接触
朝に成った。今日から新学期だ。
葵は制服に着替え、使用人棟へ向かった。合い鍵を持ち、一室の扉を開ける。
「やっぱり、まだ寝てますわ」
葵は叩き起こそうと思って、ベッドの中を覗き込む。
「?」……涙……
横向きの体制で眠る、銀牙の目から涙が流れた跡がうっすらと残っている。また新たな滴がポロリと流れ落ちた。葵がその頬に触れた時、銀牙はパッと目覚めた。
「なっ、何だよお前。何、勝手に入って来てるんだよ!」
「起こして差し上げ様と思いまして」
「余計な事するな!」
「私の家に住むのですから、だらしの無い事をされては困ります。今日から学校です」
「あっ、忘れてた……」
昨日、あんな事を聞いたから……と言うか、昨日は色々と有り過ぎだ! この女のせいで! 振り回されっぱなし!
「……何か、有ったのですか?」
「何がだよ!」
銀牙は咬みつくように吠えるが、葵は構わずに銀牙の頬に手を伸ばして「……涙が……」と言いながら銀牙の頬に優しく触れた。
銀牙は、はっとしてその手を弾いた。
「……別に何でも無い」
「しかし」
「お前には 関係無い」
銀牙は冷たく言い放つ。
沈黙の後葵は必ず朝食を取って登校するようにと念を押し、部屋を出て行った。
銀牙は、学校に来ていた。別に葵に言われたからじゃ無い。
瑞希が来ていれば、ミラルドの事を聞こうと思った。だけど、休んでいる様だ。
銀牙は机の上に鞄を放り投げ、そのまま屋上へ上がって行った。
昨日の事が頭から離れない。
ミラルドが俺の親父……。嘘だ。そんな筈は無い。
あの女は、俺を混乱させる為にあんな事を言ったんだ……
何の為に?
……ミラルドの命を狙わせ無い為だ。……そうだ……。あの話しは嘘なんだ。
銀牙は何度も自分に言い聞かせる。
そうだ……。嘘なんだ……。
瑞希は、学校を休んでいた。
昨日の事が気になって仕方無い。
「申し訳有りません。ラル様も衰弱しておりますので、説明は又、後日と言う訳には行けませんか?」
流輝は早口に言い「色々と、疑問も御有りでしょうが。今日の所は取り敢えず お引き取りを」と、追い立てる様に帰されてしまったのだった。
説明は、後日って言われても……いつだろう。
それに、あの山本銀牙の言葉。ミラルドさんの反応も……
―――――――ウルフ族の当主、分家の者―――――――
それと、分から無い事がもう一つ。
どうしてミラルドさんには、私を襲ったのが銀牙だって分かったんだろう。山本銀牙が、私に何をしたのか知っている様な感じだった……
やっぱり、ミラルドさんは、ラル君……。そう考えれば辻褄が合う事が沢山ある。
ミラルドさんが来る時には、必ずラル君が居ないとか。涼さんと、ラル君の関係とか。
でも……。何で大人が子供に、子供が大人に成れるの?
