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予定調和な嫌がらせに喝采を

 暖かなそよ風に花びらが舞い踊る春、学園の卒業パーティは、卒業式の緊張からの解放で多くの笑顔にあふれていた。


 王都一のダンスホールを貸し切り、招待した音楽隊が奏でる音楽に合わせて多くの卒業生がリズミカルに踊っている。


 婚約者と共に、または気になる異性の手を取り、多くの卒業生がゆったりとしたダンスを楽しんでいた。


無事に卒業出来た学園性は笑顔にあふれていて、有名シェフの手がけた軽食を楽しみ、思い出話に花を咲かせていた。


 しかし、そんな楽しい時間をぶった切るような無粋な大声がダンスホールに響き渡る。


「ヴィオラ! お前との婚約は破棄させてもらうぞ!」


 それはこの国の第一王子、アレン・ヴェル・コーラルの宣言にも等しい大声だった。


 アレンはプラチナブロンドの髪に顔は目鼻立ちがくっきりしていて、碧い瞳は多くの女性を虜にするほど澄んだ色をしている。剣術に長けているおかげで背筋はきれいに伸び、誰が見ても魅力的な美丈夫だった。


 そんなアレンが怒りを露わに一人の女性を糾弾したのだ。その相手は婚約者のヴィオラ・レインである。


「なぜでしょうか? アレン様。婚約破棄だなんて、それは陛下の許しは得ているのですか?」


 ヴィオラはレイン公爵家の長女。母親譲りの輝く銀髪は長くふんわりとして、長いまつ毛に覆われた瞳は宝石のような翡翠色。街を歩けば誰もが一度は振り返る美しさであり、勝気な性格を生かし、生徒会長として学園生を正しき方へ引っ張ってきたカリスマだった。


「父上は関係ない! ヴィオラがユミィに嫌がらせをしてきた。その事実があれば十分だ!」


 独断で婚約者を糾弾していることを公にしたアレンは、隣にいた男爵令嬢の腰を抱き寄せる。婚約者がいる身として当然してはいけない行為である。


 在学中に何度も見せられた見慣れた光景に、ヴィオラは心の中で溜息を漏らす。


「ヴィオラとの婚約を破棄し、新たにユミィを婚約者に据える。文句はないだろ?」


「なぜ文句はないと言い切れるのかいささか疑問ではありますが、本当にユミィ様を婚約者にするおつもりで?」


 アレンに腰を抱かれて密着している男爵令嬢のユミィ・コロンは、頬を赤くしながらヴィオラを煽るようにアレンに豊満な胸をこれでもかと押し付けていた。


 毛先に向かってピンクのグラデーションを描く金髪はユミィの幼子のような動きに合わせてぴょこぴょこと跳ね、童顔を象徴する大きな瞳は器用に涙ぐむことが出来る。すべてを人任せにしてきた苦労を知らないきれいな指は異性の肌に触れて誘惑する繊細な動きに長けていた。


 ユミィは自分が可愛いことを理解している確信犯であり、王妃の座を狙ってアレンを誘惑してきた。いずれアレンの側近となる男子や騎士隊長候補、他にも宰相の息子など、有力な男子には軒並み手を出していて、今もアレンとユミィの後ろには三人の高位貴族の男子がヴィオラを睨みつけていた。


 たかが男爵位の令嬢がこうも高位貴族を手籠めに出来たのには訳があり、それはユミィには前世の記憶があったからだ。


(ふふ、憧れの“スタブロ”の世界よ。わたしが王妃になればみんな幸せハッピーエンド。さらに逆ハーレムルートだとみんなが王妃のわたしを甘やかしつつ仕事を全部やってくれるのよね。もう毎日イケメンに囲まれながらお茶しておいしい物を食べているだけでいいなんて最高じゃない!)


