お婆ちゃんの手
両親が共働きでいつもお婆ちゃんと一緒にいた。
保育園に行く時もお迎えの時もお婆ちゃんだった。
車や自転車に乗らないお婆ちゃんは毎日私の手を引いて歩いて連れて行ってくれた。
お婆ちゃんは私を園に預けた帰り道と、お迎えに来る時は一人だった。
近くない保育園、片道徒歩40分の道のりを毎日。
私を園に預けてからのお婆ちゃんの予定は、一度帰宅して畑へ行く準備をする。
服装は、普段着のヨレヨレな地味なブラウスと少し分厚めなズボン。その上から大きめな地味なスモックに薄く軽い生地のモンペを履き、腕ぬきをして麦わら帽子とスカーフが合体したような帽子を被って農作業用の足袋を履いて畑に行く。
草一つ無いお婆ちゃんの畑には、綺麗に咲く季節の花と綺麗いに並べて植えられた野菜の苗と実った野菜。
夕飯にはお婆ちゃんが作った野菜が料理されて家族みんなで食べた。
一緒に食べるお婆ちゃんの顔や手は日に焼けていた。
大人になって夢ばかり見て自分の事しか見えていない私は、お婆ちゃんの手を見た。
日焼けしたままの手と、手の皮が引っ張る分伸びる皺皺の手。子どもの頃触っていた手と同じ。
お婆ちゃんはいつでも私の味方だった。本当は、沢山言いたい事はあったと思う。
何も言わないお婆ちゃん。
私も、お婆ちゃんみたいになりたい。