考えれば考える程に、頭が混乱して行くのだった。瑞希は頭を抱える。
ふいにインターホンの音がした。そこには疲弊した様子の流輝が立っていた。
「おはよう御座います瑞希様。……誠に申し訳有りませんが、お願いが有って参りました。まだ昨日の事はお話し出来ませんが、診療所へ一緒に来て頂きたいのです」
「時期が来ましたら必ず全て、お話し致します。今は、今はまだ何も聞かずにラル様の手を握っていては下さいませんか?」
と流輝は言った。
瑞希は訳が分からなかったが、流輝を信じ、頷いて診療所へ向かった。
診療所に着き、ラルの横たわるベッドの側に座る。顔色が悪く力無く眠っている。こんなラルを見るのは始めてだった。
「ラルは、ラル君は、助かるんですか?」
潤んだ瞳で、瑞希は流輝に尋ねた。
「……このままでは……」
流輝は言葉を切る。
「そんな……」
瑞希の大きな瞳から、涙がぽろぽろと零れ落ちる。
「その瑞希様の“想い”で、きっとラル様は助かります。ラル様の手を取って、貴女の想いをその手に全て注ぎ込んで下さい。そうすればラル様は元気になれます」
流輝の言っている事の意味は まるで理解出来無かったが、ラルが元気になる為ならと瑞希は頷き。
ラルの手をしっかりと両手で握り締め。ラルへの想い、ミラルドへの想いを、手の平に集中させラルへ注いだ。
数時間か過ぎた。
疲れたのか、瑞希は眠ってしまっていた。
目覚めると、顔色が良く成ったラルがベッドに座っていた。
首から、赤いペンダントがぶら下っている。
ラルは、何とも言えない優しい表情で微笑んだ。とても子供とは思え無い顔。
「有り難う。……僕を救ってくれたんだね……」
ラルはそう言って、瑞希を抱き締めた。
何だか、ミラルドに抱かれているみたい。こんなに小さな身体なのに。……不思議……
流輝はラルを瑞希に任せ、桜ヶ丘学園の前に立っていた。
この学校に、分家の者が居る筈だ。
瑞希様が、一度こぼされていた。
『うちのクラスに、転入生が来たんだけど。女の子の顔を掴んでは、瞳の中を覗き込んで、マークがどうのこうの言ってるの。あんな奴のどこが良いのかなぁ』
多分あれは、瞳の奥のマーク確認。適合者を捜している証拠だ。
流輝は屋上を見上げる。居た。あの時の男だ。
その瞬間、流輝は屋上に立っていた。
「お話ししたい事が、御座います」
葵は、銀牙を捜していた。
鞄は有りましたし、今日は登校している筈ですのに。どこに行ってしまったのでしょう。
今朝の様子も、おかしかったですし。昨日は、何か有ったのでしょうか。
色んな場所を探し回り、葵は屋上へやって来た。やっと銀牙を探し当て、近付こうとした瞬間、閃光が走り見知らぬ男が現れた。
銀牙は、驚いて振り向いた。
「お前は、……ミラルドと一緒に居た……」
銀牙はそう言うと同時に、流輝に襲いかかろうとした。
「お待ち下さい、闘いに来た訳では有りません。お話ししたい事が有って参りました」
「俺には、何も話す事など無い」
闘う意思はないと言う言葉を信じられず、銀牙は身構えたままでそう言い放った。
「私は、ミラルド様の事を少しでも理解して頂きたくて、ここに来ました」
「五百年前の、戦闘の時の話しです」
五百年前の話し?
葵は息を潜め、身を小さくして、二人の声に耳を傾けていた。
あの時、銀牙はまだ幼かった為戦闘の話しを知らない。五百年前の話しには、興味が有った。
それに、俺の親父が本当にミラルドなのか判るかも知れない。
例えそれが敵の話しだとしても、聞いてみたい。聞きたく無い。耳を塞ぐもう一人の自分がいる。
銀牙は迷っていた。
しかし、流輝は話し始めた。