 ユミィの頭の中は、前世で遊んでいた乙女ゲーム『スター・ブロッサム』のことでピンク色に染まっていた。


「分かりました。婚約破棄は受け入れましょう。ですが、わたくしがコロン男爵令嬢を虐めていたという嘘は撤回してください。わたくしは決してコロン男爵令嬢を虐めていません」


「そんな! わたしはヴィオラ様に毎日いじわるなことをされていました! 教科書を破かれ、水をかけられました。階段で後ろから押し倒されそうにもなりましたし、クラスではみんなに無視されました!」


「ほら、ユミィはこう言っている! ヴィオラからの虐めにユミィは涙を流したんだ。クラスで無視されるようになったのもヴィオラがそう指示したんだってな⁉」


 ユミィはゲームの展開そのままに物語が進行していることにほくそ笑んだ。


 しかし、本当はほぼ全てが冤罪である。教科書は自分で破り、二階にセットしたバケツに括った紐を引っ張って誰かに掛けられたように見せかけた。人が集まっているところで階段から落ちて喚けば誰かに押されたという噂はすぐ広まった。


 念には念を入れ、原作よりも派手にいじめられているように見せかけたのだ。


(計画通りね。シナリオにはない不明瞭な部分はわたしのセンスで補ったから多少の“ズレ”はあったけど、ヴィオラの断罪イベントにたどり着けばこっちのものよ!)


「ふん! 反省するつもりがないのなら仕方ない。ヴィオラ、お前との婚約を破棄した後、国外へと追放する!」


 これにはダンスホール内の生徒がざわめく。公爵家の令嬢が本当にしたかも分からない不明瞭な嫌がらせ程度で国外へと追放など前代未聞であり、これにはアレンの正気を疑う声もちらほらと当事者たちに聞こえてくる。


 ユミィの事を守っている俺様格好いい状態のアレンにはそんな声は聞こえていないが、ユミィも何を言われようが王族と高位貴族の盾があるため、やりたい放題だった。


「わたくしがコロン男爵令嬢に嫌がらせをしていた証拠はありますか?」


「ユミィが泣きながら訴えてきたんだ、間違いないだろう!」


「つまりアレン様が目撃したわけでもなく、物証的証拠があるわけでもない。誰にでも見せる安い涙にコロッと騙されたわけですか」


「な、なにを言う! そこまで言うならヴィオラが嫌がらせをしていない証拠を出せ!」


 アレンが怒りに任せて足で床を強く鳴らした。


(あれ? こんな展開あったっけ?)


 ユミィはアレンが押されている状況に不穏な空気を感じていた。それなりにやりこんだゲームだが、すべてのセリフを暗記しているわけではない。ゲームは手元になく確認ができない現状、頭からすっぽ抜けているシーンもいくつかあるだろう。そのため見覚えのない展開にユミィは焦り始める。


「あ、あの、アレン様? そろそろ――」


「証拠ならありますわ!」


 ヴィオラが声高々に言った。


 さすがにこうも印象的なシーンであればユミィは覚えているはず。しかし、このイベントの最中にヴィオラがアレンに対して反撃するシーンは一度もない。


「わたくしがユミィ男爵令嬢に嫌がらせをするメリットが何もありません」


「それは証拠じゃないだろう。俺に近づくユミィに嫉妬して嫌がらせをしたのだろう?」


 ヴィオラはおかしなことを聞いたとばかりにコロコロと笑った。


「うふふ、そもそもわたくしが嫉妬する理由がありませんもの。ぽっと出の男爵令嬢のために悪者を断罪だなんて、こんな予定調和な展開に誰が“シナリオ通り”に進めるものですか? わたくしが断罪されるよう仕向けられると分かっていて嫉妬なんて無意味でしょう」


