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249話 確認作業と《巨塞魔像》

 《下町》の宿屋で一泊してから、テグスたちは五十一層に行くことにした。

 道中、《魔物》を倒して魔石を、見つけた大扉の罠を解除して開けてお宝を得ていく。

 その間は、《魔物》との力量差が狭まったことを利用し、テグスは塞牙大剣を使う場合と、黒直剣と《補短練剣》の二つを同時使いするときの戦いの際に、どうハウリナたちと連携するかを確かめていった。

 念のために、四十五層からの《魔物》で四種六匹の組み合わせは戦わずに避ける。

 そして、五十層の《写身擬体》を相手に、技量の最終確認をした。


「やってみて分かるけど、色々とまだまだな部分があるよね」

「使って直ぐの武器です。しかたないです」


 ハウリナに慰められつつ、テグスは自分そっくり《写身擬体》の剣の動かし方や体運びを見て覚え、真似して技量に取り込んでいく。

 しかし矢張りというか、塞牙大剣相手に《写身擬体》の大剣は耐え切れなかった。

 打ち合わせること二十合を数える前に、折れ飛んでしまう。

 テグスはそのまま塞牙大剣を振り抜いて、肩口から反対側のわき腹まで切り裂いた。

 その他の面々は装備は変わっていないので、戦いを長引かせずに《写身擬体》をすでに倒してしまっている。

 観戦していた《探訪者》たちからの羨望の視線を背に受けながら、テグスたちは五十一層への階段を下りていった。

 ここまでの道行きで減った腹を、神像の台座から出せる料理で膨らませながら、テグスたちはこの後どうするかを話し合う。


「さて、じゃあまずは収集した噂が本当かどうかを確かめないとね」

「でしたら、安全に検証可能な《魔物》は《合成魔獣》だけでございますし、悩む必要はございませんね」

「手元に肉ないです。赤い狼とは、戦えないです」

「逃げることを念頭に置けば《巨塞魔像》は可能そうですけどね、道具の調達が容易いので」

「でもまずは、《合成魔獣》で噂の信憑性の確認が必須なの~」


 というわけで、食事休憩をとってから、《合成魔獣》の出る広間へ続く道を進んでいく。

 前に見たときと同じ光景が展開された後で、三つ頭の《合成魔獣》が叫び声を上げた。


「グゴオ「キキャ「ケエエエエエエ」アアアア」ゴオオ!!」


 テグスたちは待ってましたとばかりに散開する。

 アンヘイラとアンジィーは矢を射掛け、ウパルは長くなった《鈹銅縛鎖》で拘束を狙い、テグスとハウリナは行動を押さえ込む。

 本命であるティッカリの殴穿盾にある《堕角獣馬》の角を、《合成魔獣》に叩き込みやすくするためだ。


「とや~~~~~~」


 多重攻撃で動きが鈍ったのを見逃さず、ティッカリが《堕角獣馬》の角を《合成魔獣》に打ち込んだ。

 首の後ろの部分に突き入り、背の上を滑るようにして翼の付け根までを、こそぎ削るようにして傷つける。

 範囲は広いが致命傷ではなかった。

 反撃を食らわないように殴穿盾を前面に掲げて、ティッカリは下がる。

 入れ替わりで、テグスとハウリナが前に立って攻防を始めた。

 相変わらず《合成魔獣》の攻撃は力強く、猿顔も隙を見ては五側魔法を唱える素振りをして、《堕角獣馬》の角でつけた傷はなんともないようだった。

 しかし、時間が経つにつれて、段々と《合成魔獣》が弱り始めた。

 ティッカリから受けた傷から血が止まらないのも一因かもしれないが、それにしては三つの顔が苦しげだ。

 そうしてまた少しすると、《合成魔獣》は傷を受けていない場所からも出血し始めた。

 箇所は、猿頭と鷲頭の首の根元、背中の羽の付近、蛇の尻尾がある臀部だ。

 

