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修学旅行 (1)


もしかして、2月って北海道ではスキー出来ませんか? 吹雪とかで…


あ~。やってしまった…



…まぁ、6日とも 凄い晴天だったと言う事で、お願いします。


それと北海道、余り良く分からないので、移動時間とか、雪の量とか、スキー場もホテルも想像で書いております。ご了承下さい。







 桜ヶ丘学園の二年生は、今日から五泊六日で修学旅行へ出掛ける。


 場所は、近場の外国、北海道、京都、沖縄の四コース。瑞希達三人は北海道を選んだ。ほぼ毎日スキーをする事に成る。



「あ~ぁ、私初めてなんだよね。……葵ちゃんは?」


「私、スポーツは何でも出来ますわ」


「凄いね……羨ましい」


「練習すれば直ぐに滑れる様に成りますわ」


「そうかな~、それなら良いんだけど……。それより気になる事が有るのよね」


「何ですの?」


「う~ん、家を出る時のあのお母さんの顔! 絶対何かあるわ。……悪い予感がする……」


「冴子さんですか?」


「うん」


 瑞希は溜め息混じりに返事する。


「瑞希さんのお母様って変わってらっしゃるわよね」


「……やっぱりそう思う?」


「ええ。個性的ですわ」


「良く言えばね……。悪く言えば我が儘、横暴、女帝よ!」


「それは言いすぎでは……」


「うんん、決して言いすぎじゃないわ。本当に大変よ! もう!」



 隣に座る事の出来た機内、二人の会話が途切れる事は無かった。


 空港に着き手荷物を受け取る。外に出ると冷えた冷気に身体を包まれた。中との温度差でブルッと小さく震える。やっばり北海道は違うな、まるで冷凍庫の中に居るみたい。急いで貸し切りバスに飛び乗り瑞希達はホッと一息吐いた。


 二時間掛けて目的地のホテルを目指す。


 繁華街を抜け、バスは障害物の無い広くて真っ直ぐな道をひた走る。その内段々道路の幅は狭く成り、車道脇には除雪車によって積み上げられた雪が崖の様にそびえ立っている。


 あれが倒れて来る事は無いのかな……と思ってしまう。



 お昼前にホテルに到着した瑞希達は、バスの荷物置き場からそれぞれにバッグを受け取り、知らされていた自分達の部屋番号の鍵を受け取って部屋へと向かった。


 瑞希と葵は同室で二人部屋。他の生徒は三人部屋と成っている。


 正午に、レストランの在る七階に集合した。レストランの中に入ると既に海鮮定食が用意されていた。


 長い間乗り物に揺られていたので食欲は無かったのだが、イクラの鮮やかな赤や鮭のピンク、鉄砲汁の甘い香りが食欲をそそる。生徒達からは「おぉー」と、どよめきが上がった。


 クラスごとに席に着き食事を始める。新鮮な魚介類に舌鼓を打つ。会話も弾みザワザワとした中で食事を終えた。



 食事も終わり、班ごとにホテルの施設を見学して行く。午後五時に解放された。


 午後七時から夕食なのでそれまでは自由時間と成る。瑞希と葵は一旦部屋に戻る事にした。



「はぁ~、くたびれた~」


 瑞希はベッドに倒れ込んだ。それを見て葵はクスリと笑う。


「葵ちゃん、見かけによらずスタミナあるよね」


「幼い頃より鍛えておりますので」


 と、葵は微笑む。


「どうして?」


 不思議そうに首を傾げ瑞希が尋ねる。


「私は、家の事情で狙われる事があるので、護身術などを習わされました」


 それを聞いて納得する。


「あぁ成程ね……。お金持ちって大変なんだね……」


「まぁ、色々と有りますわ」


 瑞希はふ~んと頷いた。それから二人は荷物の整理をしてから、十五階に在る大浴場に向かった。




 湯と書かれた朱色の大きな暖簾のれんをくぐると、細い竹を敷き詰められた床が蛍光灯の灯りで艶を放っている。


 硬くて痛いのかと思われた床は、程よい硬さで足裏に馴染み、適度な刺激を与えてくれて気持ち良かった。



 服を脱ぎ備え付けのカゴの中に畳み入れ、二人は浴室の扉を開けた。



「わぁ~、広~い」


 大、中、小と、石造りの湯船があり、窓の外には露天風呂も在る。流石に寒いのでそちらには誰も入っていなかった。


 桜ヶ丘学園の生徒もかなり来ていたが、全く狭さを感じなかった。



「あぁ~気持ち良~い」


 瑞希は湯船の中で手足を伸ばす。


「ふふふっ、本当に気持ち良さそうですわね」


「うん。もう最高!!」


「それは宜しかったですわ」


 十分暖まって二人は学園指定のジャージを着て、部屋へと戻って行った。



 夕食はジンギスカン。羊肉の独特な臭みも無く野菜も凄く美味しかった。男子生徒は何度もおかわりを注文していた。






 次の日。


 朝食の後、前日の施設説明の際に貸し出されたスキーウエアに着替え、午前九時三十分に一階フロアに集合した。



 いよいよ今日からスキー開始だ。スキーの道具を借り、班ごとに分かれて指示に従う。滑れる人も注意事項やスキーの基礎を学んだ。それが済んだら各々、初心者、中級者、上級者に分かれ滑って行く。勿論瑞希は初心者コースで体重移動など学んで行く。