「ま、待って! その口ぶり、もしかしてヴィオラ様もてんせ――」


「そう思いませんか? ねえ? 転生者の王子様?」


「う、……嘘だろ? お前もかよ」


「え? アレン様も⁉」


 ヴィオラが転生者だと見抜いた相手はアレンだった。確かにアレンは転生者であり、物語の通りに進めば人生は安泰だと考え、シナリオ通りに過ごしてきた。


「“も”っていうことは、ユミィもか⁉」


 悪役令嬢の断罪イベント、しかも主要キャラのうち三人が転生者というカオスな展開に、王子サイドがうろたえる。


 慌てて己が持ち得る知識を互いに確認すれば、アレンもユミィも同郷であることが判明する。


 アレンたちの後ろで待機していた側近たちは、これは一体どういうことだと二人に詰め寄った。


「ちなみに、アレン様の側近候補のブランシュ様、次期騎士隊長候補のキール様、そして、宰相様の長男ガルド様、あなた方も転生者ですね?」


「⁉」


 アレンとユミィはもう言葉も出ず、唖然として口を開けたまま三人を見た。これで主要キャラ六人が転生者であることが判明し、ダンスホールの中心は先ほど以上にカオスな場と化した。


「おまえらも転生者……だと?」


「ぼ、僕としてはアレン様が転生者だったことに驚いているのですが」


「ブランシュ、やけに話が合うと思っていたがまさか同じことろから転生してきたなんてな」


「ブランシュとキールは鈍感か? 自分はユミィが転生者であることくらいは気づいていました」


「ガルド、ならどうして名乗り出なかった?」


「アレン様、それはみな同じ理由ではありませんか?」


 ガルドがちらりとヴィオラの方を見た。ヴィオラは醜いものを見ているように嫌そうな視線をガルドへ向けていた。


 アレンの方に付いていたユミィ、ブランシュ、キール、ガルドは、主であるアレンを含め全員が転生者であることを隠していた。理由は似たり寄ったりだが、シナリオ通りに進めば王宮勤めが確定する人生勝ち組であるのだから、イベントに支障をきたすような余計なことはしない。


 シナリオ通りならば、ユミィがアレンと結婚すれば国は安定し、断罪されたヴィオラを除く全員が幸せになれるグランドエンドを迎えることになる。一度はユミィに付いた三人でも、アレンルートの最後には、三人は婚約者に謝罪して許してもらえるハッピーエンドを迎えることになっている。


ユミィがアレンを攻略するのであればどちらにせよ三人は安泰であった。


 予想外の展開に戸惑うアレンサイドだが、お互い転生者ならば無意味に争う必要はないだろうという判断で、アレンがヴィオラを呼び寄せる。


「ヴィオラ、少し話がしたいからこっちに来てくれ。もう俺たちが婚約破棄だのいじめだので争う必要は無くなったんだし、今後のことを話そうじゃないか」


「アレン様、転生者同士で同窓会を開くのは構いませんが、話のすり替えはやめてください。まだわたくしが嫌がらせをしていない証拠を提示しきれていません」


「はぁ? もうそんなことどうでもいいだろ。俺たち同郷なんだから仲良くしようぜ?」


「残念ですが、()()()()()()はあなたたちと仲良くするつもりはありません」


 ヴィオラの拒絶にムッとしたアレンだが、それはもしや他にも転生者がいるのではないかと推測した。


「まあ、ヴィオラが俺たちと仲良くするかどうかは勝手にしてくれていい。それに、俺たち以外にも転生者がいるのではないか? そいつらの話も聞こうじゃないか、ここへ呼んでくれ」


「……いいですわよ。では()()()()()()()()集まってくださいな」


 ヴィオラが静まり返っていたダンスホール全体に聞こえるほどの大きな声で呼びかけると、ダンスホールにいた()()()()()が動き出し、アレンたちを丸く囲うように集まった。


