いきなり最強
「さて、こっからどうするか…」
海牙は悩んでいた。王宮から出て、商店街の様な所でアイスを食べながらのんびりしていた。
「やっぱり部屋を借りてからの方が良いかな?いや…まず収入源を確率させないと…うーん…ギルドってあんのか?」
そして海牙はアイスを急いで食べ、ギルドを探し始めた。
「おっ…アレギルドっぽいな。行ってみるか」
海牙が見つけたギルドは大きく、いかにもギルド!という感じがでていた
《カラーン…》
そんな小気味良い音をたてて海牙はギルドの中に入った。そこなには30代から40代の男達が酒を浴びるように飲んでいた。
「ふーん、予想通りだな…あ、アレが受付か?」
男達が酒を飲んでいる場所のすぐ横に受付の様なものが4つあり、そこには美人が一人づつ座っていた
「あの、すみません。ここギルドですよね?」
「はい。ここはギルド、[白銀の剣]です。」
「そうですか。あの…仕事くれませんか?」
「あ…はい…ギルドカードを見せてもらって宜しいですか?」
「ギルドカード…?持ってませんが」
「えぇ!?…あ、失礼。失礼ですが…年齢は…?」
「16歳ですけど」
「……あぁ…そうですか…あの、まずはギルドに登録して貰わないといけないんですが」
「分かりました。登録します」
「ではこちらの書類に指示に従って記述して下さい」
「分かりました。」
その書類に書くのは、名前、住所、年齢、ギルドに入った動機、魔力量、属性だけで、とても簡単だった
「あの…俺何処にも住んでないんで住所は書かなくて良いですか?」
「えぇ!?…あ、失礼。でしたら書かなくて結構です。ですがもし部屋を借りたり家を買ったりした場合、必ず住所登録してください」
「分かりました。後、魔力量が分からないんですが」
「でしたらこちらに来てください」
そう受付嬢が言うと受付の後ろにある部屋に入っていったので海牙もその部屋に入った
「これを手に当ててください」
そう言われて海牙が渡されたのは水晶。水晶の中に何かが蠢いている。その水晶が海牙の手に当たった瞬間強く光った
《ピピピ、ピピピ、ピピピ》
そう音が鳴った
「えーと魔力量は…えぇぇ!?78200000!?そんな!嘘でしょ!?」
「ミスったな…ヤメときゃ良かった…」
「すみませんが本部に連絡させて貰えますか!?」
「いいですけど…」
《ばたん》
「こっからどうなるんだ…?」
《ばたん》
「あの、ギルドマスターが来ますので少々お待ち
「海牙って奴は何処だぁ!?」…来ました…」
ギルドの壁を突き破って来たのは2メートルはある巨体で30~40歳ぐらいの男だった
「俺ですけど」
「そうか!お前がか!俺の名前はコールディだ!帝をしている!早速だが力量を測らせてもらう!」
「良いですけど、何処で?」
「このギルドには地下室がある。それも総帝様が作った地下だ!上級魔法でもビクともせんわ!」
「分かりましたから、声大きいです。」
「ハハハハ!!すまんな、元々こうなのだ!では行くか!」
(ちょ…コイツマジでうるせぇな…ぶち殺してやろうか…)
海牙は内心コールディを殺す気でいた
「さぁ、着いたぞ!今から15分間闘う。もちろんそれ以内に気絶や降参すると闘いは終わりだ。心配するな!力量を測るだけだからな!ハハハハ!!」
「分かったからさっさと殺るぞクソじじい。」
「ハハハハ!!さっきはちとつまらなかったが威勢が良くなったじゃあないか!!多重人格者か?まぁいい!!このコインが落ちたらスタートだ!!」
《チャリーン》
コールディが指でコインを弾く、そして直ぐにコインが地面に落ちた
《チャリーン》
コインが地面に落ちた瞬間、二人は地面を蹴り、とてつもない速さで互いの間合いを詰めた
「おらぁぁぁ!!」
コールディが叫び、その丸太のような腕で海牙に殴りかかった。
「当たるかよ!死ね!!」
《ドゴン!!》
だが海牙は迫ってきた腕を紙一重で避け、そのまま黒腕でコールディの腹を殴り付けた。コールディの2メートルを越える巨体は上級魔法で傷付かない壁にめり込んだ。
「ふぅ、疲れた。てかまた黒腕強くなってね?ま、いいか」
「試験終わりましたか…ってえぇぇ!?ギルドマスター!?上級魔法でも傷付かない壁に!?え!?」
「あ、下ろした方がいいですか?」
「あっ…はい。出来れば…」
「分かりました」
