第0話、始まりの話
会話成分が多いです。
私の作風なので、目をつむってください!
楽しんでいただけたら光栄です。
とある休みの日。
「零夏お姉ちゃーん!」
「うわっ。」
と、ベッドから起きようとしていたところに、妹の九葉が飛び込んできた。
「いや、わたしお兄ちゃんだよ。」
「でも、学校祭の時の美少女ランキングだって女子を差し置いて、断トツのトップだし、学校側から男子更衣室の使用禁止だって出たし、特例で髪長いの許可出たし、告白されたのだって…。」
「ストップ!それ以上言わないで。」
(精神的にきつい…。)
「じゃあ、お姉ちゃんね!」
「だから、わたしはお兄ちゃんだって。」
「そう言う前に、まずその一人称を変えようね。お姉ちゃん。」
(もう、いいや。)
「で、何の用なの?」
「そうそう、ちょっと見せたい物があって…。」
いつも通りの会話をした後、九葉はどこから出したのか、2つの箱を取り出した。
「ジャーン!」
「それ何?」
「ナーブリーダー! と、未発売の〈Wepon World Online〉のβテスター用のソフトでーす!」
「へぇー。よく手に入ったね。」
「うん!やっぱ持つべきものは友じゃないけど、たまたま知り合いがWWOの制作担当でね。直接頼み込んだの。」
ナーブリーダーは、最近開発・販売されているゲーム機の一種である。これは、ネットワーク内にある仮想空間を創りだし、あたかもそこに自分がいるような感じになれるという科学の最先端の技術の産物である。現在では、趣味やスポーツなど幅広いジャンルのソフトが開発されている。
ついでに、〈Wepon World Online〉は、ナーブリーダー初のVRMMOで、来年発売予定のソフトである。(略称=WWO)
「で、何で2つも持ってるの?誰か友達呼ぶなら片付けないと。」
うちはすでに両親がいない。わたしが小さいときに事故にあい、わたしと妹だけが奇跡的に助かったらしい。その後親戚に育てられたが、今は生活費を貰いつつ二人で小さいアパートの一室を借りている。
「お姉ちゃん、一緒にやろう。」
「えっ?」
「はい、それじゃあやるぞー!」
「ちょっと待って!わたし?わたしがやるの?」
「もちろん。一緒にやって、お願い!」
「う~ん、でも。」
「絶対、面白いから!」
「分かったよ。やってみてもいいかもしれないね。」
「やったぁー!久しぶりに一緒に遊べるね!」
(そっか、最近忙しかったから。うん、久しぶりに楽しもう!)
「じゃあここに説明書があるから読んどいて。そのあと、一回ログインして細かい設定を決めなきゃいけないから。今のうちにしといた方がいいと思うよ。午後7時からβテスト開始だから、7時にログインして街の門の辺りで集合しよう。それじゃ。」
九葉は、早口で言ったあとスキップしながら自分の部屋へ帰っていった。
「さて、九葉も言ってたし一回ログインしてみようかな。」電源をいれて頭につけると、眠るときと同じ感じになって意識が持っていかれる感じになり気を失ってしまった。
気がつくと、真っ白な世界にいた。
しばらくそこに立っていると合成音声の声が聞こえてきた。
「ようこそ。ナーブリーダーの世界へ。新規ユーザーとして確認しました。今から出す指示に従って行動してください。」
ブンッ
おぉ、画面も何も無いのに映像が出てきた。
「右手で左肩をさわってください。次に…。」
次々と指示をこなしていくと最後の指示が出た。
「それでは、起動するソフトを指定してください。なおこれは音声で入力します。」
(音声?声を出せば良いのかな。)
「現在、あなたの身体と神経はナーブリーダーによって切り離されています。なので声を出そうとすると現実の身体では発声せず、こちらの世界で音声データに変換されます。」
何か心を読まれているようで気持ち悪い。
まぁいいやどうせ機械だし。
それじゃあ遠慮なく。
「ウェポンワールドオンライン。」
「〈Wepon World Online〉を認識しました。これでよろしいですか。」
「はい。」
「それでは、LINK STARTと言ってください。」
「リンクスタート」
ピッピッピッピピピ
身体情報取得・クリア
音声情報取得・クリア
識別番号読取・クリア
回線接続状況・良好
システムオールグリーン、WWO起動します。
いきなり前から風が吹いたかと思うとなにかトンネルの様なところを落ちていた。トンネルを抜けると、中世のお城の様なところに着いた。
「ようこそ。WWOへ。まず、キャラネームを登録してください。」
ガチャッと音が鳴り、何もない空間からキーボードが出てきた。
(うーん、いつものでいいかな。)
〈レイ〉 ・OK・と打ち込む。
「レイ様ですね。ネームかぶりは、ありませんでしたのでこれで登録します。」
「それではアバターの制作をします。いいと思うものにタッチしてください。なお選択できるのは、目の色、髪の色、髪型です。その他の部分は、現実の身体をそのまま使います。」
(現実のままかー。ちょっと残念。あれ?何でわかるの?)