「う、そ……だろ?」


 アレンだけでなくユミィやブランシュたちの背中に冷や汗が流れる。もしかしてという予想が外れてほしいと願うが、ヴィオラが無情にも答え合わせをした。


「わたくしたち六名含め、転生者、計百三五名。ここに集まりましたわ」


「ま、まて、百三五名って、……卒業生全員じゃないか!」


 アレンたちを冷ややかな視線で囲む転生者たちに、ユミィはアレンの腕を掴んでいなければ立っていることもままならなかった。


「その通りです。これが、わたくしがコロン男爵令嬢に嫌がらせをしていない……する必要がなかった証拠です。全員がスタブロの知識を有しています。これだけの仲間がいてわざわざ破滅に向かう必要はないでしょう? ねえ? コロン男爵令嬢?」


 名前を呼ばれてびくりと肩を震わせたユミィは、囲まれているためどこに隠れても死角がなくて落ち着きがなかった。


 ヴィオラは学園に入る前から早々と他の転生者を見つけ出し、自ら生徒会長に立候補することで、水面下でアレンたちを誘導していた。もちろん断罪イベントなんて止めてヴィオラと共にハッピーエンドを目指すのであればみんな仲良しハッピーエンドというのも考えていたが、アレンとユミィのシナリオに頼り切った自己中心的なシナリオ展開に我慢の限界を迎えた。


 在学時、生徒会の副会長をしていた男子生徒がヴィオラに近づき、紙を一枚渡した。それをざっと読んだヴィオラは、ご苦労様と声をかけて副会長を下がらせる。


「性根の腐っている王子なんてこちらから願い下げです。婚約の手続きはわたくしの方で進めていますのでご安心を。それと今、陛下からの手紙を貰いましたが、アレン様は廃嫡の後、コロン男爵家へ婿入りとなります」


「なんだと! どういうことだ⁉」


 ヴィオラはアレンを無視し、後ろの三人にも今回の沙汰を告げる。


「ブランシュ様、キール様、ガルド様、あなた方は婚約が破棄となります。いつまでも男爵令嬢に付いていて話を聞いてくれないから愛想を尽かれたそうですよ。ご愁傷様です」


「は? 婚約破棄? 僕たちはこのあとちゃんと謝れば許してくれるはずだ」


「まさか婚約者も転生者か?」


「そうでなければおかしな話だ!」


 やんややんやと文句を言いつける三人をヴィオラは鼻で笑い、勝手な憶測をぶった切った。


「いえ、転生者なのはここにいる卒業生だけで、あの方たちは純粋にこの世界の住人ですわ。あなたたちが婚約破棄になったのは、婚約者としての務めを果たさなかっただけですわ」


 ヴィオラは溜息と共に持っていた紙を丸めて副会長に手渡した。そしてパンッと手を叩くと、周囲に向かって声をかけた。


「さあ! 卒業パーティはまだ始まったばかりですわ! 皆様同郷の者で一同に集まる機会も今夜くらいでしょうし、そうなれば積もる話もございましょう。ぜひ楽しんでいってくださいまし」


 ヴィオラの合図に合わせて音楽隊が演奏を再開する。ワッと歓声が上がると共に卒業生たちはダンスへと戻っていった。


 彼らは転生者でありがらもゲームのシナリオを知っているだけの一般人に過ぎず、モブの立ち位置に納得し、ヴィオラのちょっとしたお願いに応えているだけだった。ダンスを再開する卒業生たちは、破滅するなら勝手にしていろといわんばかりにアレンたちには目にもくれなかった。


「ヴィオラ、俺たちはどうなるんだ?」


「さあ? 自業自得としか言いようがありませんし、あなたがたがどうなろうとわたくしには関係ありません。それとコロン男爵……、いえ、なんか爵位を付けるのは嫌になったので、コロンさん、ご自分で自身への嫌がらせをしてくれて大変感謝しています。卒業生を代表してわたくしが拍手喝采を送りますね。ぱちぱちぱち」