すると海牙は壁にめり込んだコールディの足を勢いよく引っ張った。ガラガラと音をたててコールディが気絶したまま地面に落ちた
「で、俺勝ったんですけど試験はどうなんですか?」
「えぇと…まずギルドマスターを起こさないと…おーい、ギルドマスター、起きてください。ギルドマスター。」
受付嬢がコールディを激しく揺さぶりながら起こしている。海牙は退屈なのか立ったまま寝ている
「ん…?俺は…はっ!!試験!!」
「落ち着いてください!」
「すまん…で…」
「俺…試験合格か?」
「合格どころか!お主には帝になってもらいたいぐらいじゃ!うっ…ぐ…」
「すまん、強く殴りすぎた。」
「その言動…まるで手加減しているようだな」
「してるよ。しないとオッサン木っ端微塵だからな。一応」
「やはりお前には帝になってもらうかの。」
「給料高い?」
「ギルドにはランクがあってな、D、C、B 、A、S、SS、Zの順だ。Zランクの仕事は大体一回の依頼で金板二枚程だ。」
「やる」
「そうか!で、お前は何属性なんだ?」
「あ!すみません!魔力量に驚きすぎて見るの忘れてました!」
「いいですから、見てください」
「えーと…うそ…闇と…銀…?」
「なんと、希少とな!?」
「銀ってなんだ?」
「銀は…実は良く分かっておらん。過去一人だけしかおらんと言われている」
「ふーん…まぁいいや」
「あの…」
「「うん?」」
「あと、自然属性全部です…」
「なっっっ!?全部っ!?」
「全部って凄そうだな」
「すごいも何も、火と水なんて絶対に交わる事は無いはずなのにっ…総帝様以来…」
「いや、魔法は見ていないが格闘なら遥かに海牙の方が強い。しかも魔力量も海牙の方が上だ…」
「まぁいいや。早く依頼くれ」
「だんだん素が出てるぞ…受付嬢、すぐにクリスタル柄のギルドカードを作ってやってくれ」
「はっはい!」
~5分後~
「どうぞ!ギルドカードです!」
「ありがと。で、依頼…」
「Zランクの依頼なら今ならこのジャスティスグランドドラゴンの討伐依頼がありますが…」
「長い名前だな…それ受けるわ。何処だ?」
「アシャス山です。」
「何処だそれ。」
「お前は初めての依頼か?なら俺と一緒に行くか」
「それは良い考えだ。場所分かんないし」
「じゃあ転移するぞ」
「え」
《シュン》
「私は…どうしよう…」
………
~アシャス山~
「よし、着いたな」
「もうちょっと間をおけよ!」
「すまんすまん!ハハハハ!それで、銀属性があるのだろ?じゃあ位置特定ができるはずなんだが」
「マジで?やってみる…つったってまず魔法の使い方も分かんねぇからな」
「?魔法は解放してあるのだろ?なら魔法の使い方がなんとなく分かるはずなんだが…」
「なんかこの…体に流れてる冷たい感じのヤツか?
これを…位置特定に…なっ!勝手に頭の中に何か写し出されてる…怖っ!!…この小さいのが俺か…?色が違う…黒色だ…それでこの赤いのがオッサン?それで…とんでもない数の反応がある…」
「赤…俺の得意属性は火だからか?すごいな!」
「あ…この一際デカイのがジャスティス…?」
「ジャスティスグランドドラゴンはとてつもなくデカイからな!…それじゃないか?」
「こっから右に200メートル先だな…行くぞ、頑張ってついてこいよ」
「これでも俺は帝だ!余計な心配はいらんぞ!」
「じゃあ…行くぞ!」
ドンッという音をたて、地面をえぐり、海牙は右に走り始めた。コールディもそれに着いていってるが段々差が開いてきた。
(なんだ!?この異常な身体能力は!見たところ身体強化はしていないようだが…こっちは全快で身体強化を使っているのに…)
そういっているうち、ジャスティスグランドドラゴンがいる場所に着いた。
「デケェ…30メートルはあるぞ…?羽は…無いんだな。」
「気を付けろ!そいつは 近づくと攻撃してっ…」
「おーい」
海牙はジャスティスグランドドラゴンの尻尾をつかみ、こっちに向くように呼んでいた。だが一向にこちらを見てこない
「早く…こっち向けやぁぁぁ!!」
そう怒鳴ってジャスティスグランドドラゴンの尻尾を黒腕で掴み、そのまま回転し始めた。そして
「おらぁぁぁ!」
そのまま手を離した。案の定、ジャスティスグランドドラゴンは森のなかを、木をなぎ倒しながら吹っ飛んでいった。
「よし。」
「良しなのか!?」
「早く追い掛けるぞ」
「…はぁ…わかった!」
海牙とコールディは急いでジャスティスグランドドラゴンが飛んでいった方へ走った。