「グゴオ「キキ「ケエェェ……」アア……」オォ……」


 出血が増えるに従い、より苦しげにし始め、もうテグスたちと戦うどころでは無さそうだった。

 さらに、ある変化が現れる。

 力強く羽ばたいていた翼は、それが嘘だったかのように力がなくなった。

 そして猿頭と鷲頭、それと尻尾の蛇が、唐突に《合成魔獣》から外れて地面に落ちたのだ。


「グゴオ、グゴゴゴオォ……」


 失った体の部分から激しく出血し始めると、《合成魔獣》は弱々しく鳴くと地面に身体を横たえる。

 まだ浅く呼吸は出来ているようだが、もう戦闘が出来る出来ないの次元の話ではなくなっていた。

 この意味不明な結末に、テグスは思わず眉をひそめる。


「なんていうか、今まで積んできた努力を馬鹿にされた気分になるね」

「黒い角で一度突くだけで、これです」


 ハウリナも賛同するように、情けない姿を晒す《合成魔獣》を気の毒そうに見ている。

 普段なら冷静な意見を返すアンヘイラであっても、思うところはあるようだ。


「ここまで劇的だとは思いませんでしたね、簡単なのはいいことなんですけれど」

「あ、あの、もう、止めさしてあげませんか?」

「忍びない姿を眺め続けられるのも、屈辱でございましょうし」


 アンジィーとウパルの求めに応じて、テグスは右手に持っていた黒直剣を振り上げ、《合成魔獣》に残った獅子の頭を切り落とした。

 死体を黄色の魔石に変えて回収してから、変に嫌な気分が残ったまま、広間へと引き返すのだった。





 広間に戻ってからも、テグスは先ほどの結果が、何かの間違いではないかという気がしていた。

 それはハウリナたちも同じようで、どことなく納得していない雰囲気をしている。

 この気分を明確にするためには、別の《魔物》で検証することが不可欠だった。


「となると、取れる選択肢は二つ。《暗器悪鬼》から黒球を集めて《巨塞魔像》に挑む。または、肉を確保してから赤い《護森巨狼》と戦う」


 テグスが指を二本立てて提案すると、ハウリナたちは考え始めた。


「順番なら、赤い狼です」

「お肉なら、《下級地竜》を倒せば一匹で大量だから、出来ると思うの~」

「ですが確かめるという意味では《巨塞魔像》が一番でしょうね、どれほど相性というのが《魔物》に有効かを」

「《下級地竜》よりも《暗器悪鬼》の方が、倒しやすいものでございますしね」

「で、でも、ご、五十一層で《巨塞魔像》は、一番強いんですよね。なら、後回しの方がいいんじゃ……」


 色々な意見が出たが決まらず、最終判断の決定は自然とテグスに委ねられた。

 いままでの議論を思い返して、決断を下す。


「《暗器悪鬼》の黒球を集めて《巨塞魔像》に挑もう。今の僕らの力じゃ無理なはずの相手でも、どれほど相性が通じるか調べるんだ」


 とりあえず、百個ほど黒球があれば十分だろうと予想して、《暗器悪鬼》を素早く五回倒してで五つの小鞄を得る。

 戦闘中に使われてしまった分を除いて、合計でおおよそ百二十個。元々持っているアンジィーを含めれば、百五十個に迫る数になった。

 平均した数の黒球を小鞄に分配し直し、一人一つずつつけていく。

 ウパルは教義上装備できないので、その分はテグスが一つ多くつけることにした。

 準備が整ったら通路を進んで、本来なら一番最後に挑むのであろう《巨塞魔像》が出てくる広間へ入った。

 途端に、足元の床が小刻みに揺れ始める。


「うわ、なんだ、地揺れってやつか!?」

「な、なんだか、感覚が狂うです」

「坑道の崩落事故のときに感じるのと似ているの~」


 混乱しかける頭を落ち着かせ、テグスはこの広間の内装を確認する。

