1/12
一話
編集中
きっかけは何だったのか、いつ自覚したのか、八千代に記憶はない。
特にこれといった理由などないのかもしれない。
ただ彼は気が付けば教師を志していた。
将来の夢をテーマに書かれた小学生の頃の作文には大きな字で”がっこうのせんせい”と書かれていたので、幼い頃からの夢だったようだ。
夕景に包まれた職員室。
八千代はデスクに肘をつき、卓上に広げられた真っ白なレポート用紙と睨み合いを続けていた。
シャープペンシルがかつかつとデスクを叩く音だけが室内に響く。
八千代小夜は教育実習生である。
「レポート頑張ってますかー?」