「最初の検査時に、遺伝子情報などを読み取りデータとして再現しました。」
(やっぱ、心読まれてるよね。)
結局、黒目、黒髪、ストレートのロング、という現実とあまり変わらない見た目になってしまった。
「次に、ゲーム内で使用するクラスとウェポンの選択をします。いいと思うものに…。」
何にしようかなぁ。
(いつもいつも女の子ってバカにされるからかっこいいのがいいなぁ。暗殺者とかどうかな。)
と、思いアサシンをタッチしてみる。
「暗殺者-アサシン
攻撃回数は少ないが、一撃で与えるダメージは、全クラス中最高。そのほかにも隠密や無音行動などに特化している。初期ウェポンは、刀、弓、素手。」
(結構いいんじゃないかな。かっこよくなりそう。)
「決まったらそのクラスを声に出し、使うウェポンも指定してください。」
「アサシン、ウェポンは弓。」
「認証完了。アバターに反映します。」
目の前にホログラムの自分が現れた。すごい再現度だ。
「これでよろしいですか?」
「はい。」
「それではステータスを反映します。」
キャラクターネーム:レイ
クラス :アサシン
ウェポン :弓
ステータスランク :E+
ATK:150(+150)
DEF: 10(+ 40)
SPD:300(+ 30)
CRT:200(+ 0)
SP : 50(+ 0)
所有スキル
・ウィークシュート 消費SP25
相手の弱点に攻撃を当てる。CRTを一撃のみ3倍。
ATKは攻撃力、DEFは防御力、SPDは速さと回避力、CRTはクリティカル率、SPはスキルポイント、カッコ内は装備補正と身体能力補正、(今は装備無しなので身体能力補正のみ。)
基準わからないけど、DEFちょっと低すぎないかな。
それにスキル燃費悪すぎでしょ。「以上で設定を終了します。現在、βサービスは開始されていません。ログアウトモーションに入ります。」
ログアウトしますか?
βサービス開始まで9時間24分
という画面が出てくる。
ボタンがないから音声かな。
「はい。」
途端に、プツンッと世界が真っ暗になり眠りに落ちた。
はっと目が覚める。
「ログイン、ログアウトの感覚変な感じだよ。」
起きてから2時間は経過している。
時計を見ると09:38
あの妹め、朝早すぎ。
「お腹すいたし、朝ご飯でも作るか。」
ベッドから起き上がり部屋を出る。
「九葉ー。ご飯作るよー。」
「はーい。今行く!」風呂場から声が聞こえてくる。
キッチンに立つとちょうど九葉が髪をふきながらあがってきた。
「何作るの?お姉ちゃん。」
「うーんとね。」
と、冷蔵庫を覗く。
牛乳、卵、食パンが目に入った。
「九葉、ブランチで良い?」
「良いよ!」
「じゃあ、フレンチトーストにしよう。」
「オッケー、手伝うよ!」
(やっぱりほかの兄妹と比べると気持ち悪いぐらい仲が良いと思う。)
「お姉ちゃん。兄妹じゃなくて姉妹だよ。」
(…、あれ、心読まれた?)
「今、わたし何か喋った?」
「ううん、でもそんな感じがした。」
(この妹怖いです。)
フレンチトーストが出来上がって、食卓につく。
「そういえばお姉ちゃん。名前、何にしたの?」
「うん。〔レイ〕にしたよ。」
「いつも通りだね。お姉ちゃんは。」
「九葉は?」
「やっぱ、いつも通り〔リーフ〕だよ。ほかに思い付かなかったし。」
「ふーん。あれ、メールが来てる。」
携帯を開くと霖からメールが来ていた。
霖は学校で唯一わたしを男として扱ってくれる親友?幼馴染みだ。
メールを開く。
やっはー、零夏。メールは久しぶりだね。
というわけで、WWOのβテスターに当選しました。やったー。
千人の募集に二十万人の応募があったんだよ。
すごくない!
今、キャラ設定したんだけど、リアリティ半端ないよ。
ほんと凄いんだから。
それじゃバイバーイ!」
(…テンション高いね。)
「お姉ちゃん。誰から?」
「いや、霖なんだけど、霖もβテスターになったらしいんだけど。」
「うん?えっ?霖さんも!どうやって?」
「応募で当たったんだって。物凄く自慢してきた。」
「そりゃそうだよ。当たる確率0.5%だよ。相当幸運だったんだね。でも霖さんも一緒にプレイしたいよね。」
「誘ってみようか。」
メールを打つ。
久しぶり。霖。
WWOなんだけど、九葉の事情で二人ともテスターなんだ。
午後7時に街の門のところで落ち合うから一緒にどう?
無理だったら良いんだけどね。
送信っと。
ブーン、ブーン
すぐに返信が返ってきてバイブをならす。
了解、ネームは〔リン〕だからよろしく。
見つけたら声かけて!
「一緒にやるって。ネームは〔リン〕だから探してって言ってる。」
「オッケー、さて開始までまだ7時間はあるよ。なにしよう。」
「はい、夜の勉強できないから今のうちに終わらせるよ。はい立って!」
「え~。せっかくだから今日はなしにしようよ~。」
「だーめ。やるよ。」
「はーい。」
九葉は渋々動き始めた。
「今日は、ここまでにしよう。ゲームの前に夕ご飯も食べておきたいし。」
「やっと終わった~!」
その後、二人で食事を取り、各自の部屋でナーブリーダーを装着する。
「ウェポン ワールド オンライン リンクスタート。」
お読みいただいてありがとうございます。
疑問点、矛盾点、改善点など、どしどし、メッセージください。
これからも、お願いします。