第2話、裏の世界へ
やっと零夏に来ました!
キャラ増えてきて把握、大変です。
お楽しみください。
∥零夏∥
「さて、私は買いだしに行こうかな。」
「じゃあ、僕もここで。またね、リン。」
「はいはーい。じゃあね、レイ。」
(僕はどうしようかな。ん?)
ドンッ
「あっ、すいません。」
「いやいや、こっちも不注意だったにゃん。」
「にゃん?」
「にゃん。」
ジー・・・・。
よく見ると、頭にはネコミミ、腰からはしっぽがはえている。
「何よ、その目は。これが本物がどうか?かしら。それとも語尾のにゃん?かしら。」
頭のミミを触りながら聞いてくる。
(口調が変わった?)
「いや、語尾に関しては聞かないよ。ロールプレイでしょ。」
「ええ、そうよ。」
「前の方は、聞きたいかも。」
「・・・・。うん、まぁいいわ。実際これは本物よ。痛みもあるし、感覚もあるわ。」
「そうなんだ。でも、何で・・・。」
「はえてるの?ね。」
「うん。やっぱ気になるし。」
「最初の遺伝子情報の読み取りの時に、あれって、髪の毛を使うらしいんだけど、たまたま猫の毛が混ざっちゃったらしくて。」
「それで、キャラ設定のときに、ミミとしっぽがはえちゃったのか。」
「そうなのよ。一度決定したら、変更できないのよね。」
「まぁ、ここで出逢ったのも何かの縁ってことで。僕は、レイ。よろしく。」
「それについては、同感。私はレノ。よろしくね。」
「遅いかも知れないけど、誤解を招かないように言っとくね。」
「なんのこと?」
「僕は、男だよ。」
「えっ?男?ほんとに?」
「うん。いつも間違われるんだよね。」
「そりゃそうでしょ、こんな女の子でも羨む美少女ぶり。これで男の娘とか。」
「最後の方が聞こえなかったんだけど。」
「ううん。何でもないの。それは何か、他の人の毛でも入ったの?」
「いや、このままリアルだよ。」
「うん。神様ってずるい。」
「いやいや、レノも可愛いじゃん。」
「やめて。悲しくなる。」
がっくりと肩を落とす。
「ほら、ゲームなんだから。楽しまないと。」
「そうね。落ち込んでもいられないわね。ありがとっ。」
(やっぱ本物の女の子は違うなぁ。可愛さが。)
「よしっ。切り替えた。このあとフィールドに出るんだけど、一緒にどう?」
「それはちょっと。僕は・・・。」
「私から誘ってあげてるんだから、おとなしく一緒に行けばいいのよ。」
「僕、アサシンなんだけど。」
「私は、拳闘士よ。」
「弓なんだけど。」
「こっちは、素手よ。」
「全力でいいの?」
「あなた、まだフィールド出たことないでしょ。」
「そうだけど。何で?」
「2Dゲームで攻撃するのと、この極限までリアルに近い、このゲームで攻撃するのとは、全然、訳が違うのよ。」
「つまり?」
「全力で戦わないと死ぬわよ。ただでさえデスぺナが高くて、みんな死ぬのを避けているのに。」
「死んだときってどんな感じなのかな。」
「ある人は、いきなり頭を殴られて気絶する感じだって言ってたわ。」
「嫌だな、それ。」
「だから、全力で闘いなさい。私だって、君を守れる自信なんてないんだから。」
「でも、ひかないでね。」
「ひく?何に?」
「実際見たらわかると思う。」
「まぁ、いいわ。そういえば、初期装備で良いの?」
「う~ん、今変えてもすぐに新しいの作っちゃうし、無駄になりそうだからこのままでいくよ。」
「そう、なら行くわよ。」
「うん。」
〈果実の森〉
「なんか綺麗なところだね。」
「この辺りは高レベルモンスターは、ほぼいないわね。」
「ほぼ?」
「やっぱりフィールドだから、ボスはいるのよ。けど、他の雑魚モンスターと見分けがつかないし、この森中を移動してるからいきなりボス戦みたいなことになるのよ。」
「いきなりか。対応できたらいいんだけど。」
「君は、アサシンで防御低いんだから下がってなさいよ。」
「このゲームに、フレンドリーファイヤーってあるの?」
「勿論あるわよ。何でそんなこと聞くの?あっ、そうか。大丈夫よ、そんな初期の弓なんて当たっても大したことないわ。」
「いや、でもね・・・。」
「まだ、何か隠してるの?一緒にフィールドまで来といてまだ私のこと警戒してんの?」
「違う違う。わかったよ、今からあの群れを攻撃するね。」
ちょっと先にいるウサギみたいなモンスターに狙いを定める。
(一発でも当たればわかるだろう。きっと。)
左手を前に伸ばし右手で矢筒から矢を抜く。
ウィンッ
真っ黒の巨大な弓が出てくる。
「今、どこからその弓出したの!」
「あとで、ゆっくり説明するよ。」
(まだ試したことないけど、ただの弓だしあり得ないようなことは、起きないよね。)
張りきった弦を離し矢が飛んでいく。
(狙い通り。あとはどうなるか・・・。)
弓をアイテムボックスにしまい、いつもの弓を装備する。
ピカッ ドゴーーーーーーーン
「うわっ。」
「きゃっ。」
爆風に飛ばされる。
(何が起きたの?今のがあの弓の威力?)
