小説投稿サイトで初心者の肌野くんが怪談を探して回ってるの巻
適当に書いた番外編です。
よく読まないと意味分かんない系の、ホラーもどきです。
ボクは今、学校の怪談、学校の七不思議を探してる。
と言うのも、ボクが最近見つけた「小説家に行こう」という小説投稿サイトがあるんだけど、そこで夏の間「夏がホラね2015」というホラー企画が開催されているからなんだ。このサイトは前から知っていて読み専門だったんだけど、読んでいたらボクも書きたくなって。
そこまで仲が良いって程じゃないけど、クラスメイトの男子でこのサイトで小説を投稿してる人がいるってことを知った。お昼休みにね。中学生とか高校生で投稿してる人もいるんだってさ。別に聞き耳を立てた訳じゃないよ。そこは間違えないでよね。聴こえて来たんだ。
でさぁ、それならボクだってっ! って思うじゃない? 思わない? あっそう……。
ほら、ボクってよく「オカマ?」とか「オネエ?」なんて言われてるでしょ? あっ、知らない。そう……。ごめんね。
男子はお友達だけだよ? あいつは特別ッ。本当はボクだって女子が好きなのにさぁ。もぉ!(とかも言ってみたいしッ。へへ)
だから、少しは男らしい文章も書いてみたいじゃない?
トイレのお花さんは定員オーバーだと思うんだ。それを題材にしてる人は多いとボクは踏んだんだ。まだ小説を書き始めて三ヶ月程度のボクには荷が重いよ。それにホラーとか詳しくないしさぁ。で、どうしようか迷って最初は音楽室にした。
知らないの? ほら、ベートーベンの人。
あっ……。ごめんね。別にばかにした訳じゃないよ? うん。地域とか年代とか色々あるからね。デリケートな問題(違った?)
でね、髪はショートボブをサイドふんわりした感じのヘアスタイルの人。うん。縦ロールの人じゃないよ。今、女子の間で縦ロールが定番のオシャレさんだけど、この時代も流行とかあったんだね? ベートーベンさんは流行りに乗り遅れちゃったみたいだけど……。かわいそう。
そのベートーベンさんの目が、夜になるとギョロリと動くんだって。丁度これから音楽の時間だから、ちょっと早めに行ってみるよ。
そう言って肌野くんが音楽室に入ると……。
あっ、気にしないで、これ一応小説だから~。三人称って言うの? ボクも最近覚えたんだけど、そういう手法も時々使うからね。約束だよ? うん。また一人称になる時もあるけど、それは許してね。ボク若葉マークだから。えへへ。
音楽室には生徒はまだ誰も来ていなかったが、先生はドアを入って向かい合わせに正面を向いているピアノの椅子から、一歩離れた横に静かに立っていた。先生が肌野くんに気づくと気さくに手を挙げて軽く挨拶をした。
「チッ! 男かよッ──。よ~ぅ。肌野~。テメェ早ぇ~な~。先生もっと黄昏てたかったぞ? うん?」
そう言って音楽教師がフレンドリーに話しかけると、肌野くんは唐突にあの話を切り出した。
「ねぇ先生、学校の七不思議とか、怪談って知ってる~?」
「あぁ~? 俺のことか? 七光りなら知ってるけどな~。親の。つー俺も親のコネ。音楽教師なんか超かったりぃ~けど、夏休みがあんじゃん? 先生音楽教師だから他の教科の先生より満喫出来る、つーのかな。まっそんな感じ~。あはははははは」
ほんとフレンドリーで、裏表の無い良い先生なんだ。恵まれてるよね。ボクはこの学校で良かったなぁ~ってホント思うよ。
「先生~、もぉ……っ! ボクの話ッ」
「お~ぉ、そうだったそうだった。なんだ? また先生がイケメン過ぎて不思議~っつうやつか? 七不思議? 俺だろ、それッ」
「違うよ。あっ、先生がイケメンじゃないとかそういうんじゃなくて、え~っと……。ベートーベンさんの目とか、夜に動いたりしたことない? 先生は見たこと無い? 聞いた話でもいいからさ~」
「肌野~……。テメェ、シャブでもやってんのか? 学校はシラフで来るもんだろ? ラリってんじゃないだろうな? 先生も音楽家の端くれだけど、さすがにシャブにはまだ手ぇつけてねーぞ? 別のシャブなら、へへへ。なっ? 分かんだろ? お前も。──うん。お前は猫だなッ」
「んー……わかんない(まだ) ────ねっ? 無いの?」
「無い! 怪談より、女だ! 先生は。 ────肌野は見たいのか? 幽霊?」
「見たいって言うか~……。そのぉ」
ボクが言いよどんでいると、さすがは先生だ。ちゃんと次の打開策までアドバイスをくれた。
「絵とか好きなら美術の先生に聞け~。ほら、あの、おっぱいポインポインのメチャ巨乳の先生な~。肌野も好きだろ? おっぱい」
ボクは次の美術の時間まで待つことにした。都合よく、今日は美術の授業もあるんだ。決して怠けて、途中をはしょりたいから、同じ日に美術があるって訳じゃないよ? 本当だもんッ。
”音楽室を出る時、ボクは誰かに見られているような気配を感じた。
もしかして! とボクはドキドキして振り返ったら、先生がピアノの大屋根を上げて、覗き込むように調律していただけだった。
な~んだ、ボクの姿が映ってただけか~。あ~あ、つまんないの。”
その後、右後ろのドアから続々と生徒が入ってきて、音楽の授業が恙無く終わった。次は美術の授業だ! まさか音楽の次に美術だなんて移動し過ぎだろ~ってツッコミは……、しないでよねッ!