「こんなんで滑れる様に成るのかな……不安だわ」


「私が付いておりますわ」


「なんだよ葵、お前滑れるの?」


「はい。上級者です」


「俺にも教えて」


「まぁ、銀牙さんも滑れませんの? 宜しいですわ。お任せ下さい」


 自然と、葵は銀牙に付きっきりに成る。


 まぁ仕方無いよね。解ってるよ……解っているけど羨ましい。



 瑞希にはインストラクターが付いてくれた。





 夕方に成り、朝、集合したフロアに集まる。なんだか、ホテルの入り口付近が騒がしい。キャーキャー言っている。何事かと皆で駆けつけてみる。


「「「あっ、」」」


 三人の声が重なった。



「ミラルドさん、流輝さん……」


 そう言って呆けている瑞希の肩を、誰かが叩いた。振り向いてみると冴子が立っていた。


「……母さん……」


「私の提案で来たのよ!」


 ケロッとしている。


「昨日母さんがニヤついていたのは、この事だったのね……」


「良いじゃない。ミラルド君連れて来て上げたんだから、婚前旅行だと思えば――」


 がっくりと肩を落とした瑞希に冴子が言うと、その言葉に反応したのは瑞希だけじゃなかった。


「え~っ、あの人瑞希の彼氏?」


「結婚すんの?」


「格好良い~。どこで知り合ったの?」


「あの人、どこの誰?」


「紹介して!!」


 冴子の言葉を聞いていた生徒たちに、瑞希は質問攻めに合ってしまった。



「あ~、え~っと、母さん! これ、どうしてくれるの?」


「自分でどうにかしなさい! 私達、部屋に戻っとくから」


「ちょっと待って!」


 と言う瑞希は、クラスメートに揉みくちゃにされて、後を追うことが出来なかった。






「酷い目に合いましたわね」


「……うん。銀牙君がバリア張ってくれたお陰で助かったよ~」


 ホトホト疲れきっている。



「瑞希さん。明日は、どうなさいますか?」


「う~ん、ミラルドさんに聞いてみるね」


「解りましたわ」


 銀牙は元々運動神経が良いので、既に上級者並の腕前に成っていた。



「ミラルドさん、来るなら来るってどうして言ってくれなかったの?」


『ご免ね。冴子さんには逆らえなくて』


「もう。お母さんたら、二人を巻き込んで……。処で、明日はどうするの?」


『流輝と冴子さんは、名所巡りをするらしいんだ。だから暇なんだけど……』


「じゃあ私のコーチしてくれる? スキーできる?」


『俺上手いよ。瑞希を上達させてみせるよ』


「うん。宜しくね」


 そう言って電話を切った。


 あ~、嬉しい。ミラルドさんと一緒に過ごせる!


「葵ちゃん。私 明日はミラルドさんと一緒に過ごすね」


「解りました。もうすぐ七時に成りますわ、参りましょう」


「うん。お腹ペコペコ」


 二人は、夕食を取るために七階へ向かった。






 三日目の朝。


 今日と明日の午前中は自由行動だ。何をして過ごしても良い事に成っている。でも明日の午後はスキー大会で、一応滑れないと単位が貰えないので滑れない人は特訓しなければならないのだ。




「おはよう、ミラルドさん」


「おはよう。じゃあ行こうか」


 二人はゲレンデに向かって歩いて行く。その姿を羨ましそうに女子生徒が見つめる。




「良いな~瑞希。あんな素敵な彼氏がいて」


「本当よね。いつの間に出来たんだろうね」


「ほら、入院した事有ったじゃん。その時の先生なんだって」


「え~、お医者様? 玉の輿じゃん! 羨まし~い」


「瑞希、ズル~い」


「銀牙君だって、いつの間にか橘さんとラブラブだしぃ~」


「ねぇ~」


 と話すクラスメートの前に男が現れた。



「誰よ、あんた!」


「何者?」


 気味の悪いマント姿の男に、生徒達は後退る。男は、生徒達の前に両手をかざした。



「良く聞くのだ」





 瑞希を追って来たのは、冴子達だけでは無かった。総樹の元から離れた隙にウルフ族のカギと成る者を葬る為に、邪悪な者もこの地へおもむいていたのだった。






文中で、「修学旅行へ出掛ける。場所は、近場の外国…」


と国名を書いていないので、違和感を憶えたかも知れませんが、そこは、ご想像にお任せ致します。


しっくり来なかったので、国名を書きませんでした。








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