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杉村隆雄の死に生きの場合

死んだように生きているライトな人からヘビーな人まで。連載だけどオムニバスの構成です。あなたの生き方とリンクする人がいたりするかもですね。

  この世の中、死んだように生きているひとは割と多い。

 

  そんな生き方を「死に生き」と呼ぶ。かも。


 

 

  杉村隆雄の死に生きの場合


 「超眠い・・昨日は一睡もしてないから朝一授業は辛いよ」

 「何?オンラインゲームもやってた?」


「はっ?ゲームですか?そんなんもう何年もやってない。いややらせてもらってないよ」


「なんだよ。やらせてもらえないって?・・・!!ああいとしの彼女の冴子ちゃんか!!」


 「いやまじきついわ・・携帯の出会い系のサイトに飛ばした履歴見ただけで浮気だ〜〜って夜中じゅう泣き叫ばれた。

大体、まだ結婚もしてないのに浮気ってなんだよ!まじ疲れる。」


 「いいじゃん。冴子ちゃん美人だし、、お嬢様だし。。。まっ!!もてる男の悩みはつきないっことだな」


 「いやまじありえないっての。。」



ボクは杉村隆雄。K大学商学部4年生。普通の大学生だ。

普通に就職して普通の大人になり普通の結婚をして普通の幸せを送ることがボクの夢だ。

普通の人生か!ちいせーなっ!と馬鹿にする大人たちもいる。


 いやいや普通のハードルをクリアーすることは極めて難しい。

ニートやフリーターがうようよいて、毎日殺人事件にあふれていて、普通でいられることは一番幸せだ。

 現にうちの8歳上の兄は「バンドをやって豪邸に住んでやる!!」と19の春に夢を追いかけて大学も行かずに家を出た。

 今ではすごく立派な派遣社員になっている。


 母親が「派遣社員と言っても実際はフリーターというんだよ隆雄!」と言ってお風呂場でよく泣いていた。

 可愛そうな母親にそっと新品のバスタオルを用意してあげた。

 そんな状況を見ているので夢への無謀な暴走は危険だと理解した。

 ボクはその夢のとおり普通に生きてきた。彼女と同棲するまでは・・・


 いま毎日死んだように生きている。ボクの死に生き歴は1年。


 ボクが死に生きになった原因はずばり彼女だ。

 彼女とは2年間同棲している。

 彼女は冴子ちゃん。同じ大学の3年生。

 美人でかわいくて、素直で頭が切れてお嬢様だ。

 いやだったはず。。。

 でも同棲1年で冴子ちゃんが美人でかわいくて、素直で頭が切れてお嬢様は

 鬼畜で般若で、怒りっぽくすぐ切れる平凡なお辺土様となった。


ボクはあまり口が達者ではない。が、冴子は口が達者だ。

とにかく怖い。まくしたてる。怒り出すと聞かない。嫉妬深い。


正直もう好きでもなんでもない。

愛してもいない。

般若のようなあの顔を見て以来、可愛いとも思えない。

一緒に住むと情がわく。といったのは誰だ。

全くわかない。

殺意さえ覚える。

どうか別の人を好きになってくれ!とも願う毎日だ。


先日もけんかの際にもう別れよう的な話しをしたら大変だった。

「だまされた」「最低の男」と罵倒された挙句に暴力まで振るってきた。

正直疲れている。

最初のうちは応戦したりしていたが、最近では疲れて黙っている。


 しかし、、黙っていれば黙っていたで

「なに黙ってんの?卑怯もの!!」と発狂されたので5回に1回は返事をするようにした。

「いや」「そんなわけではない」などと答え縦でもなく横でもない曖昧に首を振るという

曖昧な返事をする小技を習得した。

そうすると早く終わることも体得した。

彼女は大学を卒業したら結婚を考えている様子だ。

卒業したら逃げようかとも考えた。

でも、間違いなく責任問題を振りかざしてくる。

悪い男になって逃げようかとも考えてみた。

そんな考えを起こしてちょっとニヒルに笑った夜は決まってナイフを持って追っかけてくる冴子の夢を見て飛び起きる。

夢なのにおしっこちびりそうになっていた。

至極情けない。

非常に冴子が怖い。

くだらないことだ!と友だちは笑った。

逃げ場を失ったボクは自殺まで考えたこともある。

でも、ひょっとしたら、明日には冴子が別の男を好きになるかもしれないと

いう喜びに満ちた妄想をして断念した。

  

「昔は好きだった同棲中の彼女をいまは愛せなくなりました。

ではボクはこれにて。。。ドロンさせていただきます!(ねた古っ!)」

たったこれだけの言葉を発することが出来ずに悶々としてる。

ボクは勝手で、最低で、浮気もので卑怯者なんだ。

そんな人間失格のレッテルが怖いのか?

いやそういうわけではないが、現状から打破できずにいる。

まさに心境はSOS!

家にいるときはとにかく冴子が発狂してほしくないあまりに気を遣う。

学校も同じなので見張られていて息抜きもできない。。

見たいテレビも見たい映画も、やりたいことも出来なくて高笑いすることもなく。

ただ、ご飯を食べて空気を吸って冴子のご機嫌をうかがって生きているだけ。


  こんなボクの毎日は死んだように生きている。

 


読んでいただいて感謝です。作者であるわたくし百瀬まみです。名前からしてAV女優か?キャバ嬢か?と想像されても構いませんが、本人は真摯な気持ちで活字と取り組んでおります。よろしくお願いします。

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