漂流までたどり着けない
乳成分と異性化糖に拒否反応を示すとても面倒臭いからだをもつヒトガタのイキモノは、理想のクリームソーダを求めて漂流するユーザさん、辻堂安古市さまをひっそりと眺めていた。いや全然ひっそりしてないな。
てっぺんチェリーもクリームもアイスも、そもそも本体のソーダ(どころか清涼飲料水全般)が口にできないからね。物陰から指をくわえて眺めるしかないのだ。かぶりつきでもいいけれど。
うぅっ、うらやましいぜっっっ。
以前のわたしなら虚勢を張って「うっうらやましくなんかないやい!」と嘯いたものだが、あれだけ散々敗けまくって強烈な腹痛に見舞われれば、さすがに実勢に転換するというもの。
いかにのたうち回ったかが、ご想像いただけるものと思われる。ばかだから。学習しないから。
むなしい。
ある日、本当は相互さんなのにわたしがこっそり隠してしまっているユーザさん、幻邏さまの活動報告で、見てしまったものがある。
クリームソーダのガチャである。
え、なにこれ見たことない。
そしてほぼ同時期に、辻堂さまもこのガチャを回していたことを知る。
これは乗らないと。よっこいしょ。
早速、次の買い物時にスーパーのガチャガチャコーナーを確認することにした。
いない。
毎回はしごをする別のスーパーはちょっと奥まったところにガチャガチャコーナーがあるため、完全に失念していた。帰ってから思い出した。
たぶん、そんな状態だからここにはないだろうな。そんなことを思いながら。
忘れること数回(多いな!)、ようやく思い出したので、あえてそちらへ向かって確認する。
当然、いない。
所用があって四キロメートルほど先のショッピングモールへ出掛けたので、そこのガチャガチャコーナーを覗く。これまではここをスルーしていたのたが、なぜか急にクリームソーダが気になって仕方がない。
……いなぁーい。
代わりといってはなんだが、おはぎのぬいぐるみとか、パンのぬいぐるみ、お寿司のぬいぐるみといった可愛らしい系のものがずらりと並んでいた。
なぜかこのときはそそられなくて、そのまま帰ってきてしまった。カピバラさんのときはクレーンゲームにまで釣られていたのに。
二キロメートルほど向こうにあるスーパーのガチャガチャコーナーにも寄ってみた。ここはガチャガチャコーナーが前述のスーパーよりもさらにわかりにくいところにある。
なんでエスカレーターと壁の隙間に並んでるんだ。そこしかスペースがないからなんだが。ふとましい人が入れないじゃないか。なんとか入ったけど。
いなあぁぁあい!
クリームソーダで漂流ができない。
クリームソーダのガチャ機に会えないという意味では漂流しているけれど。
これは、五キロメートルほどあっちのショッピングモールまでいくしかないのか。ここは変わったガチャガチャがけっこうあった記憶がある、巨大ダンゴムシとか、プルバックハトカーとか。
しかしここ、しばらく行かなかった間にガチャガチャコーナーがどっかいってしまったのだよな。以前はペットショップの前にあったのだが。
移転に次ぐ移転(店内改装)で移動しまくっているようで、行く度に探すのが面倒になり、探さなくなってしまった。一時は立体駐車場の店舗出入口のところにあったらしいし(近くに住んでいる人から聞いた)、車に乗れないわたしはそんな方に用事がないから全く足を向けなかった。当時気になっていたガチャがあったはずなのに。
よっぽど面倒臭かったんだな、三階までいくの。店舗は二階までだし。
それとも、八キロメートルいったところのほぼ隣駅なショッピングモールまで遠征するか。
いや、その前に用事がないんだが。田舎の隣駅だから、バスに乗ると往復で千円近くなるのだが。
あるいは反対側の隣駅前のスーパーまで行くか。いやここバスの本数が激減したよな。一日に四本しかない。まあこちらは近い方だから歩けばいいのだけれど、三十分とちょっとだし。山越えはするけれど。
さて、どうやってどこ方面へどんな用事を作ろうか。
こうして、わたしは「クリームソーダのガチャ機を求めて」漂流を始めるのだ。
いつのまにやら目的が変わった気がしている。
あっさりさらっと参戦するはずが、まさかのゲートボールと同じで一番ゲートが通れず(ガチャ機が発見できず)参加できない状態に。