 ヴィオラは公爵令嬢としての言葉遣いを止め、面倒くさそうに適当な拍手を送った。


「ふ、ふざけないで! わたしは男爵家程度に収まる器じゃない、アレン様が王となり、わたしは王妃となる。それでハッピーエンドでいいじゃない! そこの三人も私の世話をしてくれるし、わたしは何もしなくていい!」


「いや、逆ハーレムルート狙っているところ悪いけど、コロンさん以外はアレンルートだと思っているわよ。その方が恩恵デカいし、それに同じ転生者だと分かって、わざわざあなたの世話なんてしたくないでしょう?」


 ヴィオラが婚約者に振られて意気消沈している三人に問いかけると、肩を落としながらガックリと頷いた。アレンも廃嫡が決定して男爵家へ婿入りすることになったが、一番下の貴族位とあって今にも崩れ落ちそうだった。


 さらに、ゲーム内の主要キャラはみな、成績は上位に位置していた。


王になれば、王妃になれれば、そう勘違いして勉学を怠ってきた者たちが政を出来るはずもなく、完全に手遅れになった段階でヴィオラは陛下と相談してアレンたちを排除する判断を下した。


「くッ……、わ、わたしはほら、美しいから! 拾ってくれる貴族は多いはずです! こんな男爵如きで燻っているわけはないのよ!」


 自身ありげに胸を張るユミィだが、それに対してヴィオラは気になることがあった。


「在学中のコロンさんの言動でちょっと気になっていましたが、もしかしてあなた、『サチエ』さんではありませんか?」


「え? なんでわたしの源氏名を……あっ」


「やっぱりサチエさんかぁ。熟女バーのNo.2が学生引っ掛けて何しているんですか?」


「熟女バー……? ユミィ、それって――」


「な、なんでもないわよ! あの女の勘違いだから!」


「サチエさん、今年〇〇歳でしょう? 心を入れ替えて人生をやり直そうとするならともかく、他人を貶めてまで学生引っ掛けるような歳じゃないでしょう」


「な、なにを……、というか、なんであんたがわたしのことを知っているのよ!」


「うちの叔母がオーナーで、わたくしはそこの黒服の手伝いをやっていたけど、覚えていないですか? 大学卒業して就職したから期間は一年くらいですけど」


 ユミィはそういえばオーナーとやけに親し気な大学生がいたことを思い出した。敵を作ってばかりの自分と違って、愛想がよくていつも輪の中心にいたことにイラつき、苦手意識があった。


「そういうわけで、サチエさん。念願の学生との婚約おめでとうございます。アレン様は言動から前世が学生であることはほぼ間違いないので、幼な妻ならぬ、幼な夫ですよ。犯罪臭がプンプンしますね」


「い、いらないわよ! わたしはもっと高位の貴族に養子にしてもらうんだから!」


 国王が決めたことにどう抗うつもりなのかと鼻で笑ったヴィオラは、コホンと咳払いを一つして、ドレスを軽く持ち上げてカーテシーをした。


「ここからはもうわたくしには関係ない話ですので、抗議は陛下へ申し付けてくださいまし。それでは、ごきげんよう」


 アレンたちは互いに正体を知って気まずい空気に取り残されたまま放置され、ヴィオラは一人優雅にヴィクトリーロードを歩き、卒業生たちからの勝利の歓声を一心に浴びながらダンスホールを後にした。


 熱気で火照った身体に涼しい風を浴びながら帰りの馬車を待っていると、迎えにきた馬車から一人の男性が降りてきた。


 ヴィオラの二つ上で、公爵家の次期当主。ヴィオラたち転生者に理解を持ち、その上で愛することになった人。今夜の婚約破棄をもって新たに婚約を結ぶことになる。


「満足したかい?」


 これまでの婚約者からは決して向けられなかった笑顔にヴィオラは頬を染める。


「ええ、これ以上なく」


 ヴィオラは男性に手を取られながら馬車に乗り込み、二人が住むことになる屋敷へと出発した。

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