白黒うさぎ
絵本を描きたかったのですが、絵が描けないという最大の難関を突破できなかったので、口調だけでも絵本ぽくと思いまして。
しかし、絵本なんて久しく読んでいないからわかりません。
耳を洗うのが大好きな白うさぎがいました。
両手を使って付け根から先にかけて挟んで撫でるように洗っていました。
ある日、白うさぎは思いました。
『毎日洗っていると耳が伸びるんじゃないか』、と。
その日からというもの、白うさぎは強く引っ張りながら耳を洗うようになったのです。
毎日、毎日、強く引っ張りながら洗いました。
水面に映る自分の姿に、首元まで伸びた自分の耳に、よろこびました。
白うさぎは自分の姿にうっとりとして、次の日もその次の日も、欠かさず引っ張りながら耳を洗いました。
「あいつ見てみろよ、耳が長くて変だ!」
「気持ち悪いから近付くな!」
白うさぎは動物に会う度に耳を引っ張られ、石を投げられるようになりました。
白うさぎは耳を洗わなくなりましたが、耳は引っ張られ伸びていくのでした。
気付けば白うさぎの耳は地面につくまでになっていました。
水面に映る姿に、うっとりするどころか嫌悪を抱くのでした。
『どうしてこんな事をしてしまったのだろう』
白うさぎは自分のした事に苛立ちを募らせ、水面に映る自分をパシャンと叩きました。
水音に気付いた黒うさぎが白うさぎの元へ駆け寄り耳を触りました。
「こんなにも素敵な耳、ボロボロにしてどうしたの」
黒うさぎは何度も耳を撫でました。
洗うように根元から先にかけてやさしく撫でました。
白うさぎは正しい耳の洗い方がとても気持ち良く、ポロポロと涙を流すのでした。
ポロポロと涙を流しながら、やさしく耳を洗うのでした。
黒うさぎはこれ以上何も訊かず、白うさぎの涙が止まるまでやさしく撫で続けました。
「今度はボロボロにならないように、頭の上で結べばいい」
黒うさぎは提案し、蝶々結びに結びました。
白うさぎの姿を見た黒うさぎは言いました。
「ぼくも君みたいな耳になりたい」
嫌われ者の白うさぎは、自分の耳にまたうっとりとするのでした。
そして思うのです。
『次はぼくが黒うさぎを守る』、と。
小説を書いて5年ほど経ちますが、正直に言って「小説を書いている」と知人に言うのは恥ずかしいのです。
ですが、小説を書くのは好きだし、やめたいとは思わないのでこっそりと書いています。
しかしアンチはいて、作品は晒し上げられて、心がボロボロになってしまい描くことをやめて、それでも晒されて作品はひとりでに伸びていく。
それでも、自分の作品が好きだと言ってくれる人がいる。
それってとってもありがたいことなんだろうな、って思うのです。
そう思って、勢いに任せて書いてみました。