「私は、ミラルド様のお爺様の代より御側に仕えている、流輝と申します。ミラルド様のお爺様の代までは、分家の方達に対して、酷い扱いをしておりました。本家の者として、お詫び申し上げます」
流輝は深々と頭を下げる。
「ミラルド様の御父上エルド様は、それまでのやり方に疑問を抱いておられ、変えようとしておいででした」
「しかし、長年に渡って行われていた事を変えるには、皆の意識を変えるには、時間がかかります。なかなか上手く行きませんでした」
「ミラルド様も優しい方で、戦闘の前から、傷付いた分家の者達を見付けては、陰ながら手当てされておいででした」
そう云えば、少しだけ覚えている事が有る。
昔分家の中に、ミラルドを良く言う奴らが現れて、お頭達から袋叩きに遭っていたな。
『敵に情けを、掛けられやがって』
とか何とか言われて。
あれは、ミラルドに助けられた奴らだったのか……
「あの日も、話し合いに行かれたのですが罠にはめられて、大勢の敵に囲まれていました。私の時空間移動の力でお救い出来ましたが、既に城も敵に攻め込まれ逃げる事しか出来ませんでした……」
銀牙は、怒りで 拳を握り締める。
「俺はあの時、虫の息だったお頭に聞いたんだ。油断した俺達の隠れ家に、大勢の隊を引きいたミラルドが襲って来た。応援したが、かなわなかったと……、仇を取ってくれと……」
銀牙は、奥歯を 噛み締める。
「俺は、お前の話しは信じ無い。お頭は、はぐれウルフの俺を大事に育ててくれた。父親も同然だ! 俺はお頭を信じる。必ず、復讐は遂げる!」
そう言って、銀牙は階段を駆け降りていった。
流輝は頭を振って「考え直しては貰え無かったか」と呟いて、消えて行った。
葵は、ここでの会話が信じられ無かった。
今の話しからすると、銀牙さんも、ミラルドと言う方も、流輝と言う方も五百年前から生きていると言う事に成りますわ。……信じられません……
それにあの方、お見かけした事が御座いますわ。
確か瑞希さんを車でお送りした時に、出迎えられた方に似ていらっしゃいますわ。
ミラルドと言う方は、瑞希さんのお知り合いの方なのでしょうか……?
流輝の前では、ああ言った物の。 銀牙は分からなくなっていた。
この五百年もの間。親の仇と思い、ミラルドを追って来た。それが生きる目標で有り、生きている証しだった。
復讐を辞めてしまうと、銀牙を心の奥底で支えていた物が、音を立てて崩れ落ちてしまう。
銀牙は、自分自身を抱き締めうずくまった。涙が……溢れてくる。ローカの隅で小さくうずくまる銀牙の肩を、誰かが優しく包み込んだ。
「大丈夫ですか?」
大きな黒い瞳が覗き込む。
葵だった。
銀牙は立ち上がり、涙も拭かずに葵を抱き締め泣きじゃくった。葵は何も言わずに銀牙の背を優しく撫で続けた。
葵は銀牙の手を優しく掴み、黙ったまま歩いた。
ようやく泣き止み、落ち着きを取り戻した銀牙に「帰りましょうか」と言って、葵は銀牙を学校から連れ出したのだった。
銀牙はその言葉に驚いたが、葵の言う通りにした。
暫くして、葵の足が止まった。
「ここから入りましょう」
「はっ、ここ? ここはお前の部屋と言うか。家と言うか。……良いのか?」
「ええ、構いませんわ」
門扉を開け、敷地に入るとすぐに、ドーベルマンが四頭駆け寄って来る。
「ただいま」
葵は犬達に挨拶をしながら一頭づつ撫でて行く。
ドーベルマンは、銀牙に向かって一斉に低い唸り声を上げたが、銀牙の鋭い眼光に怯え。しっぽを巻いて逃げ出してしまった。
「あら? どうしたのかしら。番犬の意味が有りませんわね」
と言いながら葵は、鍵を開けて中に入った。ホールを抜けて、銀牙をリビングに通す。
「座ってお待ち下さい」
そう言って、葵はキッチンへ入って行く。
「それにしても、この広さに一人で住んでるなんて」