 全て石で出来ていて、形状は手前から奥へと長々と続く長方形だが、視界の調整がおぼつかないほど入り口から奥までは遠い。

 加えて横幅もかなり広く、人なら手を繋いで十人は広げられるほどはある。

 天井は《火炎竜》が出る五十二層と同じぐらいに高い。

 そうして観察していると、足元が揺れている原因を、広間の最奥で発見する。

 白い靄に霞む向こうに無秩序に置かれた、ティッカリの身長を悠に越える大きさの、様々な種類の四角い巨岩の山。

 それらがひとりでに動いて組み合わさり、段々と人に似た形になっていっているのだ。

 テグスの視線が向かう先を見たハウリナたちも、組みあがる大岩に唖然としている。

 そうしているうちに、《火炎竜》の背丈を越えるほどの、岩の巨人が出来上がっていた。


『ゴゴロゴゴロゴロゴロ!!』


 雷が鳴っているような、大岩が地面を転がっているときのような、重々しくも形容しがたい声を上げて、《巨塞魔像》が動き始める。

 一歩一歩踏み出すたびに響く重々しい足音が響き、まだ離れているのに足場が揺れる。

 実際は少し揺れる程度なのだが、地震など体験したこのないテグスは、足場が激しく上下に揺れている錯覚を起こした。

 ハウリナたちも同じ錯覚を感じているのか、ゆっくりと接近する《巨塞魔像》の威容を目にして、明確な行動がとれていない。

 テグスは努めて冷静になるよう自分に言い聞かせながら、頭を働かせ声を上げる。


「アンジィー。話を聞いて、アンジィー!!」

「ひゃッ!? は、はい! な、なんですか!」


 大声での呼びかけに、アンジィーは身体を震わせながらも返事する。

 テグスは足場が揺れる錯覚を踏み潰すように、足に力を入れながら近寄った。


「いいかい、まだ《巨塞魔像》とは距離がある。あの速さならここまで来るのに随分と時間がかかる」


 自分の声が早口であると途中で理解して、努めてゆっくりな口調で言葉を続ける。


「それでだよ。距離があるうちに、アンジィーに、風の精霊魔法で、黒い球を運んで、《巨塞魔像》にぶつけて欲しいんだ」


 今度はゆっくりと喋りすぎだと、テグスが反省したが、アンジィーには伝わったようだ。

 激しく首を上下に振ると、身につけていた小鞄を外し覆いを開ける。


「風の、精霊さん~♪ あの、大きくて、こ、怖い岩の《魔物》に~、この黒い球を、あられのように降らせてね~♪」


 呼びかけが恐怖で揺れていたからか、精霊の反応が少しだけ鈍い。

 だが最終的に、アンジィーの持つ小鞄にあった全ての黒球は、突風の中に巻き上げられて飛んでいく。

 そして、《巨塞魔像》の直上に達すると、風は消えて黒球が要望通りにあられのように落ちた。


『ゴゴゴロゴロゴゴゴロロ!』


 体表で次々に爆発する黒球に、重々しい声での叫びが上がる。

 同時に、爆炎に炙られ爆風にさらされた箇所の岩が、多くひび割れを起こした。

 遠くからそれを確認したテグスは、黒球が入った自分の持つ小鞄を一つ外す。


「アンジィー。まだ精霊魔法は使える?」

「あ、あ、あの。な、なんだか、い、いつもより、すす、すごく疲れるので、お、同じ方法は、あ、あと一回が、限界だと、おお、思います」


 何時になく、身体の震えと、声の詰まり方が酷い。

 それほどの恐怖に蝕まれている相手に頼みごとなんて気が咎めるが、かなりの距離がある相手に安全に黒球を当てようと考えれば、アンジィーしか適役がいないのも事実だった。


「悪いとは思うけど、もう一頑張りお願い。これで、同じようにしてくれればいいから」

「は、は、はい。や、やって、みます」