「よーし、死んでるな」
「生き物が死んでるのに嬉しそうだな!よし、それじゃあ討伐証拠を取るか!」
「何処を取るんだ?」
「うむ…やはり頭が一番だな」
「ふーん…じゃあ切り落とす…と言うか引きちぎるわ」
「うん?引きちぎる?」
《ギチギチギチ…ブチブチィ!!》
そんな音が聞こえるとジャスティスグランドドラゴンの首が千切れ、おびただしい量の血が辺りに広がった
「よし、そんじゃ持って帰るか」
「ジャスティスグランドドラゴンの首を魔法や魔武器なしで…素手で……凄すぎる…!!」
「はぁ…?まあいい。転移するぞ。」
「あ…おう」
「位置固定から魔法の構成に…よし。行くぞ」
「おう!」
《シュン》
「ふいー、疲れた。飲み物くれ受付嬢」
「もう戻ってきたんですか!?」
「あぁ、依頼はちゃんとこなしたから」
「凄いですね…しかもいつの間にかタメ口に…」
「俺敬語が苦手だからな。で、報酬」
「あっ…はい!あ、討伐証拠を…」
「あぁ、オッサンが持ってる…と言うか担いでる」
「頭ですか。確かに討伐完了ですね。どうぞ報酬の金板二枚です」
「おう、ありがと」
「それで、いきなり帝になったので…2つ名を…」
「いらねぇ」
「えぇ!?そんな!凄いことなんですよ!?絶対に決めないと駄目なんですよ!」
「あ…あぁ…じゃあ…非日常で」
「…分かりました。登録しておきますね」
「すまん…今総帝様と念話をしたんだが…今すぐに会いたいと仰ったんだが…」
「めんどくせぇから断れ」
「なんだと!?総帝様だぞ!?お前男だろ!?名誉あることなんだぞ!?」
「わっ分かったから!行くから!だから近寄んな!気持ち悪い!」
「すまん…では転移するぞ!」
「えっ」
《シュン》
そうコールディが言うと海牙とコールディは消えていった
………
《シュン》
「よし、着いたグハッ!」
「てめえいい加減にしろよ!間をあけろつってんだよ!」
《ドゴッ》
怒鳴りながら海牙はコールディの腹を殴り付けた
「す…すまん…ここが総帝様が居られるギルドだ!」
そのギルドは真っ白い建物で所々に装飾品がついている
「…白銀の剣より数倍綺麗だな」
「それはそうだ!なんせ総帝様が」
「さっきから総帝様総帝様うるせぇんだよ!さっさと案内しろ!」
「そんなに怒らんでも良いだろぅ…こっちだ」
《カラーン》
「総帝様は居られるか!?」
「これはこれはコールディ様、総帝様ならいつもの部屋に。」
「分かった!行くぞ!」
「はぁ…うるせぇ…」
そして海牙にコールディはギルド内にある一際綺麗な扉を開き、中に入るともうひとつ綺麗な扉があった
「炎帝、コールディである!」
「合言葉は?」
「平和をもたらす正義の使者」
「入ってよし」
《ガチャ》
「総帝様!二週間ぶりでございますね!」
「もう…敬語は止してくださいと言っておりますのに…」
「そんな恐れ多い!それでなんですが…新しい帝を連れて参りました!」
「ありがとうございます。貴方が…新しい帝…まだ子供なんですね」
「……」
「どうした?海牙」
「女だと…?」
そう、総帝はとても綺麗な女性だった
「意外でしたか?あ、コールディ?二人にしてもらって宜しいですか?」
「はい!分かりました!」
《ガチャ》
そう言ってコールディは部屋から出ていった
「幾つか質問しても宜しいですか?」
「良いですけど…」
「あ、敬語でなくても宜しいですよ。それでなんですが、今海牙さんは御幾つなんですか?」
「16だ」
「っ!16ですか…魔力量は…?」
「…78200000だ」
「私より…上…」
「ちなみにあんたは?
「私は75000000です」
「そうか。で、他に質問は?」
「属性はなんですか?」
「自然全部と闇と銀だ」
「自然全部…?私と同じ…えっ!?銀属性!?」
「あぁ」
「凄いですね…あと、お名前は?」
「加藤海牙だ」
「…そうですか…ありがとうございました。」
「はぁ…?それだけか?」
「え…そうですが…」
「お前何歳だ?」
「え…16ですけど…」
「よし、同い年だな。こんなクソつまんねぇ用事で俺を呼び出すな。」
「えっ?」
「っ…だからぁ…こんなクソつまんねぇ用事で俺を呼び出すなって言ってんだよ」
「えっ…あの…すみませんでした…」
「チッ…じゃあな」
《シュン》
「…………」
(私…あんなに素で話されたの初めて…加藤…海牙さんかぁ…)