呟きながら、ソファーに腰を下ろす。銀牙の身体を包み込む様な柔らかさだ。
すぐに葵が戻って来た。その手には、クッキーと紅茶の乗ったトレイが握られていた。
「今日は、使用人は居ないのか」
「基本的に、ここへお手伝いの方は来ません」
「どうして?」
「自分の事は自分でしたいので」
「そうか、偉いな」
「いいえ、その様な事は 御座いません」
葵は銀牙の隣に座る。
「気持ち良いな、この椅子」
「そうでしょう? 私も好きなんですよ。こう、包まれているみたいで」
「ベッドルームにも一つ置いてあるんです。幼い頃から、父も母も仕事で家を空ける事が多くて。勿論、お手伝いの方はいらっしゃいましたけど。心の中は、いつも一人ぼっちでした」
「それで、お父様におねだりして、ベッドルームにも買って頂いたのです。小さい身体は、本当にすっぽり包まれている様に感じますから……。誰かにい抱かれている感じを、味わいたかったのかも知れませんわね……」
葵は当時を思い出し、淋し気な表情を浮かべる。
銀牙は、いじらしく成り葵を抱き寄せた。
凄く驚いた顔を見せたが、葵は得意の合気道も使わずされるがままに成っている。
「今日は、投げ飛ばさ無いのか?」
銀牙は葵の耳元で囁いた。葵はくすぐったそうに首をすくめた。
「ええ。力で言う事を聞かせるだけでは、駄目ですから。でも、危うく成ったら遠慮無く投げさせて頂きますわ」
と葵はほほ笑んだ。
始めの内は、馬鹿力で、嫌な女だと思っていたけど。俺が泣き止むまで、ずっと 待っていてくれたし。何も聞かずにいてくれる。
自分以外の人間の事を、凄く大事に思える女なんだろうな。銀牙は葵のことをそう思う様に成った。
「綺麗な黒髪だな」
銀牙は、葵の髪を指ですくい上げる。
「ストレートで長くて、俺、好きだ。今は皆、茶色く染めたりクルクルにしたりするだろ? 黒髪の方が、断然良いのにな」
と、銀牙は葵の髪を何度も触る。
葵の恥ずかしさを堪える様な、はにかんだ横顔を見て。銀牙は、可愛いと、何度も心の中で呟く。銀牙は、聞こえたかなと、ドキッとして頬を染めた。
銀牙は初めての感情に戸惑った。
「どうかしましたの?」
葵に見つめられると又、ドキドキしてしまう。
どっ、どうしちまったんだ俺!
銀牙は人を愛した事は無い。女なんて、妖力を作り出すただの道具としか思ってこなかった。なのに、この感情は……、これが、恋なのか……
「なっ、何でも無い!」
銀牙は冷めた紅茶を一気に飲み干した。
「実を言うと、銀牙さんが転入して来られた時に、素敵な方だなと思ったのですよ」
葵は秘密を打ち明けるように少し恥ずかしそうに言う。銀牙は思わぬ告白に、居住まいを正して次の言葉を待った。
「でも、チャラチャラとしてますし、女の方とベタベタされてましたし。私とは、合わないかなと思っていたのです」
「そうか」
体から一気に気力が出て行ったみたいに、銀牙はイスに埋もれるように肩を落とした。
「あの、聞くつもりは無かったのですが、先程のお話し、聞こえてしまいました。申し訳有りません。……あの、もし宜しかったら聞かせて頂けませんか?」
「さっきの、話し?」
「屋上で、男の人とお話をされていましたでしょう?」
「話せる範囲で宜しいのですよ」
葵は、優しく言った。沈黙の後。銀牙はゆっくりと口を開いた。
「俺は、ある男に復讐する為にこの街にやって来た。俺の義父を殺した犯人だと思っていた。でも、その男は 心優しい人だと言う。その人が俺の本当の父親だと言う人まで現れた。……もう、俺は、どうしたら良いのか、解らないんだ……」
銀牙は、頭を抱えてうずくまる。
「復讐を辞める訳には、いかないのですか?」
と葵は、静かに言った。