 手渡した小鞄にアンジィーが精霊魔法を使うのに合わせて、テグスはハウリナに駆け寄る。

 そして、頬を両手で挟みこむようにして強めに叩いた。

 大きな音と共に、獣耳と尻尾が毛羽立ちながら直立する。


「いひゃいれふ!!」

「どう? 震えは止まった?」

「……わふっ」


 目に意思があるのを見てから、テグスはハウリナの頬から手を離す。

 少し赤くなっていたので、今度は頬をさすりながら、この後の作戦を伝える。


「ハウリナ、《巨塞魔像》をちゃんと見てみなよ。あんなの、図体だけの薄鈍うすのろだよ。怖がるほどのことじゃない」

「……確かにそうです。黒い球も避けれてないです」


 黒球の爆発にさらされている姿を見て、ハウリナは普段通りの状態に戻ったようだった。

 もっとも、避けれていないのは図体の大きさも理由だが、この広間の横幅が《巨塞魔像》の体格より少し大きいぐらいしかないためだ。

 そう指摘はせずに、テグスはハウリナの目を覗きこむ。


「あんな鈍重なヤツの攻撃なんて、僕らには当たらないよね。違うかな?」

「わふっ。当たりっこないです!」

「なら。僕らはあれに接近して、逃げ回りながら、黒球を投げつける。それで倒せれば万々歳、使いきったら全員で撤退する。問題はあるかな?」

「わふっ。ないです! 黒い球、全部つかって倒してやるです!」


 そうと決まればと、テグスとハウリナはティッカリとアンヘイラから小鞄を貰って装備する。

 そして、二人一緒に《巨塞魔像》へと駆け出した。

 投げつけられる距離まで近づくに従って、《巨塞魔像》の巨体を目の前にする恐ろしさが、テグスの心によぎる。

 恐怖を蹴散らすために、身体強化の呪文を大声で叫んだ。


「『身体よ頑強であれ(カルノ・フォルト)』!!!」

「わふっ! 『身体よ、頑強であれ(カルノ・フォルト)』!!」


 続いてハウリナも同じ呪文を唱え、二人で黒球を《巨塞魔像》へと投げつけ始めた。


『ゴロゴゴゴロロゴロゴロ!!』 


 太く大きい腕の片方で爆炎が身体に当たらないよう防御しながら、もう片方の手をテグスたちに伸ばしてきた。

 遠くでは遅く見えたが、接近した状態では大きさも手伝って早く感じる。

 だが、身体強化済みで素早く動く二人を捕らえるには、不十分だった。

 腕が触れるたびに巻き上がる風に髪を揺らし、脚を踏み出すたびに揺れる足場を蹴って、テグスとハウリナは黒球での攻撃を続ける。


「あの腕が邪魔で、上半身は狙いそうもないね。ならどうすればいいと思う?」

「膝を狙うです!」


 意見を交換し、二人で《巨塞魔像》の片足の膝を狙って黒球を投げつけた。

 巨体であっても人を模しているため、足が動かなくなれば、勝機はかなり上がる。

 それに《巨塞魔像》が手で片膝を覆おうとすれば、前傾姿勢になって上半身に当てやすくなるし、もう片方の膝は無防備だ。

 巨体に対して、二人の攻撃は嫌がらせのような、ちまちまとしたものかもしれない。

 だが、それでも小鞄を一つ使い切る頃には、《巨塞魔像》の両足と防御で使っていた腕の石は皹だらけになっていた。


「これで――」

「――壊れろです!」


 テグスとハウリナは散開すると、同時に《巨塞魔像》の左右の膝へ、黒球一掴み分を一度に投げつけた。

 突然の攻撃の変化に対応できなかったのか、防御しようとした腕には当たらず、ほぼ全てが膝に命中する。


『ゴロゴゴ、ゴゴゴロロ……』


 岩が破砕する音と共に膝部の岩が割れ、重々しいうめき声を上げて《巨塞魔像》が前へと倒れる。


「走って逃げるよ!」

「わふっ! 今までで、一番速い攻撃です!」


