第1章 生の重さと死の軽さ 第1節 かよわい命の使いかた 第0話 二次関数の使いかた 第1話 かよわい命の使いかた
学校・・・それは、人が教え、人が教える・・・場所である。
それがいつからだろうか、喰う、喰われる場所に代わってしまったのは
題名 学校放浪記
第1章 生の重さと死の軽さ
第1節 かよわい命の使い道
第0話 二次関数の使い道
「でもってXの2乗が49であるからしてXは7ってことになる、よってyは・・・」
現在時刻 13:15 教科 数学
「ふぁー・・ダル・・・数学なんて日常じゃ使わんだろ、二次関数の解き方より二次関数を日常のどこで使うのか教えてほしいものだな」
「はぁ、また愚痴言って、怒られるよー」
「心配性だなー咲は」
「いや別に私はいいんだよ、でもあんた次何かしでかしたら、副会長クビでしょ?ちょっとは危機感もちなよ」
「むしろクビにしてくれるなら願ったり叶ったりだよ・・・はぁ、もう辞めたい」
「はぁ、またそんなこと言って、一番生徒会好きな人が何言ってんの」
「いやすきじゃねぇし!」
「おい、そこ!うるさいぞ!」
「あ・・・すいません・・・」
現在時刻 13:50 休み時間
「ねぇ!勝也のせいで私まで怒られたじゃないの!」
「まぁまぁ、そう怒るなって、死ぬわけじゃないんだし!」
「まーいいわ、6・7限目は選択教科だから、また生徒会室でね」
「はいよー」
学校在籍人数計600人
生徒会会員 3年次15人 2年次18人 1年次1人 計34人
現在時刻16:30 放課後 生徒会室
「さーてと、今日も俺が一番のりか」
杉原はいつも通り生徒会室のカギを開けて中に入った
杉原 勝也 3―2
役職 生徒会副会長 前回模試順位200人中100位
黒髪 身長169cm体重60kg 至って平凡 特技 何をやっても平凡であること
「あ、さすが早いね杉は」
そして、こちらも同じように生徒会室のドアを開けバッグを下ろしパイプ椅子に腰を下ろした
御茶ノ水 京子 3―4
役職 会計 前回模試順位200人中99位
茶髪 身長 160cm体重 ??? 自称アイドル的立ち位置 特技 ストーバックスの注文を噛まずに言える
「まぁね、やらなきゃいけないこと死ぬほどあるし ふぁー」
杉原は、あくびをしながらデスクトップのスイッチを入れた
「仕事熱心なことで何より!」
「あれ、西華は?」
「んー?もうすぐ来ると思うよ」
「おつかれさまーーああ疲れたー」
「ほら来た!」
朝霧 西華 (あさぎりせいか)3―1
役職 総管理長 前回模試順位 200人中1位
白髪 身長 162cm 体重 ??? 天然・謙虚・天才 特技 体育・家庭科を除く全ての教科 特に英語
「おつかれさまー」
「杉もおつかれー」
「おー京子!おつかれー」
「西華もおつかれ!」
学園祭開催まで残り1か月、生徒会の動きも活発になってきた
このままいけば、学園祭開催 誰しもがそう思っていた
題名 学校放浪記
第1章 生の重さと死の軽さ
第1節 かよわい命の使い道
第1話 かよわい命の使い道
「全校集会だって・・・何かあったのかな、勝也」
谷崎 咲 3―2
役職 生書記長 前回模試順位200人中65位
金髪 身長 173cm 体重 ??? 副会長女子と一緒にいる よく笑う 特技 習字など文字を書くこと
「えー知らん、でも異様だね、生徒会にすら知らされていないんだから」
生徒会、学校の中枢を担う機関であり教師と生徒の仲介役である
そのため基本的な学校集会は生徒会を介しての開催になる
現在時刻 8:50 緊急学校集会 体育館 l
特別変わったところもない、ごく普通の体育館であるが、無理に特徴をあげるとすれば馬鹿みたいにデカい送風機が4つあることだろうか
全校生徒600人が整列し全校の視線がステージに向けられたとき、全校集会は始まった
「えー、皆さんお忙しい中お集まりいただきありがとうございます。」
「ん?誰あれ?知ってる?」「いやー知らないなー」
「テレビの取材でも入ってるんじゃね?」
「いやいや、こんな田舎にテレビとかありえんでしょ(笑)」
そこに立っていたのは、校長や教頭、一般教師ですらなかった
全身黒ずくめで深めの帽子をかぶった異様な男
もちろん生徒の誰一人として彼を知ってるものはいない
教師ですら数人は驚き焦っている
「勝也、あれ誰?知ってる?」
3―2 大分 博人
会計長 前回模試 600人中30位
若干青髪(最近髪を染めた“校則違反”)身長173cm 体重63kg 天才肌 基本的に何をやらせてもこなす 特技 周りにすぐ馴染む
「いや、知らん、多分生徒会員の誰にも知らされていないな」
「え、まじかよ、お前でも知らないのかよ」