群れのいた場所は、跡形もなく消え去っていた。
「ちょっと。レイ君?」
「はい。何でしょう?」
「あれは何?」
「僕も初めてで何がなんだか分からないんだけど、あれが僕の弓の威力みたい。」
「あんなの当たったら攻略組プレイヤーだって一瞬で消し飛ぶわよ!」
「そうだね。」
(これは、笑うしかないよね。)
「この事については、町に戻ったら詳しく話してもらうからね。」
「はーい。」
ピコンッ
(ん?何か届いた。)
「運営メッセージ?読んでみてよ。」
「うん。なになに、〈果実の森〉の稀少ボスを討伐いたしました。これよりボーナスフィールドに転送いたします。なおパーティーメンバーも同時に転送されます。って転送?」
「ま、まさか、初日にBFに行けるなんて・・・。なんか感動。」
「FB?何それ。」
「BFよ。君、何も知らないのね。いいわ、説明してあげる。」
(長いのでまとめると、
各フィールドにはボスの他に稀少ボスという超レアなボスがいること。
そのモンスターに出会う確率は、0.001%未満。出会うこと自体奇跡に近いこと。
通常ボスの3~5倍のステータスを持っていて倒すにはBランクの武器持ちが5人でパーティー組んで、やっと倒せるくらい強いこと。倒せたらボーナスフィールドに転送されること。掲示板などでBFと呼ばれていて帰ってきたプレイヤーは、即攻略組に歓迎されること。
くらいかな。)
「やったわ!これで私たちも攻略組よ!」
「う、うん。」
「何よ。嬉しくないの?」
「嬉しいんだけど、あの弓については黙っていて欲しいんだけど。」
「隠しておきたいから、攻略組には行かないってこと?」
「そうじゃないんだけど。」
「気に入ったわ。これが終わったら君と一緒に行動するからね。よろしく。」
「そんな身勝手な。」
「良いの。さて、転送されるわよ。」
身体を青緑色の光が覆っている。
フワッ
(身体が浮いた?)
「うわーーーーー!」
「キャーーーーー!」
ドサッ
「痛たた。」
「もう、何なのよ。」
「転送先だよね。」
「ボーナスフィールドのはずよ。」
マップを開くと、
〈古代文明の城塞都市〉
と、なっている。
「城塞都市?」
「そうみたいね。あっ、あそこに安全地帯があるわよ。」
「昔の宿屋みたいなところかなぁ?」
「っぽいわね。」
「一回、入ろうか。」
「そうね。休みたいし。」
中に入る。
「そういえば、さっきの弓の事を話してもらおうかしら。」
「う、うん。」
武器屋であったこと、あの武器がSS++だということ、ショートカットメニューのことなど、すべて話した。
(全部話しちゃった。気がついたら全部聞き出されてた?どうしよう。)
「よく分かったわ。まあ話す相手もいないし、誰にも話す気もないわよ。周りに知られたくないんでしょう?」
「うん。何で?」
「黙っててって言ってたじゃない。」
「そうだっけ?」
「はぁー。だから、安心しなさい。」
「ありがとう。時間大丈夫?」
「えっ、今何時?」
レノはメニューを開く。
「やばっ。ごめん、私ここで一回落ちるね。」
「何かあったの?」
「お母さんと約束してることがあってもうあんまり時間がないの。」
「わかったよ。僕も、そろそろ落ちようかなって思ってたし。」
「そう。ならよかったわ。私、明日は、朝の9時位に入れるけど大丈夫?」
「うん、時間は合わせるよ。」
「じゃあ、明日もよろしく。レイ君っ!」
「じゃあね、レノさん。」
向かい合って笑いながら同時に落ちる。
「「ログアウト。」」
この続きは、投稿まで時間がかかりそうです。
これからもよろしくお願いします。