 二人は背を向けて、広間を入り口方面へ走りだした。

 岩崩れのような音を背後に聞きながら、振り返ることなく全速力で走る。

 やがて、後方に激しい衝突音と突風が発生し、地面の揺れがそれらを追い抜いて、テグスたちの足下を過ぎていった。

 そして、走っている二人に追いついた突風が、巻き上げていた破砕した岩の粉を振り掛ける。


「ぶあッ!?」 

「わふゅ!?」


 テグスたちは慌てて目と口を閉じると、後方を確認できないため、そのまま前へと走る。

 走り続けてしばらくすると、行き成り胴を抱え込まれる感触がした。

 身を硬くする二人に、優しげな声がかけられる。


「はーい。ここはもう入り口なの~。二人ともお疲れ様だよ~」


 声の主がティッカリと知って、テグスとハウリナは全身の力を抜いた。


「もう、脅かさないでよ」

「そうです。びっくりしたです!」

「ごめんね~。あのまま走っていたら、壁に衝突しちゃいそうだったから~」

「これで顔を拭いてください、怒るのはあとにして」


 アンヘイラの声と共に、濡れた布の感触が手に。

 テグスは受け取ると、ざらつく顔を一気に拭う。


「それで《巨塞魔像》はどうなったの?」

「今は岩の粉で煙っていて状況は判別いたしかねますが、動いている様子はなさそうにございますよ」


 顔を拭い終わったテグスは、後方を確認する。

 ウパルに言われた通りに、《巨塞魔像》は動いていなかった。

 あの重そうな巨体で地面に倒れこんだ衝撃で、動かなくなったと考えるのが自然である。

 しかし、緊張は解くことは出来ないと、テグスたちは姿を確認するまでは臨戦体勢をとることにした。

 やがて、煙った向こうから現れたのは、全身にある岩のことごとくがひび割れて、一切動かない《巨塞魔像》だった。

 きちんと停止しているのか確認するため、テグスは遠巻きに近づくと、黒球を一つ投げつける。

 頭にあたる場所に衝突して爆炎が上がるが、《巨塞魔像》はあの特徴的な声を上げることすらなかった。


「どうやら本当に、勝てたみたいだね」

「わふっ。怖い相手だったです」

「相性の話を聞いてなかったら、絶対に倒せなかった相手だったの~」

「まさかの想定外でしたよ、これほどの巨体とは」

「それでも《火炎竜》を想定しますと、この相手も黒い球を使わずに倒せるように、ならねばいけないかと思われますね」

「そう考えると、やっぱり成長目的には不向きな方法だよね。多分だけど神様がつくったこの相性って、実力がちゃんとついた人向けの、素材や魔石を得る手間を軽減するための裏技って感じなんだろうね」


 そう話が纏まりかけたところで、アンジィーが喋り始めた。


「さ、先の話よりも、これ、色つきの魔石にするんですか。そ、それとも、持っていくんですか?」


 アンジィーの疑問に対する答えは決まっていた。


「武器や防具に使えるって話だからね。装備を調えるためにも、今回は持っていく方で決まりだね」

「あ、あの、その、それなら。これだけの量、全部は、運べないんで。ど、どこをもっていくか、決めないといけないんじゃ……」


 指摘を受けて視線を倒れた《巨塞魔像》に向ける。

 そこには、大量の壊れた岩の山がそびえ立っていた。

 ここからどれを持っていってどれを持っていかないかを考え、さらに採石所のように切り分けなければいけないようだ。

 テグスは作業量に頭が痛くなる思いを抱きながら、ムーランヴェルグとエシミオナがどの部位が要るといっていたか、思い出す努力をするのだった。


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