肌野君がまたしても早めに美術室に入ると、先生は白衣を着て、ベアトップのタイトなワンピの胸元を寄せて上げてる最中だった。
”美術の先生も音楽教師同様に親のコネなんだろうか? 髪は金髪、いや白みがかった寒い国の天然の金髪のような、薄い黄金色の髪をしていた。
これは美容院で抜くか、もし自分で染めてるなら、何度もブリーチで髪の色素を抜いてから、アッシュ系で染めるか、白ブリーチで再度抜くかしなければ、ここまでの色にはならない。つまりこの先生も暇人なんだ。”
「こんにちわ~。先生~。今日も美に余念が無いですね~。良い感じに盛れてますよ~。音楽の先生もポインポインとか言ってましたし~」
なぜ美術の先生なのに白衣着てるのかって? なんでも先生によると「その方がセクシーじゃね?」ということらしい。
「肌野もそろそろ、おっぱい欲しくなってきた頃~? 未成年でTSは正直マジ難しいけど、先生は応援してるぞッ! 遠くから無責任に」
「おっぱい? 先生の? まっさか~。ボクは先生をそんな目で見たことないよ? 我慢してるもんッ(なんちゃって。えへ) TS? なに?」
「見ても良いから~。先生、男子生徒にそういう目で見られて、悶々としてる部分を、見て愉しむ系~」
なんの話だか?
「あのさぁ、肖像画で、夜になったら目が動くとか系の話。怪談とか聞いたこと無い? 誰かから聞いたって話でも良いんだけど」
「カラコン外れてて、下まつ毛にくっついてたことはあるけど、それどんな遊び?」
そういえば先生はいつもカラコンを入れている、愛してるという名を短縮したイタリア語のメーカーの、タフブラックをつけてるみたいだ(魚の目みたいだけど……)盛り目?
そんな先生の適当話をよそに、ふと肌野くんは、ある一つの絵に目が留まった。それはベッドに横たわる女の子の何の変哲も無い絵だったが、妙にその目が特徴的で肉食動物を思わせるような瞳をしていた。
「その二つの絵な? 興味あるんだぁ? 肌野」
「二つ? えっ、どれ? どれ?」
「ほら、あそこに」
そう言って指を指した先に、カツラを被ったような頭をした、真っ白いマルス胸像の後ろに隠れて、もう一枚絵があることに気づいた。
「あっ、ほんとだ~。ここにも女の子の絵がある。この絵はペアなの?」
「どうかなー? 先生もあんまよく分かんないんだけど、無名の絵らしいから~。先生が気に入って飾ってるだけ~。内緒な」
先に見つけた方の絵の少女は、瞳がオレンジに近い茶色で、瞳孔とふちは黒く。そして左右の瞳の色も違った。右目はオレンジで、左目は灰色がかったエメラルドグリーン。そのオッドアイの瞳が特徴的だった。
「そっちの絵は、どうせコピーだろ? 当たり前だけど」
「でも無名って先生言いましたよね?」
ボクはまるで先生が、レオタードを着て盗みを働く三姉妹を見るような目で見てしまったから、話をはぐらかされた。
「その絵を描いたオヤジはその後、その娘を殺して自分も自殺したんだってさ。なんか宗教的なものでも関係あるんじゃね? 目の色とか違うし。それかよそで出来た子を疎ましく思ったのか?」
”もう一枚の隠れていた絵は、同じくベッドで仰向けに寝ている少女の絵だった。髪は金髪っぽいが、限りなく白に近い。先天性白皮症のように、顔から髪から目から全てにおいて白、そう銀色を連想させるような白一色の容姿をしていた。
瞳も白に近く、少しだけ色がついているだけだ。瞳孔は薄い水色? 形容のしがたい色で、その瞳はパッチリと見開かれて、こちらをジーッと恨めしそうに見ているようで怖かった。”
「その子はオヤジが娘の成長の証として描かれた絵。あれ? 母親だったかな?」
先生はほんっと、アバウトの性格してるんだ。
「さっき同じお父さんが描いたって言ってたじゃーん。本当にペアなの? この二つに絵は?」
ボクは違うと思ってる。だって全然新しいんだもん。近くで見ると古い絵はやっぱりキャンパスにほころびが多少あるでしょ?
「先生ペアとか言ってねーし。肌野って耳おかしい? それは毎年『娘』の誕生日に、眠った後に撮影、じゃなかった、描かれたたんだってさぁ~。ぐっすり寝てるその寝込み選んで描くって暇人だよねぇ~」
まった、先生も適当なこと言ってるしぃ~。もぉ……。でも肖像画で寝てる絵って珍しいよね(てか、どうやって一晩で描いたんだろ?)ボクそろそろ飽きてきちゃったなぁ~……。
あ~あ、いざ探してみると学校の怪談なんて、全然見つからないや~。
ボクはもう疲れちゃったので、今日はこの辺にしとく。
おやすみ~……。