アップデート
「まあ、俺にかかればゲートボスもフィールドボスも大した差はないね。フフッ。」
「流石だ。お前に託して正解だったな。」
今、僕は高鳴りの街にあるギルバートの鍛冶屋に来ている。
「お前はこの後、大陸に行くつもりか?」
「ああ。だが、その前に新しい武器を作って欲しいんだ。」
「武器?また刀か?」
「いいや。今回はダガーナイフを作ってくれ。」
「ダガー?素材はどうする?」
「これを使ってくれ。」
ギルバートにデスデーモンの素材を渡す。
「これはゲートボスの素材か?よし、分かった。これでダガーを作っておくから三日後に取りに来い。」
「三日後?そんなにかかるのか?」
「ああ。武器を作るのには2日で十分だが、明日はアップデートで一日中ログインできないからな。」
「アップデートか。完全に忘れてたな。そういうことなら納得だ。三日後にまた取りに来る。」
「ああ。いい武器を作っといてやるから期待して待ってろ。」
「そうさせてもらおう。」
そう言うと僕は鍛冶屋を後にした。
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「暇だ―。」
バタリッ。
ベットに倒れこむ。
日曜日の正午、僕はやることもなく時間をもてあましていた。
ゲームのアップデート長すぎだろ。今日一日中暇だよ。
もう昼か。
腹も減ったし昼食でも食べるか。
そう思い、近くの床に落ちていたコートを身に纏いアパートの部屋を出た。
「いらっしゃいませ。」
近所のコンビニにやって来る。
さて、何にしようかな?
弁当コーナーの陳列棚に並べられた商品を眺める。
蕎麦かな?それともカレーかな?
僕が多くの商品を前ににらめっこをしていると、
「おっ、シオンじゃねえか。」
「ホントだー。」
後ろから声が聞こえてくる。
誰だ?と思い振り返ると、そこには見慣れた男女の二人組がいた。
一人は大柄な男。筋肉質な肉体に高い身長、太い眉に強い意志を感じさせる目をしている。
もう一人の細身の女。ショートカットの髪にぱっちりとした目をしており、今はその明るい印象を受ける顔に満面の笑みを浮かべている。
幼稚園から中学まで一緒だった幼馴染、ユウジとカナだ。
「久しぶりシオン、元気にしてた?」
カナが話しかけて来る。
「ああ。ほんとに久しぶりだな。5年ぶりくらいか?」
カナの方を見ながら答える。
「最後に会ってからもうそんなに経っているのか。時が過ぎるのは早いな。」
ユウジが驚いたように言う。
相変わらず爺くさい奴だな。
そう思いユウジの方に視線を移す。
こいつら何も変わってないな。5年も経てばもう少し変化があってもいいものだが。
「それで、二人して今日はどうしたんだ?」
僕が疑問を口にする。
確か、こいつら二人にも現在は特に接点がなかったはずだ。
「え?何言ってるの?今日は中学の同窓会だよ。」
「もしかしてシオン知らなかったのか?」
二人が言う。
同窓会?
そんなものがあったのか、初耳だな。
それで二人でいたのか。
「ああ、初耳だ。まあ、知っていようが知っていまいが参加しないけどな。」
「シオンは変わらないねー。」
「昔からこういう集まりには参加しなかったもんな。お前は。」
「ねえねえ。久しぶりに三人で会えたんだからこれからもちょくちょく連絡取り合おうよ!」
カナが提案する。
「まあ、構わないが。」
「俺も問題はないぜ。」
「それで、シオンは今何してるんだ?」
「どうせゲームばかりやってるんでしょ!」
ユウジとカナが口々に言ってくる。
「まあな。最近はドッグ・ラン・オンラインにはまってるな。」
特に隠すことでもないので、真実を口にする。
「へえ。シオンは第一陣としてプレイしてるんだ。実は私たちの間でもさっきその話が出てね、私もユウジも第二陣としてプレイできるってことが分かったの。」
ほう。それはすごいな。
ドッグ・ラン・オンラインは世界初のVRMMOとして話題になっているためプレイしたがる人は多い。しかし、サーバーの関係でプレイできる人数が限られてしまうため、
プレイするにはかなり倍率の高い抽選を勝ち抜く必要があるのだ。
僕がカナの言葉に驚いていると、
「おい、カナこれ以上話していると時間に遅れるぞ。」
ユウジが時計を見ながら言う。
「あっ、本当だ。もっと話していたいのに……。でも、お互いの連絡先も知ってるしまたすぐに会えるよね。」
「今度、暇なときにまた三人で会おうぜ。」
「ああ。また今度会おう。」
そう言うと、二人は離れて行った。
唐突に現れ、唐突に去っていく二人の背を見送りながら首を傾げる。
あいつら商品を何にも買っていかなかったが、何しにコンビニに来たんだ?
まあ。僕も昼食を買ってさっさと帰るか。
その後、僕はアパートの自室に帰り昼食を食べた。
因みに昼食はオムライスになった。




