表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役レスラー(♂)が悪役令嬢に転生してヒーローになる話  作者: 芋男爵
第一章 悪役令嬢×悪役レスラー=ヒーロー
3/5

第二話、今日から頑張る その二


 緑溢れる校庭の隅で俺はへこたれていた。

 俺は結局アリアに謝ることが出来なかった。

 二人が言い合いをしている隙に謝れるかと思ったが、近づこうとしてもポーラが睨みを効かせてくるせいで無理だった。

 またいつか機会を見つけて謝ろう。


 しかし、割り切ったつもりだったが、自分のやっていないことでこうも苦労するのは心のどこかで未だに納得できていない。


(昔っからこういう役回りばっかりだなぁ俺)


 少しネガティブ思考になっている。

 これはいけない。

 何かで気を紛らわさないと。


(何か……魔術、魔術だな。それがいい)


 魔術は、体内に流れる魔力と呼ばれるエネルギーを使って火や雷を出したり、身体能力を強化したりするらしい。

 他にも色々あるが、今は使えないので気にしなくていいだろう。


 魔術の使用は、危ないからと教師の居ない場所での使用は禁止されている。

 火や雷を出す方は攻撃魔法と呼ばれ、こっそり使ってもすぐにバレるらしい。


 となると、身体能力を強化する術を試すのがいいだろう。

 こっちは補助魔法と呼ばれ、危険度が低く、その上バレづらいそうだ。


 やり方は至って簡単。

 心臓を中心に流れる魔力を、強化したい箇所に集中させるだけ。

 人によっては体内の魔力をコントロールするのはとても難しいことらしいが、オリヴィエは魔力のコントロールが人並み以上に上手いらしい。


 とは言っても、俺自身は異世界出身じゃない。

 体内を流れる魔力云々と言われてもピンと来ない。


 この辺りはオリヴィエの記憶を頼りに何とか感覚を掴むしかないだろう。


 オリヴィエ曰く、血の流れをコントロールするイメージらしい。

 試しに脚力を強化してみたいが……。


(血の流れ……脚に集中……)


 しばらく脚に意識を集中させていると、脚の中心から奇妙な熱が湧いてきた。


(おっ……?)


 熱が高まったところで、近くに誰もいないことを確認してから走ってみる。


 素晴らしい。

 三十回やそこらのスクワットでガクガクになっていた細脚が、健脚へと変わっている。


(おおっ、こりゃあいい)


 その感覚が楽しくて、しばらく飛んで跳ねてを続けていると……。

 ブチッ、と右脚が音を立てた。


「ゔッ!」


 瞬間、とてつもない激痛に襲われた。


(これっ……この感覚っ……筋肉が切れたか!)


 あまりの激痛に立ってられず、右脚を抱えて蹲る。


(なにか失敗したのか……)


 そのままどうすることも出来ず固まっていると、後ろから声をかけられた。


「お姉様、何してるの?」


 振り返るとそこに居たのは、オリヴィエの妹ノルンだった。

 オリヴィエは五人家族で、父と母、一歳上の兄と二歳下の妹が居る。

 その二歳下の妹がノルンだ。


 オリヴィエと違いたれ目で、雰囲気もあまり似ていない。


「脚を怪我したの?」

「えぇ……お恥ずかしながら……」


 ノルンはテクテクと近づいてきて、俺の右脚に触れる。


「っつ!」

「ここだね、『ヒーリング』!」


 ノルンがそう唱えると、緑色の暖かい光が脚を包んだ。

 みるみると痛みは引いていき、すぐに動かせるようになった。


 魔術の中にはこうして傷を癒すモノもある。

 そのまんま回復魔術と呼ばれるものだ。

 回復魔術は誰もが出来る訳では無いがノルンは、五歳で既に扱える天才らしい。


「これでよし、動かせる?」

「えぇ、ありがとうノルン」

「私の腕じゃ完治は出来ないから、後で先生に診てもらってね」


 確かに、少し歩くと多少の違和感を感じるが、まぁ気になるようなものでも無い。


「それにしても、何したらこんな怪我するの? 脚に魔力を集中させない限りこんな怪我……」

「あー……」


 やっぱりあれが原因らしい。


「……物質にはそれぞれ魔力に耐えられる限界があって、それを超えたら壊れるって授業で習ったと思うんだけど……」


 そんなことは記憶に無かった。

 オリヴィエめ、授業をちゃんと聞いてなかったな。


「もう、お姉様ったら! しっかりして!」

「んー、まだ頭を打った影響があるかもしれませんわね」

「言い訳しないの!」

「うふふ」


 しっかり者の良い子だ。

 今ではこうしてワイワイと楽しく話せているが、実はオリヴィエとノルンは前まではさほど仲は良くなかった。

 悪い訳ではないが、良くもないという姉妹とは思えない関係性。


 情報集種も兼ねて話しかけ、何とか一週間でここまで仲良くなれた。

 最初はいきなり話しかけてくる姉の豹変ぶりに驚いていたが、ノエリアとレティシアにした言い訳を聞いたらすんなり警戒心を解いてくれた。


 仲良くなって本当に良かったと思う。

 この子すごい可愛いんだ。

 俺が元々一人っ子だったこともあるのか、ノルンが可愛くて仕方ない。


「よォ」


 そんなノルンとのやり取りでほっこりしていると、また背後から話しかけられた。


(今度は誰だ……)


 学校は人が多いせいか、どんどん新しい人間に出会う。

 名前を思い出すのが大変なのでそろそろ勘弁して欲しい。

 と、思っていたが、後ろに居たのは名前を思い出す必要のない男だった。


「アランお兄様……」


キャラスペック


名前:ノルン・ドラゴバッファ

性別:女

年齢:5歳

職業:貴族の次女

性格:良い子

特性:かわいい

筋力:とてもか弱い

知力:そこそこ良い

魔力:天才的

好きな物:ケーキ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