勝也には自信があった、生徒会のことは誰よりも知っているという
生徒会に所属してから生徒会室に行かなかった日はないし、教師とのやり取りも8割方勝也が受け持っていたからである
そして黒ずくめの男の「怪奇」で「悪趣味」なこれから訪れる地獄の話が始まった
「えー、突然ですが皆さんにはこれから死んでもらいます」
男は、突拍子のない話をあたかもいつも話しているかのように話し始めた
「は?何言ってるの?」「え?ドッキリ?」
「ちよっと校長!どういうことですか?」「教頭!何の話です⁉」
「まずは、教師の皆さんには関係ありませんので安心してください、あなたたちの固定概念で凝り固まった生産性の低い『脳みそ』など私たちは欲していませんので・・・
ターゲットはあなたたちです、600人のみなさん」
まだ生徒は、テレビの取材かなんかだと思い彼の話が本当だと信じている人はいない
「まぁとはいっても、皆さんは本気にしないでしょうから」
そういうと、男は内ポケットから拳銃を取り出し教師席の方へ銃口を向け、
「ダーン!」
銃声を響かせた
その直後、一人の教師が脳天から血を吹き出しその場に倒れこんだ
「キャ‼」「イヤー‼」「なにすんだ!」「あいつを取り押さえろ‼」「救急車!早く」
「扉が開かない‼どうなってるの⁉」
もう体育館は、収拾がつかないほどのパニックに陥り、顔を伏せて泣き叫ぶ生徒、ショックのあまり倒れこんでしまう生徒など、まさに地獄絵図というに相応しい惨状と化した
そして誰もが痛感した『この男の話は、マジである』と
「はいはい、うるさいうるさい、これ以上死人を出したくなかったら・・・静かに聞け」
男は、凍てつくような視線を600人に向けた
体育館は、完全に男の思考にコントロールされ誰もそれから抜け出せなくなった
そして、全員息を殺し、誰一人そこに存在しないような静寂が走った
「やっと静かになった」
「皆さんには、これから死んでもらいます。ただしそれは蜘蛛につかまった人達のみです。
まぁ、どうせすぐあなた達は蜘蛛を見ることになるのであえて説明はしませんが」
男の話は常軌を逸している、しかしここにいる全員が男の発言に嘘はないと悟った
男は淡々と話を進めていく
「つまり、あなたたちは蜘蛛から逃げ続けるまたは、蜘蛛を殺すかの選択肢しかないのです。
期限は今日から174日、もし期限まで生き残ったらその人はこの学校から解放され
自由の身となります」
「あ、あと申し訳ないのですが、皆様に拒否権はございません、拒否したいというのであればどうぞ蛛蛛に殺されて下さい」
そして、男は微笑んでこう付け足した
「まぁそんなに硬くならないでください!さすがに、急に来て無茶な指令を言ったわけですから、ささやかながらプレゼントを贈りたいと思います」
「それは・・・:ギフト:です」
「もちろん全員に渡したいところですが、流石にそうするとあまりにも人が死なないので
そうですね・・・生徒会委員の3年生のみに:ギフト:を渡したいと思います。
ただし、渡されたギフトがどんな能力かは分からないものとします。どうです?結構優しいでしょ?」
そして男はまた鋭い目つきに戻った
「さてと、ここまで一通り説明はしましたが何か質問はありますか?」
「あ・・あの、いいですか?」
動いたのは、西華だった
誰もが目を見張った、西華は大人しい気質であまり人と関わらないタイプの人間であり、お世辞にも話すのが上手とは言えない人だからである
(美しい)
今まで生徒会室では感じなかった強さと気高さが彼女からはなたれていた、緊急時ながらそう思わずにはいられなかった
「お?なんだ?」
男も少し驚いたようにそう答えた
「こんなことをする目的はなんですか?そして特殊能力とは何ですか?」
「うむ、当然の問いだ」
男は深くうなずいた
そして
「詳しくは言えない、ただ一言で表すとすれば、僕の、そして国の『悪趣味』だ。そしてギフトとは
蜘蛛に抵抗または討伐できる力 とだけ言っておこう、みんな憧れるでしょ?こういうの」
と、曖昧過ぎる答えを西華に返した
「そうですか・・・」
彼女は静かにそう返事をし、その場に崩れ落ちた
相当無理をしていたようだ、彼女の目から確かに水滴が垂れるのを杉原はじっと見詰めることしかできなかった
男は見切ったように
「まぁ、あとは誰も口が利けそうにないね」
と、つぶやいた
そして、男は
「生きたければ、生き残りなさい」
とだけ言い残し、ステージから霧のように消え二度と姿を現さなかった
かくして全校生徒600人の生と死をかけたサバイバルゲームが始まった。
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