「……今まで俺を支えていた物なんだ。復讐する事が俺の支えだった。……今さら……辞める訳には。やっと……やっと見つけたのに……」
五百年もかかって……
「その……ミラルドと言う方が、仇なのですか? 五百年前の戦闘、ウルフ。どう言う事なのか、聞かせて下さいますか?」
「!!」
「……なぜその事を……」
「聞こえてしまったのです」
「済まない、今は言え無い……」
苦しそうな表情で、銀牙は応えた。
「……分かりました。もう聞きませんわ」
「……迷惑なら、この家を出て行く」
立ち上がろうとする銀牙の手を掴んで、葵は微笑んだ。
「貴方が何者でも構いません。いつまでもここに、居て下さって宜しいのですよ」
葵はそう言った。
銀牙は、救われた気持ちだった。
復讐なんて、辞められる物なら辞めてしまいたい。葵の心に甘えてしまいたい。銀牙の心は、揺れていた。
あれから一週間が過ぎた。
瑞希は新学期初日は休んだ物の、次の日からは休まず登校していた。が、全く 元気が無かった。心ここに在らずと言った感じだ。
銀牙の方も、これ又、心ここに在らずと言った感じでぼーっとしている。
今日は、委員会が有る日ですのに。これではいけませんわね。
葵は、瑞希に近付いて行き「委員会、私が変わりましょうか?」と声を掛けた。
「えっ、良いよ。私、行くから」
「何か、お悩みなのでしょう? 私が参りますわ」
「でも……」
「構いませんよ。……あの、お悩み。お聞かせ下さいませんか?」
瑞希は、俯いている。
「私。銀牙さんの事、好きに成ってしまったかも知れません」
「えっ?」
突然の葵の告白に、瑞希が驚いている。
「私は。銀牙さんの本当の姿を、垣間見て。銀牙さんの弱い処を見て。愛しく思えたのです」
「これから先、彼の何を知っても私は好きでいられると思っています」
瑞希は、俯いたまま葵の話しを聞いていた。
「あの、葵ちゃん……」
「はい」
「銀牙君と話しがしたいんだけど…、一緒に行ってくれる?」
「はい、勿論ですわ」
二人は屋上の銀牙の元に向かった。
「あの、この前ミラルドさんを見て何か言ってたよね……。知り合いなの? …分家の者って何?」
瑞希が銀牙に、話し掛ける。
「お前は、ミラルドの何だ。どう云う関係だ」
銀牙は振り向きそう訊いた。
「私は……ミラルドさんの……」
「ミラルド…の事、好きなの。私の大事な人なの。ミラルドさんを……傷付けないで欲しい……」
瑞希は俯きながら、銀牙にそう訴えた。
銀牙は、両手の拳を堅く握り奥歯を噛み締める。
「ミラルドは、育ての親の仇だ。俺は、ミラルドに復讐する為だけに生きて来たんだ。今更……辞められ無い」
それを聞いていた葵も、辛そうな顔をする。
「ミラルドさんは私に何も話してくれ無い。彼にとって私はただの友達なのかも知れない。でも、私は彼の全てを知りたいの。知っている事が有るなら、教えて欲しい」
瑞希は、思い詰めた声で言そう言った。
銀牙は、葵の顔を見る。
「俺は……」
そう言って黙り込み、沈黙の後に口を開いた。
「あいつがお前に何も話さないのなら、俺の口からは何も言え無い。そう思わないか?」
「あいつが、言いたく成ったら聞いてやれば良い。待ってやる事も愛情だと思うけど、違うか?」
瑞希の目をしっかり見据えそう言った後その視線を葵の方へ向ける。葵は優しく微笑んでいた。
「そうだね、そうだよね……」
瑞希は小さく呟くと「御免ね、変な事聞いて」と言って、階段を駆け降りて行った。
「お前も、俺の過去知りたいか?」
銀牙は優しく葵に問い掛ける。
「話したく成ったら、話して下さい。待つ事も愛情なのでしょう?」
そう言って葵は瑞希を追って行った。
愛情か……
銀牙は空を見上げた。