾つか得るものがあったな。その辺は街にかえってゆっくりと考えようか。

僕は始まりの街のほうへゆっくりと歩き出した。


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